静穏の終点 2/2



「もぉ、やめて…っ……放して、くれよ、ぉっ」
「どうして。喜んでるのは君の体じゃないか」
目的地を告げるアナウンスよりも繰り返される卑猥な言葉ばかりが耳につき、園田は逃げることが出来なかった。衣服の乱れを正すどころでもなく、なけなしのプライドも剥ぎ取られる。男たちに嬲られてどれだけの時間が経ったかも解らない。
「おいおい、大丈夫かよ」
「っだ、じょぶじゃ…なっ…も、嫌だぁ……!」
「染みが出来てるじゃないか、嫌なんて嘘なんだろう」
「違ぁ…ぁ、ぅう…、はぁ、はっ…ん、ぃやぁ…」
じりじりと体の奥で燻り出す熱に怯え、ドアに片手をついて辛うじて立ち、もう片方の手は男の股間を意思なく擦る園田を男たちが笑う。心底可笑しそうに、蹂躙する。社会で虐げられてきた鬱憤を晴らすための、屈折した思いが園田に流れこんでいくようだった。
「もっと足広げな。俺は何も酷くしたい訳じゃない」
「だ、めっ…ゃ、そんな……っ、むりぃ…っ」
「俺たちに任せりゃいいんだ」
恐怖の中心にいる男は声だけ優しく、乱暴な手つきでボクサーパンツを下げた。言い訳しようのない姿に園田は一縷の希望も消え失せる。ゴツゴツと固い男の手が谷間を滑り、去っていった次に宛がわれたものに声までも奪われた。
「とりあえず濡らしてはやるよ」
白い太股の間を赤黒いぺニスが滑る。男たちは唾を飲んで色めき立った。早く自分も同じように気持ちよくなりたいと、その一心で反り返るぺニスを園田の体へ押し付けた。下肢だけに止まらず、両手に握らせる者もいる。
「くぁっ、ひ、ぃっゃ…やだ……っ」
園田は感じたことのない不快感に泣くことしか出来ない。車内に不釣り合いな水音が、痴漢を働く集団以外にでも聞こえているのではないかという焦りも掻き消える。意識は全て男たちに向けられる。乳首を弄る指や、這わされた舌、生温い息、腰骨を濡らす先走りの透明な液、唇に塗りつけられる青臭い精液。全てが現実離れした、事実だ。
「っは、ぁ…あ、んぅ……んっくっあっぁ…」
「ようやくその気になったのか」
否定のしようもなく育ったぺニスを指の輪で擦られ、園田の表情がわずかに蕩けた。否定のしようもなく感じているのだ。主犯格の男が可笑しそうに、これまでターゲットにしてきた誰よりも上等だと園田を称える。そして、油断した尻の肉を割り、十分に濡れた猛るぺニスが園田へ挿入された。
「っーー…!がっ、ァっ…ーーーッ!」
異物による痛みは誰かの指を噛まされてしのげるものではない。園田は目を剥いた。頭の中で何かが弾けとんだように錯覚していると、手の中で男が射精したのが信じられなかった。しかしよりその心を砕いたのは、自分のぺニスが萎えてないことだった。
「は、っ……気持ちよくなれて良かったな」
「っ…もち、よくなんか……っ」
「男に触られてこんなにおちんちんが元気になってる。そういうのをなんて言うか知ってる?」
「知らな、…っぃ、ぁ、ん……も、許し、て…!」
ぐんっと奥まで侵入したぺニスは緩やかに引き抜かれ、再び中を抉る。何度も、何度も、園田を犯した。残った男たちも快感を共有しているのか呼吸を乱れさせ、絶頂の時を迎えようとしていた。ぐらぐらと世界が揺れる。園田はなんとか抑えた声で喘ぐ。
「あンッ、はぁ、あ……っ、んひ、ぃっ…ふぁ、あっ」
「処女じゃないのか?前立腺、いいんだろう」
「は、はじっ…め、てに決まっあ、あっ…や、ぁ!」
「えっちな子だな。もうイきそうじゃないか」
園田は頭を振って快楽から逃れようとして、ふと気付く。窓ガラスに映る男が、増えていた。揺さぶられながら、体を撫で続ける腕に爪を立て振り返り、はくはくと口を開閉させる。死ぬことのない恐怖まで吸収したように、ぺニスは今にも弾けそうだった。
「変態」
「ッああ…はっ、ぃや…あっ、んうぁっ、だ、見なっで…!出ちゃ、出、くっぅンあああ……!」
想像を超える数の視線に串刺しにされた体は痙攣し、やがて目の前がスパークした。覚えのない、痛いほどの快感に飲み込まれて膝から崩れても床は遠い。これは夢ではないかと逃避しかけ、園田はガタガタと不規則に揺れ続けた。


「ちょっ……ところてんとか、素質ありすぎ」
気絶寸前の体の奥と外で立て続けにびゅるるっと精液が迸る。男たちはチャコールグレーのスーツを、忘れるなと言わんばかりに残滓で汚して息をついた。
「なんだ、終わったのか」
「まさか……まだまだ帰すには惜しいだろう」
無理矢理立たせた青年は、途切れることなく代わる代わる己を犯す男たちに引き攣った笑みを返した。



141013
三日月さまリクエストありがとうございました!

 



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