君が教えてくれた唯一のことA


テスト期間が明けたすぐの数学の授業でこの間のテストが返ってきた。
奈々枝ちゃんに邪魔された割にはまぁ点数は良かった。
「惜しかったな、千葉」
千葉は先生にそう言われてテストを渡されていた。
「千葉くん97点?すごいねぇ、私全然ダメだった」
千葉の隣の女子の声が聞こえた。
千葉は数学が苦手なはずなのに、俺よりいい点数を取っている。頑張ったんだな。そう思いながら、引っかかる。
千葉が間違えた問題って。
俺はまたもやもやした。

放課後、俺と千葉は高校の前のコンビニで肉まんを買って二人で食べていた。
そばかす顔を寒さで赤くしながら、千葉は肉まんを頬張る。
「千葉」
「なに?」
「あの問題解らなかったんだろ」
千葉は俺の顔を見ないで、口の中に残っている肉まんをゆっくり噛んだ。
「…タカちゃん、」
「……」
「奈々枝ちゃんと付き合ってるの?」
千葉の声はどこか静かだった。
俺の顔を見ないで地面なのか駐車してる車なのか、よくわからない所を一点見つめてそっと瞬きをした。
「…俺、それが気になって、眠れなくて、でもあの問題のことなんか、全然考えられなかった」
今にも泣きそうな顔をしていて、俺はそんな千葉を見て心の内に気付いてしまった。
こいつ、俺のことが好きなんだ。
奈々枝ちゃんをじゃない。俺を好きなんだ。
いつからかは知らないけど、そんな俺がテスト前日に奈々枝ちゃんとエッチしてるのを知らされたあの時の千葉の気持ちってどんなもんだろう。
単純にしかわからないけど、きっと苦しいに違いない。
それでも笑顔で仲良くしてくれていた千葉の本当の気持ちなんて、俺は知らなかった。
「……付き合ってないよ」
俺はどこを見てるかわからない千葉の顔を覗いた。
千葉は瞬きを繰り返しながら俺と目を合わせる。
「…本当……?」
「うん。本当。…ま、エッチしちゃったのは…事実だけど…」
エッチしたとかしてないとかは、今の時点で千葉には関係なかったみたいで、付き合ってないとわかると、瞳が少し煌めいた。
見つめてると、千葉は俺の頬をむにっと摘まんだ。

“ ほっぺた触るってことは、 ”

“ キスしたいってことだよ ”

ふと奈々枝ちゃんの言葉が浮かんだ。
「…顔近いよ……」
俯く千葉。
俺は千葉の顎を掴んで顔を上げさせるとそのままキスをした。
「っ」
ぼと、と音がした。
顔を離して地面にちらりと目を向けると、千葉の手から肉まんが落ちていた。
「た、タカちゃん……」
千葉のそばかす顔は、今まで見たことがないくらい真っ赤かで茹で蛸みたいだった。
「な……、なんでわかったの………」
口をぱくぱくさせながら、千葉はなんとかそう言った。
奈々枝ちゃんがそう言ってたって言ったら千葉はまた落ち込むかな。
「…なんでもわかるよ」
俺は千葉のご機嫌を取りたくて、なんでかそう言った。
千葉は可愛い。
女みたいに、奈々枝ちゃんみたいに、面倒くさくない。


「…本当にいいの……?」
俺のベッドに仰向けになった千葉は俺を不安そうに見上げた。
「俺はいいけど…、嫌になったんならやめるよ」
千葉は首を振って否定した。
「俺、はじめてだから、」
「うん」
「優しくしてね……」

千葉は俺に抱いて欲しいとお願いしてきた。
奈々枝ちゃんですら抱いた俺が、千葉を断る理由はとくになくて、結構あっさりと家に呼んでしまった。
千葉のワイシャツのボタンを、そっと外していく。
すると千葉が俺の手を掴んで止めた。
「やめる?」
「ち、ちが…そうじゃなくて…」
千葉は頬を染めてなんだか焦っている。
「恥ずかしいから…自分で脱ぐ……」
普通逆じゃないか、って思ったけど、千葉は起き上がって俺に背を向けるといそいそとボタンを外していった。
仕方ないから俺も服を脱いだ。
「……ぱ、パンツももう脱ぐ……?」
振り返った千葉は俺が上半身裸なのを見て驚いた。
「なんでタカちゃんも脱いでんの…」
「脱ぐだろ、普通」
「恥ずかしいよ……」
「いつも体育の着替えで見てるだろ」
「いつも見ないようにしてるんだよ…」
千葉は、女の奈々枝ちゃんよりもしおらしい。
俺はおかしくなって、顔を真っ赤にしている千葉を押し倒した。
「脱げよ、汚すだろ」
俺は千葉の顔を見ながら、少しテントを張ってる下着へ指をかけて下にずらしてやった。
「ん…っ、」
千葉は恥ずかしながらも腰を浮かして、するすると下着を降ろしていった。
片足を抜く時に、千葉のちんこに目が移った。
ちょっと頭を持ち上げている。
「タカちゃん…見ないで…」
千葉は頭からつま先まで全身真っ赤に染まっていた。
火照っている顔を隠す両手も指先まで赤い。
俺は千葉の手を掴みそっと顔からどけた。
「タカちゃ、」
薄く開いた唇を塞ぐと、千葉はもぞっと動いた。
ずっと一緒にいるから知っている。
千葉は誰とも付き合ったことがない。キスはコンビニの前でしたのが初めてなはずだ。
だから舌を入れるキスなんてものは、当然したことがないだろう。
予想通り、侵入すると千葉の脚が動いてシーツの皺の形を変える。
左手で千葉の体をなぞっていく。
胸はもちろんぺったんこ。
奈々枝ちゃんみたいな柔らかいものなんてない。
なのに乳首を摘まむと、女みたいにひくんっと体が反応する。
千葉はキスが下手だ。
口の端からさっきから涎をだらだら流している。
なんでこうなる。
俺は不思議に思いながら体を下の方へなぞり、太股を撫でてから千葉のちんこに触れた。
こっちもだらだら垂れている。
他人のちんこなんか触ったことないけど、なんとなく雰囲気で弄る。
千葉の息が荒くなった。
「ふ、…ぅ、ん」
千葉の手がシーツを掴む。
俺は口を離した。
「そんなとこ掴んでどうするんだよ」
俺はその手を掴んで俺のちんこに触れさせた。
「タ、っ」
焦っている千葉の口をまた無理矢理塞いだ。
キスしながらお互いのちんこを擦り合う。
なんか千葉の触り方は、俺のちんこの形をどういうものなのか探るようにしている。
そして先っぽをこすこすしてくるから、千葉って先っぽが好きなんだ、と思って俺も一緒のように触ってやった。
「っ、……は、ふ……」
キスの合間に千葉の息が声と一緒に吐かれていく。
もうすぐイキそうな雰囲気を出していた。
何か言いたげに目をパシパシさせているから、俺はまた口を離す。
「っ、ぁ、タカちゃ…、」
「どした?」
「イ、きそ…っ、ごめん……」
「イけよ」
俺は千葉の首筋へ顔を埋めた。汗の匂いがする。
耳にキスをして、穴に舌を入れ込む。
「ぁ〜…っ、ぁ、タカちゃん…、」
鼻にかかる千葉の声はなんだか可愛かった。
奈々枝ちゃんの高い喘ぎ声よりも。
「ぁ、ぁ、タカちゃ…、はぁ…、っ」
千葉はぎゅっと目を瞑って射精した。
俺の手のひらに全部かかった。熱い。
「……、ごめ、ティッシュ……」
準備が悪いことにティッシュはこたつ机の一番端っこに置いてあった。
手を伸ばしても地味に届かない距離だ。
めんどくさ、と思ってるとのそのそと千葉は起き出してベッドから降りた。
わざわざそんなことしなくたっていいのに。と思いながら手のひらに出された千葉の精液をなんとなく舐めてみた。
うまくはない。
ティッシュを手に取り振り返った千葉は精液を舐めてる俺を見て心底驚いたようだった。
「なっ、ちょ、ティッシュ!!」
千葉は大慌てでティッシュで俺の手についた精液を頑張って拭う。なんか面白くてずっと見ていた。
「…タカちゃん」
千葉のごしごしする手がだんだん弱くなり、俺をぼそっと呼んだ。
「俺…、今、すごく幸せ…」
俯く千葉の顔はまた赤い。
「ずっとタカちゃんのこと好きだったから…」
「……」
「もう死んでもいいかも、」
なんてね、と小さく笑った千葉の頬を摘まんだ。
「いっ、」
少し強くしすぎて千葉は声を出した。それを消すようにキスしてやった。
またテンパってるからおかしくて、ベッドに押し倒した。
「死ぬのはまだ早いだろ」
「え…?」
「お前が抱いてって言ったんだろ。まだ抱いてない」
「…、タカちゃん……、わっ!」
俺は千葉の脚を掴んで広げさせた。
千葉のお尻の穴に指で優しく触れた。
「ひ、」
「これからもっと気持ちいいことしてやるから」
「ぁ」
「へばるなよ」

他人のお尻の穴なんて触ったことないし、そこを使うなんてことも正直信じられなかったけど、女の人の性器のグロさに比べたら可愛いものだった。
俺は勝手がわからないからとことん中を解した。
ぐっちょぐちょのとろとろになっても掻き回していたら、千葉がもう我慢出来ないと泣き出した。
それくらい解した。
ちんこを入れるってなった時は、千葉はめちゃくちゃ力んできてなかなか挿入出来ずにいた。

「タカちゃ、」
「…、はいった」
やっとの思いで、俺のちんこは千葉の中に入っていった。
正直女の子を初めて抱いた時より大変だった。
しかし本当に排泄するだけのためにあるところなのかと不思議になるくらいお尻の穴の中っていうのは気持ちがいい。
「動いていい?」
千葉は頷いた。
ゆっくり腰を引いて、ゆっくり挿入する。
ずっとそれを繰り返していると、千葉の息がだんだん上がっていった。
俺も少しずつ動きを早めていく。
「ぁ、あっ、あ」
めちゃくちゃ解したからか中は柔らかくてとろとろだった。余裕を見せてたけど、結構やばいかもってくらい気持ち良くて、優しくしてって言われてるのに無意識のうちに激しく突き上げてしまう。
「あっ、あっ、あっ、タカちゃん…っ」
千葉は泣いていた。
涙を横に流しながら俺を濡れた目で見上げる。
「…ごめん、痛かった?」
動きを緩めると千葉は横に首を振る。
「きもちいい…、こんなの、俺、はじめてだから…っ、幸せ…、」
可愛い奴。
俺は千葉のちんこを弄った。中が締まる。
「ぁーっ、タカちゃ、あっ、ぁっ」
「…千葉、」
「ぁんんっ」
俺もかもしれない。
こんなに気持ちがいいのは、初めてかも知れない。
初体験の女の子も、奈々枝ちゃんも、可愛い子だったけど、俺はそれを上から冷静に見つめていた。
結局イッたし、まぁ感じてはいたんだから、あんまり偉っそうなことは言えないけど。
「タカちゃん…っ、」
千葉は俺に向かって腕を伸ばしてきた。
俺は身を倒して千葉の腕の中に包まれた。
「あ…っ、はぁ……っ!ん、はぁ」
わざとらしくない喘ぎ声が、逆にいやらしい。
「千葉……」
名前を耳元で呼ぶと中が喜んだ。可愛い。


ピンポーーン


「……」
突然だった。
家のインターホンが鳴っている。
もちろん居留守を使うつもりではいるが、問題なのは誰が来たか。
「タカちゃん…?」
動きを止めた俺に千葉は声をかけてくる。
俺は耳を澄ました。
玄関の扉が開いて、中に入ってきた音がしている。
こんな勝手なことをする奴なんて一人しかいない。
「奈々枝ちゃん来た…」
「え、え…」
玄関に俺たちが脱いだ靴がある。
奈々枝ちゃんはそれを見たからこそ勝手に上がり込んだんだ。
つまりこの部屋に来る。
「タカちゃん、」
「タカ坊−!!」
俺の予想通り、階段の下から俺を呼ぶ声がする。
「帰ってきてるのー?」
俺は思わず舌打ちした。
「千葉、ごめんな、一回抜くから…」
「ん、」
千葉も頷くが、俺のちんこはなかなか抜けない。
「千葉、力抜いて」
「え、え」
焦ってるのかそれに興奮してるのか、なぜが千葉の中は俺を離すまいときゅうきゅう絡みついてくる。
「ケーキ買ってきたから一緒に食べよー!」
奈々枝ちゃんの声が足音と共に近付いてくる。
「千葉…っ」
「待っ、あっ、ごめ、あっや、なんかキちゃう…っ動いちゃだめ…っ」
「ちょ、」
「あっあっ!ぁーっ!」
「…っ、締めすぎ、」
千葉は奈々枝ちゃんに見られると思った羞恥心で、射精した。
俺もずっと調整してたけど、千葉がめちゃくちゃ締めつけてくるから、思わずイッてしまった。
「……、はぁ…っ」
「………、ご、めん……」
力が抜けた千葉の中から俺はちんこを抜いた。
ゴムの中にたっぷり精液が溜まっている。
「……奈々枝ちゃん、来なかったね……?」
千葉はそう呟いた。
奈々枝ちゃんのことだから無遠慮に部屋に入ってくるかと思ったのに。
「……なんか、最後間抜けだったな」
俺はゴミ箱にゴムを捨てて、ベッドに寝転がった。
「…俺緊張してたから…なにがなんだか…」
千葉は笑いながら体に飛んだ精液を拭いた。
「次はちゃんとするから」
千葉を見ながら言うと、千葉は顔を真っ赤にして俺を見た。
「なに?」
「ま、またしてくれるの……?」
「え?」
「また俺と、してくれるの…?」
千葉は不安そうな顔を向けながら言った。
俺は次があるのは当然のことだと思ってたから普通の顔して頷いたけど、千葉はまたぼろぼろ泣き出して、でも顔は笑っていた。
「嬉しい、タカちゃん…」
俺は起き上がって、千葉の涙を拭った。
濡れた唇にキスをすると、少ししょっぱかった。


back

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -