裏口 | ナノ


▽ おしおき2


それは、ちょっとした思いつきだったのだ。

ゼロスが、小さくなっていた間の自分のことを、それはそれは可愛がっていた、など
と皆が言うから。

どんな風に可愛がられていたか知りたくなった、ただ、それだけ。



「……こんなものか」

夜も更けて、そろそろ就寝という時間。
クラトスは、鏡の中の自分を、じっと見つめていた。

あまりにも遠い昔すぎて、明確には思い出せないが、歳の頃14、と言ったら、確かこんな感じだったように思う。

(……意外に幼かったのだな)
肩までの長さの髪は、今とそう変わらない。
だが、低くなった背丈と、今よりもずっと大きく見える瞳や、未成熟な身体は、どこから見ても、まだほんの子どものそれだった。

(……このような年端も行かぬ者に手をつけるなど……、犯罪以外の何ものでもないな)

クラトスは、ふぅ、とため息をついた。

だが、同時に興味も湧いた。

あのゼロスが、どんな風に、自分を見つめ、話し、愛し―――その腕に抱いたのか、と。



自分がかつてのミトスのように、自在に姿を変えられるようになったと気づいたのは、あの一件が落ち着いてからだった。

『ふむ……、長い間、子供の姿で居続けたせいかも知れんな』

ユアンは興味深げにそう呟いて、原因を詳しく調べておくと言ってくれたが、正直、そんなことはどうでもよかった。
なぜなら、自分はもう小さくなる必要など無いし、そんな気も起こらないだろう、と思っていたから。

しかし、屋敷の者や、かつての仲間たちが、折にふれポツポツと話してくれるこの一年のことは、クラトスの興味を、大いにそそった。


だからつい、試してみよう、などという気になってしまったのだ。
自分の中の時間を戻し、あのときの……、小さな自分へと姿を変え、ゼロスの反応を見てみよう、などと。

幸い、今日は4月1日。
嘘をついてもいい日だという。

クラトスは意を決したように立ち上がると、自室のクローゼットに仕舞われたままになっていた子供用の夜着を纏い、ゼロスの部屋へ向かって歩き出した。
部屋のドアをノックする。

と、中から、ゼロスの声が聞こえた。



「誰だ? ―――天使様か?」



気配に敏感な彼は、どうやら、自分が来たことを感じとっているらしい。

だが、尋ねる声は、普段と少し様子が違う、とも思っているようだった。
クラトスは静かに一呼吸すると、小さな、だが凛とした声で言った。

「私です。―――神子様」

その途端、中でガタン、と大きな音がした。

あれは、ゼロスが愛用している椅子だ。
さぞ、勢いよく立ち上がったのだろう。

続いて、近づいてくる足音。
随分と、急ぎ、慌てている、その様子。
程なくして、勢いよくドアが引かれ、中から姿を現したゼロスは、クラトスを認めると、大きく目を見開いた。

「なっ……、クラトス……っ?!」

見上げた顔は、長い付き合いの中でも初めて見る、驚きと不安の入り混じった、何とも形容のしがたい表情だった。

「と…、とにかく、中に入れ。な?」
「………はい」

促されて入った部屋は、何もかもが違って見えた。

窓も、机も、ベッドも。

そして、ゼロス自身も。

背中に添えられた手が、やけに大きく感じられて、急に自分の小ささを実感する。



座らされた椅子も、テーブルも、いつもとは目線が違う。

もの珍しさに、つい辺りを見回すと、そんな様子が、かえって頼りなさを感じさせたのだろうか、ゼロスは自分の前に膝をつき、気遣いを隠さない様子で尋ねた。

「どうしちまったんだろうな。……どっか痛くないか?気分が悪いとか」
「………………はい」



何と答えていいかわからない。
ゼロスが、あまりにも真剣な顔をしているから。

やっとのことで、短い返事だけを返した。
心底心配しているその瞳に、声色に、早くも、嘘をついていることへの罪悪感がこみ上げる。


考えてみれば、かつてゼロスとは、年も立場も自分のほうが圧倒的に上、という状況の中で出会った。

その後も、神子という身分に生まれた彼の監視役として、また、剣や魔法の師匠として、導き庇護してきたことはあれ、逆の立場に立ったことなど、一度たりとてなかったはずだ。

ゼロスが長じて、情を交わし合う仲となっても、クラトスの立場が上であることに変わりは無かった。
肉体的には組み敷かれる側であったとしても、精神的には常に、自分が大人で、彼を守る側にあったはずだ。

それを、こんな風に、包み込むように扱われては。
(……どうにも、調子が狂うな)

不意に、胸の辺りが、くすぐったいような、ざわつくような気持ちになって、目をそらす。
と、その隙を縫って伸ばされたゼロスの手が、クラトスの前髪を掻きあげ、続けて額が押し当てられた。

「な、なに―――!」
「……熱は、無いみたいだな。口開けてみ」
「―――……」
「んー……、まあ、大丈夫みたいだな……」

耳の下から喉にかけて、腫れていないかを確かめるように指が滑る。

「ま、具合が悪くなけりゃ、とりあえずは安心か……。でも、今夜はここに泊まってけよ。何かあったら困るし」

クラトスは、ゼロスの言葉にコクリ、と頷いた。
もとよりそのつもりだったし、今夜に限らず、大半はこの部屋で過ごしているのだから、異論があるはずもない。

けれど、いつもと違い、ゼロスはクラトスに手を出してくることもなく、手早くベッドを整えると、そこに彼を横たわらせた。
そして上掛けをかけ、ポンポンと数回、なだめるように叩く。

「じゃ、俺はもーちょっと仕事してくるから、先に寝てろよ。何か変わったことがあったら、すぐ言うんだぞ?」

(………何だと?)

クラトスはあっけにとられたように、机に戻って行ったゼロスを見つめた。

………ありえない。
自分がここに居るのに、触れることはおろか、口づけさえも交わさないとは。
その上、真面目に仕事など。

少し身を起こして、ゼロスの視線の先にある本や書類を見やる。
どうやら天使言語で記された、古い技術書のようだ。
それを、今使われている言葉に置き換えているらしい。

確かに、こういったことも、神子の仕事の一つだ。
歴代の神子たちがこうして訳した書物のおかげで、古文書の一部はなじんだ言語で読めるようになっているし、サイバックなどでは、それらが学生たちの研究資料として、大いに役立てられていると聞く。

(天使言語か……。幼い頃は、あんなに学ぶのを嫌がったというのに)

時が経てば成長するものなのだな、と、クラトスは感心と驚きの入り混じった気持ちでゼロスの後姿を眺めた。


一方、ゼロスは本に目を落としながら、盛大に悩んでいた。

(おいおい、何だ? 一体どういうことだってんだ……?!)

不安げに見上げるクラトスを一人置いて、一旦机に戻ったのは、仕事を続けるためじゃない。

事実、目の前の文字の一つも、頭の中に入っては来ない。
距離を置いたのは他でもない、自分の頭と、身体の熱を冷ますためだ。

最初、再び小さくなった姿を見たときは、それは驚いたし、心配もした。
だが、特に具合が悪い訳ではないと解ると、次に襲って来たのは、いつもと同じ、彼をどうにかしてしまいたい、という衝動だった。
(そりゃあ…、いくら何でもマズすぎるよなぁ……)

一緒に暮らしていたときは、確かに、体を繋げて互いの気持ちを確かめ合う行為もした。
だが、時を置いて改めて小さな彼に対峙すれば、そのあまりの幼さに、触れることさえ躊躇われた。
(俺サマってば、あんなちっこいのに手、出しちまってたんだな…。こりゃ、迂闊にリーガルを責めらんねーなぁ……)
思わず、額を押さえてため息をつく。

「あの…、どう、なさいましたか、神子様……?」
「え?……ああ、悪い」
予期せずかけられた声に振り返ったゼロスは、潤んだようにこちらを見つめるクラトスの瞳に、虚を突かれたように固まった。

深い赤は、大人の彼を彷彿とさせるかのように艶やかなのに、見た目はあどけなく、無防備だ。
そのギャップが、誘われているような錯覚をもたらす。
堪らず椅子から立ち上がったゼロスは、引き寄せられるように、クラトスの傍に歩み寄った。

(ゼロス………)

近づいてきたゼロスを、クラトスは、わずかな緊張と、相当の期待を持って迎えた。

美しく澄んだ、青い瞳。
そこに秘められた、欲望の色に、胸が波立つ。


目の前までやって来たゼロスは、手を伸ばし、クラトスの頬に触れた。

その手の感触に、痺れるような感覚が走ったのもつかの間、そのまま静かに顎を上向けられ、唇が重なる。
「んっ、む……、」
「………クラトス……」
ちゅ、と口づけてはまた離れ、離れてはまた啄む。
慈しむように繰り返されるキスは、次第に深さを増し、濃密になり。
再び離れたときには、もう、互いにもっと深い交わりを持つことを、望んでしまっていた。

「悪い……、我慢しなきゃって、解ってるのにな……」
「いいんです。私も、神子様に……、触れていただきたいです……」

上目使いにそう言われては、拒絶する術などない。
ゼロスはもう一度クラトスに口づけると、夜着のボタンに手を掛けた。



「どうだ? 苦しくねーか…?」
「んッ……、う……!」
「……なんか、前よりキツいんじゃ……、もう、やめとくか?」
「っや、嫌、です……!」

首を緩く横に振る。
ゼロスは困ったように嘆息したが、潤滑油を足すと、更に指を奥まで進ませた。

あれから、身体中を愛撫した。
一度絶頂に導いて、それで終わりにしておこうかと思ったのに、クラトスはどうしても、ゼロスと繋がりたいと言う。
そう言われては無下に断ることも出来ない。
というより、むしろ自分もそうしたいのだから、手に負えない。

「悪い、傷付けるの、趣味じゃねーんだ。するなら、ちゃんと解さねーと」
「ふぁ……、ァ……!」

一方で、クラトスも戸惑っていた。
いつもより優しく動かされるゼロスの指。
だが、そのものすごい異物感に、体中が震えた。

この指なら、慣れているはずなのに。
肉体が小さくなると、こんなにも辛く感じるものなのか。
これでゼロスのものなど受け入れたらどうなってしまうのかと、空恐ろしささえ覚える。

だが、ここまで来て後に退けるはずもない。
大丈夫、過去の自分はこの身体で、それこそ何度も、ゼロスを受け止めて来たはずだ。
あの時の自分に出来て、今の自分にできないはずがない。

何より、悔しいではないか。
ゼロスが与えてくれた愛情を、覚えていないなど。
こんなにも愛しい彼が、自分の知らぬところで、自分であって自分ではない者に、愛を囁いていたなど。

自分も、同じように愛されたい。
などと、それこそ子供じみているだろうか。


「そろそろ、いいか……?」

ゼロスは指を引き抜くと、クラトスの脚を抱え上げた。
いつもなら、ゼロスより少し背の高い自分は、彼の肩に膝をかけるような格好になるのだが、そこに当たったのは膝どころか踵に近い部分で、改めて身長差を思い知らされる。

その足先に目をやると、ゼロスのものが目に入った。
それは猛々しく立ち上がり、自分と繋がる瞬間を待ち望んでいる。
こんな姿の自分にまで欲情するなど、喜んでいいのか、悲しんでいいのかわからない、などと思いつつも、間もなくその雄を体内に迎え入れること想像すると、知らず身が縮まった。

怖い。
大人同士の交わりでも、時に痛みを伴い、出血することがあるのだ。
それを、この小さな身体でなど。

一方、ゼロスは慣れた様子で、自分のものにもたっぷりと潤滑油を絡ませ、クラトスの双丘の間に先端を押し当てた。

「……行くぜ? 久しぶりだからな、痛かったらすぐに言えよ?」
その言葉にコクリと頷いて、ギュッと目を閉じた。
「大丈夫か、クラトス」
「ひ、ぐぅッ……、み、こ、さま……っ!」
「ッ……、狭いな……!」

先端を沈ませたところで、あまりのきつさに、ゼロスは一旦進入を止めた。
そして、うち震えるクラトスを落ち着かせるため、頬に優しく口づけを落とす。

「痛くないか……?」
「ンッ……、まだ、平気…です…っ」
「じゃあ、もう少し深くまで行くぞ……?」
「ぅッ、ぅあぁッ、ン……!」


気遣いながら、じわじわと進められる挿入。
最初こそ恐ろしかったそれは、予想に反して、味わったことのないほどの深い快感をもたらした。
痛みなど、感じる暇もない。
力強く内壁を擦るゼロスのものは、奥へ行くほど質量を増し、クラトスの感じる場所を、これでもかと刺激した。
閉じることなどとうに忘れてしまった口からは、間断なく甘い悲鳴が上がり、それを見たゼロスも、嬉しそうに微笑む。

「ん…? 気持ちいいか……?」
「は、い……、も、ちいいッ……!! ひァ、あぁっ…!!」
「そうか。……俺も。今すぐにでも、イけそうだ」

その言葉に驚き目を開けば、いつも余裕で人を翻弄するゼロスが、本当に達する間際のように眉を寄せ、浅く息をつきながら自分を見下ろしている。

その表情に、ドキリとしたクラトスは、無意識のうちにゼロスを締め上げた。

「う…ッ、コラっ、急に締めんな……っ!! く……!」
「あッ…、あぁ、ん……?!」

次の瞬間、勢いよく注がれたゼロスの熱。
いつもよりずっと多く感じる量と、存外に浅い場所で放たれた感覚に、クラトスはつま先を丸めて、ゾクゾクと震えた。

「ゴメン…っ、先、イっちまった……!」
ゼロスは恥ずかしげにクラトスの首筋に顔を埋め、謝罪する。
体の中にあるものは、先程と変わらぬ大きさを保ってはいたが、相手を喜ばせることを至上とするゼロスからすれば、自分が先に達してしまうなど、考えられないことなのだろう。
めったに無いが、大人の自分とするときも、同じような状況に陥るとシュンとしていたりする。
自分は、むしろそのほうが嬉しいと言うのに。

ハァ、ハァと耳元で響く荒い呼吸を、どうしようもなく愛しいと思いながら、クラトスは、ゼロスの頭をそっと腕に抱き込んだ。
そして、滑らかな髪に指を通し、撫でさする。

「………クラトス?」
「………はい?」
「いや、なんか天使サマみたいなコトするんだな、と思って」
「え……?」

その言葉に、瞬間、表情が強張ってしまった。
―――気づかれただろうか。
だが、ゼロスは困ったように眉を寄せると、クラトスの頬を撫でた。

「おっと、ゴメン。また、ヤキモチ焼かせるようなこと言っちまったな」
「なっ…、ヤキモチ、なんて……!」

しかも、「また」とは何だ。
が、現に小さな自分に対し、それに近い感情を抱いていたクラトスは、ゼロスの言葉を完全に否定することも出来ずに、プイと視線を外した。
それを見たゼロスは、小さく笑う。


「まったく…、俺にしてみたら、どっちも、同じおまえなのにな」
「え……?」

どちらも、同じ。

「本当に……?」

問い返せば、ゼロスは当然、といった風情で答えた。
「ああ。ロイドの受け売りじゃねーけど、どんな姿でも、俺にとっちゃ、クラトスはクラトスだ。同じように愛してるぜ?」

そう言う彼の青い目は、いつになく深く、静かで。
クラトスは、目の奥が、じわりと熱くなるのを感じた。
そして、気づいた。
欲しかったのは、正にその言葉だったのだと。

「…私も、神子様が大好きです。」
「ああ、知ってる」

目の端に滲んだ涙を優しく吸い取られ、クラトスはゼロスに抱きついた。
自分も、同じだ。
どこに居ても、どんな姿になっても、立場が変化しようとも。
この心が変わることはない。
きっと、この先もずっと。



その後、たっぷりと時間をかけてゼロスの全てを受け入れたクラトスは、つかの間、いつもの自分を忘れ、存分に甘えた。
自分より"年上"のゼロス、という存在に。

キスをねだればとろけるように甘く返され、しがみつけば、大切なものを包み込むように大きな腕に抱かれる。
熱く自分を貫くそれは、今まで経験したこともないほど奥深くまで身を穿ち、本当に彼に繋がれてしまったのだと自覚せざるを得ない。

だが、それでもいい。
いっそ、永遠に繋がれてしまいたい。
この心地の良い、自らの、半身とも呼ぶべき存在に。

幾度となく体内を行き来するゼロスの熱に酔いながら、クラトスは惜しみなく、甘い嬌声を上げ続けた。


「……い。おい、クラトス。何をしている。起きろ」
「ん……?」
「いつまでそんな姿でいるつもりだ。いい加減にしろ!」

誰だろう。
まどろむ自分を、無遠慮に怒鳴りつける男。
そんな人物は、世界広しといえども、一人しか知らない。
「! ……ユアン……?!」
眩しい朝の光の中、漸く目を覚ましたクラトスは、寝台の脇に立つユアンとゼロスを見上げた。

「おはよ、天使サマ。起きた早々何だけど、どういうコトか、ちゃんと説明してくんねーかなぁ」
「ゼロス……?!」

少し怒ったようなその声に、完全に目が覚めたクラトスは、慌てて我が身を省みる。
小さくなったままの体に、無数の情事の跡。
そんな自分を、見下ろす二人。

「心配して、朝イチでユアンを呼んだけど……、取り越し苦労だったみたいだな」
「まったく、人騒がせな。何故こんなマネをした」

二人に問い詰められたクラトスは、視線を外しながら、しどろもどろに答える。

「す、済まない……。昨日はエイプリルフールだから、その、嘘をついてもいい日だと聞いて……」
「ふ〜ん。……で、俺サマを試した、ってワケね」
「そ、そんな訳では……!」
「……ま、その辺はいいや。アンタの思考回路は、何となく解ってっから。俺サマも楽しませてもらったしな。今回は、追求しないでおいてやるよ」
その言葉にホッとしたのも束の間、ゼロスの次の台詞に、クラトスは凍りついた。

「……けど、俺サマを担いだ罰は重いぜ? たーっぷりお仕置きしてやるよ」
「なっ……、何をしようと言うのだ?」
「何って、悪い子にお仕置きと言えば、相場は決まってるよなあ?」


それからクラトスは、ゼロスの膝に抱えられ、思い切り尻を叩かれた。

「ほーら、ごめんなさい、って言ってみな?」
「あッ、やぁっ…!! ごめ、なさっ…!」
途切れ途切れの謝罪の合間に、パァン、という派手な音が響き渡る。

「やっぱり中身が天使サマだと、イイよなー。こればっかりは、前のアンタには、どうしてもできなくってよ。」
「ッ、ゼロスっ……! もう、許してッ…、アぁ……!!」
「……おい、もうその辺にしておいてやれ。お仕置きというより、危ないプレイになっているだろう、おまえのは」
「あ〜、そうだな。……っつーかこういうの、天使サマには、ご褒美になっちまうんじゃねーの? アンタ、真性のMだしなぁ」
「ひっ、あァッ…!! も、嫌ぁ……!!」
「よしよし、泣き顔もすっごい可愛いぜ〜?」

まったく、昨日の甘い夜はどこへ行ってしまったのか。
だがこんな行為も、ゼロスとなら嫌ではないクラトスは、呆れはてるユアンの眼差しに晒されながらも、甘んじて受け入れた。
お仕置きという名の、愛情表現を。

End.



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