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あらすじ!

社畜パワーでジュソシチェンジ★を果たした呪詛ミンこと七海建人は、呪詛師活動中にストレスと疲れが原因でヘマをし、腹や胸をかっさばかれ、さらには謎の暗闇に飲み込まれてしまったのだった!

一体これからどうなっちゃうの〜!?







………
……



たまにはシャバの空気でも吸うかと、久方ぶりにお天道様の下に出たと思ったら、体内時計が狂っていたせいで朝の4時だった。
あらまあ、朝焼けが迫っているではないか。

人も車も行き交うことの無い街の中を小銭の入った財布だけ持ち、てってこてってこ歩く。

夜と朝の間、湿った匂いと温い風が髪をふわふわと靡かせる。
安っぽいつっかけをペタペタと鳴らし、道端に落ちているゴミを横目に無心で歩く。
なるだけ人目に付かぬようにと選んだ道の先、その人間は道端に落ちているゴミと同じように存在していた。
否、落ちていた。

ゴミ捨て場のネットの上で上等なスーツを汚すそれは、グッタリと血を流しながら倒れ伏している。私は好奇心が働くままに、網にかかった魚のようになってしまっている人間に一歩、二歩と近付く。
起きる様子が無いことを確認し、しゃがみこんでそっと顔を覗き見た。

「……鼻が高い…」

色白な高い鼻を指先でツゥとなぞり、静かに閉じた瞼に沿って羽を休ませる、天使の羽のように綺麗な睫毛を見やる。

…綺麗だ。

血だらけで、疲れの色が濃く出ている肌をし、尚且つ自分よりずっと大きな身体をしていると言うのに、私にはこの時、この人がどうしてか酷く美しく思えた。


空を仰げば、夜明けの光が昇りはじめている。

ああもう時間だ、早く家に帰らなければ。

朝焼けに背中が照らされるのを感じながら、私はその場を離れるために一歩二歩と足を前に出す。しかし、後ろ髪を引かれる思いで振り返り、倒れたままの男をぼんやり見つめた。
…この人は、このまま放置しておいたらどうなるのだろうか。
男を眺めていれば、ふと文豪の言葉を思い出す。


ゲーテ曰く、太陽の下では塵でも輝くと言う。


では、もし、太陽の下でこの人間が微笑む姿が見れたのならば、それはどれ程美しいのだろうか。

その瞬間を想像する。
しかし、想像力の足りない頭では太陽の光すら満足に思い浮かばなかった。

だから私は、好奇心の赴くままに手を伸ばす。



ああ、夜が明ける。
新しい一日が始まる。

新しい生活が、始まろうとしている。
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