ジョバンニごっこ(仮)
ジョバンニごっこ(仮)
「新境地ではお互いの子絡ませてるけど、小説ではまだだったよね?」
ツイッターで思い付いて勢いのままに開始された、オリキャラブ病をこじらせて入院中の仲間『まんげつ日和。』望月さんとの間で行われる楽しい企画!
指定キャラの変態兄妹をお借りしてます
二人で何やらやばい研究所の人間と戦うお話です\(^o^)/こんな敵いたらちょっとやばいので、誠くんが二人に悪夢を見せた設定でもいい気がする←
さくらちゃんが饒舌な上にゲス格好いい系になっちゃいました
あとなんか長くなった(´ ゚ω゚`)
「なっ……!?」
ぞくりと皮膚が粟立つ、と表現すべきか、形容し難いこの感覚。自分の能力を外部から使用されたような感覚。
それよりも気になって仕方がないのは股間がやけにスースーすることだったが。
[見せっぱなしにしないでお兄ちゃん]
通り雨を連れてきた雨雲も去り、快晴の青空。
さくらにせがまれて一緒に散歩に出ることになった陸。
まだ雨水のはけていない公園を横切っている時。
そこで何故か勝手にずり落ちたズボン。
しかも赤フンが無い。
「どうしたんでしょう、何か朝から身体が熱くて……まさか」
[もうすぐお昼、お兄ちゃん]
「まさか僕、興奮して……」
ゴンッ
その先を言わせまいと氷のたらいを落としたさくら。だが、若干遅かっただろうか。
……結果的に陸が黙ったのでよしとしよう。
「やあ、キミって確か能力者だったかな?」
砂を踏みしめる音がする方角から呑気な声とともに焦げた臭い。
そちらに目をやると、炎を出して燃える物体を砂上に落とす白衣姿の男と、その後ろからだらしない着こなしのスーツの男が歩いてやってきていた。
「能力者?いや、どうかしました?」
何か危険を感じたのか、さくらはじーっとその男を見つめる。警戒している様子だ。
「ちょーっとついてきて欲しいんだけど……」
[本当のこと、教えて。目的は、なに]
訝しむ眼を逸らさない彼女に、隠し事とする必要もないかと男たちはあっさり口を割った。
「俺たちさぁ 脳波から異能の力を引き出すっていう研究やってんだ」
「ま、俺は被験者なんだけどな」
ああそれならば彼らも能力者のようなものなのか。
陸は股間を両手で覆い隠したまま真剣な表情で考察していた。
もしも僕のふんどしを勝手に脱がせたのが、僕と同じような能力をもってしたものなら、少しばかり厄介だな……。
「ホンモノの異能者よりはスペック劣りだけどさ、実際どこまでできるか試さしてくんね?」
「んで、あわよくばキミら連れて帰るわ〜」
あんな不審な研究内容を告げられた後だ、連れて行かれた先で何をされるか。
だが能力スペックが低いのなら楽に遣り過ごせるだろう。そう踏んだ陸はズボンを引き上げつつ一番気になっていたことを尋ねた。
「僕のふんどし知りません?」
「ああ、コレのことか?」
男は足元の黒い塊を靴底で踏みにじった。ぐしゃり、と乾いた音がして数秒地面に擦られたところでそれは真っ黒な粉と化す。
目を見開く陸にニヤリと悪い笑みを浮かべ、
「この時代に随分とチンケなモン穿いてんだなぁ。……いや、そうだ、今は穿いてねえのか。下着」
その消し炭の中に赤い布地の燃え残りを見留め、ベルトを閉め終えた陸がキッと前を睨み上げる。
「覚悟はできてますか」
「あれえ?怒らせちゃったあ〜?」
「もうとっくにですよ。あなた方のやっていることは能力開発を侵し、非常に悪質だ。それに」
悲痛な表情に変化する。
「僕は下着を失ってしまった」
拳を握りしめて怒りを圧し殺した声で何とも微妙な台詞を吐いて啖呵を切るという形とした。
「敏感な所に硬い生地が直接擦れて不快です」
公園のゴミ箱を操り男たちを吹っ飛ばそうとするが、むこうは収集所のからす避けネットで対抗してきた。
ゴミ箱は防がれ、それどころかぴんと張ったネットに弾き返される。
「さくら!」
間一髪でさくらを避けさせることに成功する。自分の元へ走ってこさせ背に庇った。
何が劣化版だ、十分脅威ではないか。
こっちはふんどしがなくて集中力が切れそうだというのに。
焦りかけていると袖を引かれた。振り返ると さくらが無表情のまま頷く。陰りのないこの場所で、少々眩しそうだ。
そうか、彼女とならうまくいくかも知れない。
ざわざわと空気が動くのを感じ、陸はさくらをおんぶする形でそのまま足の下にあったマンホールの蓋を動かした。
「逃げようともしないのか」
「俺たちについてくる気になった〜?」
[そんなこと言ってない]
はっ、と苦し気に呼吸をするさくら。
大丈夫かと声をかけようとした陸だったが、普段同時には使わない能力をこうして使っているのだから負担がかかるのも当然かと目を伏せる。
陸はこそっと囁く。
「さくら。無茶はしないで」
[大丈夫……、少し、疲れるけど]
でも。
と、さくらの口元が僅かではあるが不敵に弧を描く。
[計画通り]
[わたしたちを、捕まえられる?]
随分と余裕そうだな、と苛立ちを含んだ声とともに男は地面にへたっていたからす避けネットを再び動かした。
「研究材料になってもらおうか!!」
風を切って襲いかかるそれにも陸たちは表情を変えない。
その網が陸たちを捕らえることはなかった。
ネットの中にいたのは 綿漏れした小さな縫いぐるみ。
「オイっ、どういうことだ!!」
「畜生あのガキどもどこに……」
先ほどまでの余裕はどこへやら、動揺しきったその姿を見下ろし陸は満足そうに笑んだ。
「懲らしめてやりますか」
[お兄ちゃん]
パキパキ、雨上がりの空気から水が集められては鋭利な氷の塊へと姿を変える。
鏡代わりの水蒸気も余さず使われたため、当然、地上に残っていた陸とさくらの幻影は消えてしまった。
[逃がさない]
「下手は打ちませんよ」
目の前の敵が消えたことに驚いた二人の男が 彼らの頭上に浮く兄妹に気付くよりも先に、容赦ない氷礫を浴びせる。
「あの場面で光の屈折を応用するなんてなかなか感心しました」
陸は後処理を電話で頼んだ後で、気を失った二人を残しその場を去っていた。
大好きな兄の誉め言葉にくすぐったそうに目をほそめ、彼の背にしがみつきながらさくらは普段と変わらないトーンで返す。
[水たまり使えそうだったから]
「たしかに、あの雨の後ですし水は使い放題ですね」
[氷のたらいも落とし放題……]
「えっやめて!?」
疲れた……とテレパシーではなくさくら自身の口からそんな言葉が漏れ、陸は優しく笑った。
「帰って休みましょう」
僕も少し疲労している。
それに、早く新しいふんどしを身に付けたい。
「しかし注意はしておかなければいけませんね……」
劣化版とはいえ超能力を開花させる研究社。まるで悪夢の具現だ。
どうかこれがくーちゃんの悪ふざけでありますように、と陸は密かに願っていた。