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Memo

更新
2015/06/11

大丈夫、大丈夫と優しい五本の指が傷ついた額を撫でる。繰り返し見せられる悪夢は吹きつける風と脚をすくう深い砂だけがリアルで、すぐ傍にいた蹲る彼は息をしなくなる。それから耳障りな水音が始まる。水の一滴、草の一本もない孤独な墓場ですする生ぬるいその液体とはなんだ。鼻先をびっしょりと濡らして飲んでも渇きは癒えない。彼の名が体中をめぐっている。赤かっただろう血が無名の脚を染めていくことで、天に届きながらも地獄でもがく。とても無責任なことを言えば、明日のうちに全てを捨てて死んでしまってもよかったのだろう。君の元へと行きたかったのだ。
「大丈夫だよ、エルサレム」
ああ、ジェネシス。オレの名を呼んでくれ。この化物を殺しにきてくれ。遂に見ることのなかった3本脚の君が恋しい。遠い蹄の音に耳を欹てて待つことに疲れたら、グルメな君へ思い出を切り開いて差し出すのに。


/エルサレム→ジェネシス

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