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授業終了の鐘が校内中に響き渡る。教卓には教科担当であり、このクラス、C組の担任が立っている。黒板から向きをかえて教室中を見回し、廊下側の一番後ろで寝ている春輝に気付き、声をかけた。

「・・・ということで、矢野ー!!」
「・・・おはよーございます。先生。」

その大声に気付き顔をあげて、春輝は担任に向かって一言言った。そんな春輝に担任は笑顔で教卓の上にあるプリントの束を叩く。
春輝は目を細めてそのプリントを見る。その表情を見て、担任は言う。

「これな。明日の高等課程の集会に使うからな。全生徒人数の485部。まぁ、余分に作って500部は作れるようになってる。今日、残って作れ。」
「ちょ、先生。冗談きついっすわ。」
「いや、冗談な訳ないだろ。」
「え、マジで?」
「それじゃあ、今日はここまで。解散。」

帰りの支度をするものが居る中、春輝だけは呆然と座り込んでいる。その様子に気付き、数人の女子が満面の笑顔で話しかける。

「矢野くん、私、手伝おうか?」
「あ、私も!」

そんな様子の女子達と目を合わせずに春輝は席を立ちながら、低いトーンで短く答える。

「いい。」

そういい、教卓のプリントを確認する。ページごとに分かれていることを確認すると、生徒の使っている前の二列分の机に置いて行く。一人だけ席に座ったままの紘樹に視線を落とし、春輝は声をかける。

「なに?ひろやん、手伝ってくれるん?」
「え?ないない!俺帰りまーす。それじゃ。」
「ちょ、ちょい待ち!え、用事あんの?」
「合コーン!女子と騒いじゃうよー!」

スキップをしながら教室を出ようとする紘樹を、唖然としながら見送る。その間一度も振り向かずに出て行った紘樹に春輝は密かに苛立ちながら、作業を進めた。

《あんなん、親友とちゃう!嫌いや、もう、嫌い!!》

廊下を通り過ぎようとした夏希はなんとなく教室を覗くと、春輝を見付け声をかけた。

「矢野ー?」





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