メロンソーダと占星術(冥)


ワンライ冥冥。お題「メロンソーダ」 友情出演:虎杖


「……で、君は虎杖悠仁のどんなところが好きなんだい?」
「そうですね、うーん、改めて聞かれると難しいんですけど。素直なところとか、簡単に人のことをジャッジしないところとか。気軽に話せるところも好きですね」
「そう。では一先ず君との相性から見ていこうか」

冥さんはそう言って占星術の本をぱらぱらと捲り始めた。落ち着いた照明が冥さんの手元を照らしている。五条先生によると、不動産を経営している彼女は縁起を相当気にするらしい。試しに占ってもらえば?と唆されるがままに冥さんの部屋にお邪魔している、という具合だった。冥さんは冥さんですぐに部屋に通してくれたけれど、一体五条先生は彼女にどれだけの金銭を積んだのだろう。

テーブルにはメロンソーダが用意されていた。シンプルなのに一目見ただけでお金がかかっていると分かる家具の中で、可愛らしい翠が私を迎え入れているようだった。

「彼が牡羊座で君が蟹座、だったかな」
「そうです」
「相性はまずまずといったところ。互いを尊重するとなお良し。今年の冬のはじめに試練があるかもしれないが、それを乗り越えると互いの関係が深まるかもしれない……と星の並びは言っているようだけど、何か心当たりはある?」
暗がりの中で冥さんがこちらを伺うように覗き込んだ。
「いえ……でも、星の並びで分かるってすごいですね」
「占いと言ってもあくまで統計学だからね。結果を聞いてどうするかは自分次第」
「だけどこういう希望的観測も、時には救いですよね。呪術師としてこんなことを言うのもどうかと思うんですけど」
「力を抜く時は抜いておきなさい。君の担任がいい手本だよ」

試しに肩の力を抜き、メロンソーダを啜る。気の抜けた甘みがいつも以上に私を包み込んだ。



「冥さん、ありがとうございました。また占ってください」
「いいよ。その時は彼と一緒に占ってあげる」
「それは照れちゃいますって!」
顔を真っ赤にして慌てて出て行った彼女はいじらしかった。同時にこの案件を引き受けてもよかったのかとほんの一瞬、ドアを睨んだ。占っている最中に見えた十月三十一日のことを私は彼女に、敢えて伝えなかった。運命は時に残酷だ。でもそれを彼らがどう乗り越えるかは、これからの楽しみとしよう。五条くんのところは面白い子たちばかりだ。通帳を片手に、スマートフォンで彼らの担任を呼び出した。





back









「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -