「なまえと任務なんて久しぶりだってばよ!」
「ナルト!いいから前見て走って」
「いやーオレってばとんでもなく成長しちゃってるからびびるんじゃねーぞ!」
「分かった、分かったからお願いだから前見て走ってーー!」
「はぁ、お前ら一応オレが小隊長なんだから言うこと聞けよ」
「「おー!」」
この面子でスリーマンセルは確かに珍しい。オレとなまえは比較的一緒に組まされることも多いが、これにナルトが加わるのは久しぶりというか初めてなんじゃねーのか?アカデミー時代に特訓したりとかはあったかもしんねーけどよ。
「それでいいか、なまえは後方だ。オレが全体を見て、ナルトは前方。木の葉まで何事もなく着いたらそれで任務完了だ。目当ての巻物はもう手中にあるんだからよ」
「分かってるってばよ!余裕だっつーの」
「ばーか、油断すんじゃねえよ。これを血眼になって探してる奴らもいるんだぜ」
「そうよナルト。帰るまでは安心出来ないって」
「だーもう!それも分かってるってば!」
強くなったのは認めるけどよ、なんかこうナルトってトラブルを招きやすいんだよな。
「!、シカマル」
「どうした」
「多分追手が来てる、距離はまだつかめないけど」
「な、くそ!おいナルト、前はどうだ」
「う」
「う?」
「うわああああああ!」
「「ナルト!?」」
森の風景が一瞬で別空間へと誘われる。ち、幻術か。
「こうなったら迎え討つぞ」
「了解」
「分かったってばよ!」
体の向きを進行方向と180度変え、走っていた足の動きを止めた。確かに敵さんの気を2つ3つほど感じる、が、妙だな。しばらくそのままの体勢で待ち構えていたがやっぱり明らかにおかしい。
「このまま進むか」
「なにー!シカマルこれどうするんだってばよ!?」
「いや、オレの勘が正しければ多分大丈夫のはずだ」
「お前こんな時にめんどくさがってんじゃねーぞ!」
「うるせーそんなんじゃねえよ。第一隊長はオレだ。さっきも言っただろ」
「ナルト、ここはシカマルに任せよ」
「なまえまでそんなこと言うのかよ!」
全然納得いってないナルトを半ば強制的に列の先頭に置いて、オレたちはまた木の葉を目指し走りだした。幻術のせいで見たこともない場所にはなっているが、太陽の位置や方向さえ合っていれば辿りつくはずだ。
しばらく走り続け、おそらく本当なら木の葉だろうという場所まで来た。周りは俄然見たことない景色だが。
「さてと」
「こっからどうするんだってばよ!?」
「それは、こいつがどうにかしてくれんだろ」
「え?」
心底驚くナルトに向けてオレはなまえを指差した。
「やっぱシカマルにはバレちゃってたかぁ」
「あたりめーだ」
「なー!えー!?どーゆーことだってばよ!?」
「オレたちゃ、こいつに騙されてたんだよ」
絶叫するナルトの騒々しさに呆れつつ、相変わらずこの女肝座ってんなぁとか幻術の中でオレはぼんやりと思った。