SSS
NLBLジャンルグロごっちゃ



[DQ5/主フロ]

91.あふれる


込み上げて来る熱いものを止めることができない。
子どもたちの手前、決してそれを零すまいと堪えていたものが。
石から生身へと解れていくその皮膚に、早く早くと抑えることができない。
気が遠くなるくらいの時間を思い出し、また拍車をかける。
自分も同じだったからわかるのだ。
思考まで石にされていたわけではない。
彼女も同じように苦しみ、自分や子どもたちを案じ、自分たちの姿を見つけた時、どれだけの想いが溢れ出たか。
その声を、感触を、瞳に光を…

ああ駄目だ思考がぐちゃぐちゃだ
早く、早く、

「…………あなた」

可哀想なくらい掠れた声が、でもずっとずっと聞きたくて仕方なかった愛しい声が、鼓膜を震わせた。

「フローラっっっ」

感情と、声と、そして涙が、僕の体の全てからあふれる。


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恋愛雰囲気単語100題
thanks:fisika




[TOV/ユリジュディ(+カロ)]

90.飼いならす


「意外だったな」
「何がかしら?」
「ジュディは星喰み倒したら、どっかいっちまうんじゃねえかと思ってたからさ」
「そうね……私もそのつもりだった」
「俺としてはいてくれた方がいいから嬉しいんだけどな」
「ふふ、ありがとう」
「なんでなんだ?」
「だって、私たちのかわいい首領に引き留められては、断れないわ」
「おっと、我らがボスには勝てないか。妬けるな。……すっかり飼い慣らされちまって」
「……貴方もね」


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恋愛雰囲気単語100題
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[TOA/ガイティア]

89.駆けつける


「グランコクマは……少し遠いわね」

思わず呟いてしまったのは、彼が約束を守ってくれないから。

「アルビオールも私用で気軽に使えるわけではないし、仕方がないわ」

そもそもアルビオールを借りに行くのすら遠い。と、自分に言い聞かせるばかりで、心底からは納得しきれていない。
こんなに自分勝手だったろうかと考える。
そんなつもりはなかったけれど、彼とのことならそうだったかもしれない。

『困ったことがあったらいつでも呼んでくれ。君のためなら何をしていてもすぐに駆けつけるさ』

ウインクをして去っていく後ろ姿を思い出しては恨めしく思う。
そもそもあんなことを言うからいけないのだ。
今まさに困っている。
数週間、ずっと。

ガイに逢いたくて、逢いたくてしょうがなくて、困っている。
早々に手紙は出した。もちろん逢いたいとは書かず、内容は事務的なものだが。
それでもどうにかこちらに来られないかと打診するような内容だったように思う。
でも来た返事には使者を送るとだけ。
わかっている。自分たちはただの仲間で、伯爵様はお忙しい。自分も教団の業務が立て込んでいる。
別れる頃はお互いここまで忙しくなるとは思っていなかったし、こんな曖昧な困りごとでさえなければ本当に駆けつけてくれるのだろう。
それでも片想い中の心というのはどうにも厄介なもので。

「…………ばか」

あまりにも自分の声がいじけていて、参ってしまった。


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恋愛雰囲気単語100題
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※たぶん中盤でいったん解散してるあたりの時間軸。
久しぶりすぎていろいろ記憶あやふやなまま書いてますすみません…
時間軸的に整合性とれてないとことかあったら申し訳ない




[TOV/カロジュディ]

88.覗き込む


ふと、正面に立つ首領を見て、少し前まで私が背を屈めていたと思ったのだけれど。
下を向いてばかりの貴方の顔を、覗き込んでいたあの頃を、懐かしむ日が来るなんて。

「じゃあ、この依頼はジュディスに任せるね。こっちは僕が」

こんなにも逞しくなって。
前を向いてばかりの貴方の顔は、覗き込む必要がなくなってしまった。
それが少し寂しいだなんて、言ったら貴方にもユーリにも笑われてしまいそう。

「ジュディス?どうしたの?」

少し俯く私の顔を覗き込む首領の顔には、可愛かったあの頃の面影があって、思わず笑みがこぼれる。
どれだけかっこよく成長しても、カロルはやっぱり私達のかわいい首領なのね。


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恋愛雰囲気単語100題
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[TOB/アイロク]

せめて俺か奴かどちらかが人間であったらば。
そう思ったことがないと言えば嘘になる。
だが俺が聖隷だから、ロクロウが業魔だからこそ、こうして出会えたのだ。それを思えば種族の違いなぞ大した問題ではない。

しかし想いというのは複雑で。
触れ合うことができないもどかしさというものは、どうにも慣れずつきまとってくる。
ロクロウに愛しさを感じる度に、喉が渇いて仕方がない。

「なんだ、喉が渇いているなら心水でも飲むか」

心水で潤うものではないことくらい、お前も気づいているだろうが。




[DQ5/主フロ]

87.よろめく


「たくましくなったね」

そう言うと、フローラはぷくりと頬を膨らませた。

「女性に贈る言葉ではありませんわ」

なるほど確かにと僕は慌てて手を振った。

「あ、いや。すまない。ただ、昔は馬車から降りる時によろめいたりしていたのに、今ではすっかりだから」

旅慣れたことへの褒め言葉のつもりだったのだと。
それはどうやら嬉しかったらしく、血色の良いその頬をさらに赤く染め、にっこりと笑った。

よろめいた君を支えてあげる楽しみが減ってしまったのは、ちょっと残念だけれども。


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恋愛雰囲気単語100題
thanks:fisika




[□/2016/5/31]

100題log以外shortに収納しました。



[TOZ/ミクアリ]

86.見守る


時間があれば会いに来ていた。
いや、暇を見つけては会いに来ていた、の方が正しい。
彼女に僕が見えなくても、側にいてあげたかった。
国を想って涙を流す姿を見ては背中をさすり、彼を想って涙を流す姿を見ては拳を震わせた。
彼がいない今、彼女の涙を掬うのは僕の役目だった。たとえ触れることができなくても。
何年も、何年も、そうして見守ってきた。

「ミクリオ様……?」

それは突然のこと。
アリーシャは間違いなく僕の方を見て、僕の名前を呼んだのだ。
久しぶりに呼ばれた自分の名が、とてつもなく気高いものに感じて、鳥肌がたつ。

「アリーシャ……見えるの?」
「ミクリオ様、そこにおられるのですね。お姿は見えずとも、感じることができます。お声も聴こえます」

なんということだ。
僕はもう一生彼女と言葉を交わすことはないと思っていたのに。

「スレイが、頑張ってくれているからかな」
「ええ、きっと。嬉しいです、こうして再びミクリオ様とお話できること」
「僕もだよ」

アリーシャはふわりと笑う。
スレイがとりわけ大切にしていた、心からのあの笑顔だ。
思わずどきりと心臓が打つ。

「ロゼが言っていました。ミクリオ様はいつでも私を見守ってくださっていると」

本当だったのですねと、アリーシャの瞳が潤む。

「うん。君をずっと見ていたよ、アリーシャ。とても頑張っていたね」
「ありがとうございます。ミクリオ様がいてくださったから、私は頑張れたのです。ロゼから聞いて、どれほど心強かったか、言葉に表すことができません」

報われた気がした。
見返りを求めてなどいなかった。
それでも、彼女の感謝の言葉が、僕の全身を駆け巡る。

「これからも見守り続けるよ」
「願ってもないことです。でも、ご迷惑ではありませんか?」
「何を今さら。君さえ構わなければ」

今まで何十年側にいたと思ってるんだ。

「最期まで」

シワの増えたその笑顔は、共に旅したあの頃と遜色ない美しさを湛えていた。


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恋愛雰囲気単語100題
thanks:fisika




[FEif/ジョエル]

85.刻み付ける


「ジョーカーは、私とカムイ様のどっちが大事なのかしら」
「……そっくりそのままお返ししようか」
「?私はジョーカーよ?もちろんカムイ様も大切だけど」
「エリーゼ様の方だ!」
「ならエリーゼ様ね」
「ぐ……俺だってカムイ様の方が」
「そう……」
「そんな顔をするな。お前が言い出したんだろう」
「そうね……」
「……………まあ、菓子をやるならお前の方がいいかもしれん」
「またそうやってお菓子を利用する」
「あー、くそ。正直カムイ様よりエルフィの方が大事だ。認めたくないがな」
「本当?」
「疑うのか」
「だって……んっ」
「これで分かったか」
「え……」
「分からないなら、その唇にもっと刻み付けてやる」
「ちょっ……」


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恋愛雰囲気単語100題
thanks:fisika




[SN2/マグ(ルウ)+ネス]

84.縛り付ける


「アメルはまだ、か」
「ネス……。うん」
「ルウは?」
「街に行ってる。ネスが来るってわかってたら引き留めたんだけど」
「いつでも会える距離だ。かまわない」
「……なあ、ネス。俺はルウを縛り付けてるんだろうな」
「なんだ突然。しかも今更じゃないか」
「ぐ……」
「他の女性の目覚めをひたすら待つ男に何故ここまで尽くせるのか、僕には理解できないね」
「ぐぐ……」
「だが、君がアメルを見放すような男だったら、ルウは好きにならなかったんじゃないか?それに、もともとこの森を守っていたんだ。きっと君がいなくても、彼女はアメルを待ち続けていた気がするよ」
「……そうだな」
「君が気にすることじゃないということだ」
「……ネス、励ましてくれてるの?」
「君はバカか?ルウの名誉のためだ」
「はは、そっか。ありがとう」


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恋愛雰囲気単語100題
thanks:fisika




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