心理
※くだらないです
「なちるとデートするときは手を繋ぐのかい?」
放課後に待ち合わせた救急医療品の買い出しからの帰り道、シキからの何気ない問いかけに、光政は不思議に思い首を傾げた。
「繋ぐ、けど」
「へえ……普通に?」
「まぁ、こんな感じに」
光政はレジ袋を持ち替えてシキがいる側の手を空けた。
そうして並んで歩きながら自然にシキの手を取り、指を絡める。
「……普通だね」
「今そう言ったぜ」
するり、と指を解く。
いつも読めないシキだが、彼がスキンシップについて興味を持つのは珍しいと感じた。
「あんた、手繋ぎたい奴いんの?」
「特別そういうわけではないよ」
周りは男ばかりだしね。
そう付け加えてシキは話題を微妙にずらした。
「きみは、腕を絡めて歩くカップルを見たことはあるかな?」
光政は頷いて肯定を示す。
「けどそれがどうしたんだ?」
「それは男性ならば女性を支配したい、女性ならば男性に支配されたいという深層的欲求を示しているらしいよ」
「へえ……まじで?」
「なちるときみとではどうなのか気になったんだ」
「腕組むことはないなぁ」
なんか、期待裏切っちゃったかな?
言って苦笑すると、シキはそんなことないよと首を振った。
「ううん。手を繋ぐのは、相手と対等な関係でありたいっていうことらしい」
そしてやわりと笑う。
「きみたちらしいね」
「まあ、なちるは支配されるタマじゃないしな!俺もあんなの支配しようなんて恐ろしいこと、考えたこともねーよ」
「そんなこと……なちるに怒られるよ」
彼女のいないところではすぐこれだ、とシキは頭を掻く。単刀直入に言ってみればいいのに。
……そうしたところで折檻を受けるのは目に見えたことだったが。
ふと、光政が前を指差す。
「あれ、ラブラブって感じに見えるよなー」
「ああ、あれかい?」
背側からお互いの腰の辺りに手をあて並んで歩く男女が前方に見えた。
「相手に性的繋がりを求める深層心理が反映されているようだね」
「そうなのか」
「ああ」
そう言われてみればなんかエロいな、と思ってしまう光政である。
カップルから距離を置こうと二人は歩を遅める。
光政は周りに聞こえないようシキの耳元でぼそっと、
「……渡良瀬先輩は恋人いたらああしそうだよなー…」
「……そうだね……」
「へ……っくし!!」
「先輩、風邪?大丈夫?」
「サンキュー、平気だなちる。ティッシュ取ってもらえるか?」
―――――
なんか誰かこんなこと言ってたので
ネタにしてしまいました!
手を繋ぐのが一般的には多いと思います。