特別仲が良いわけじゃなかった。
出会った当初、自分は彼と合わないだろうなって思っていたしきっと相手もそうだったと思う。学校の人気者で派手な風貌と目立ちたがり屋な性格な彼と、面倒くさがり屋で協調性のない真面目な自分。対になっているかと問われれば決してそうではないが違う感性を持つ者同士で、生きてる次元が少し違う自分の生きている人生においてあまり深く関わることのない相手。お互いに思っていたはずだ。
だから何をするのにも互いに自分をよく見せようとか意識したことなんてなかった。お互いに嫌われようが何と思われようがどうでも良かったのだろう、素の自分を出し合っていた。今思えばそのおかげで彼と親密になっていけたのだろう。表情や声や言葉、全てを取り繕う必要がない相手なんて同性の友達にも中々いないのだ、だけど彼に対してはそれが出来たのだ。

ずっと話していたいとかずっと一緒にいたいとかそんな甘い感情と呼べるものではない、ただ気づけば日が暮れるまでくだらないことで延々と教室で語り合っていたり「おはよう」や「ばいばい」とか何気ない日常にかわす挨拶も一番に彼に言っていた気がする。

クラスもずっと一緒、席替えも誰か小細工してるんじゃないかってくらい何度も近くになったりして、体育祭も文化祭もくだらないことで喧嘩はしたものの結構楽しかった。結局何をするにも何時の間にか彼の隣にいた気がする。そしてなんかこいつ好きだなあって思うタイミングも同じだったと思う。

「好き」って言おうとしたら彼が先にその言葉を口にしたもんだから、これって運命なのかなあ…なんて柄にもなく小っ恥ずかしいこと考えてしまった時「俺達って赤い糸で結ばれてると思う」と、これまた小っ恥ずかしいことを言った彼が嬉しそうに笑ったので自分たちは相当相性がいいのだと改めて思った。

運命のはなし

QUIETのまたよしさんに頂きました。なんでしょうねこの胸にじんわりとくる温かさは。これがまたよしワールドか(戦慄)ありがとうございましたーっ!

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