あいすみるくを一杯。


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05.始まる

今度は俺が、行動を起こす番だ。
俺は小さなメモ用紙を、既にリサーチ済みである蒼の靴箱に入れる。
それは、ただ一言書かれているだけであった。

『やり直す、そして始める機会を、ください』

場所なんて、時間なんて書く必要はない。
そんなものわかっているのだから。
午後4時、教室の窓側にある一番前の席。
いつも二人で楽しく話していた場所。
バタバタと走る足音、ゆっくり沈む夕日。
計算された芸術は、二人の心をより一層高揚させた。
「おいっ、これ書いたのお前だろ、蓮」
大きな音を立てて扉を開け、確信を持った鋭い眼光で蒼は見つめた。
「そうですけど、何か?」
「…………ばっかじゃねーの」
ほら、まただ。
そうやって、俺が弱いの知ってて、寂しそうな姿で暴言を吐く。でも、今度はー
「俺は、馬鹿です。それに告って、先生が困るのも知ってる。でも、好きなんすよ!」
半泣きの俺を、呆れた顔で優しく抱き締めてくれる。
「うるさい。静かにしないと誰か来ちゃうよ?」
むっ、と睨みつけると、なだめるように言葉を紡ぐ。
「本当はずっと苦しかった。でも、お前のお陰だ。ありがとう」
そして、とても小さな声で囁いた。

"すきだよ"


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