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大都会のどこかに、異彩を放つ大きな建物がある。そこは有名なエスカレーター式の学園だ。その学園には、全国から優秀な人材が集められ、決まったマンションでの寮生活をしている。授業課程や制服、全てが自由に選択でき、この学園に通いたいと夢を抱く者もいるほどだ。名前をECD学園、これはその学園に通う生徒達の物語である。

「ね、知ってる?C組のさー・・・」
「あー、イケメン君の話?」
「そうそう。」

季節は夏。女子生徒が廊下で楽しそうに談笑している。その光景の中で明らかに周りとは違った整った顔立ちの一人の女子が通り過ぎる。
その女子に目を釘付けにされる男子、通り過ぎて後ろを振り返る男子。男子生徒の視線を一身にあびている彼女、松下夏希である。

《困った。保健室どこ?やっぱチャキについて来てもらえばよかったかも。》

夏希がそんなことを思いながら歩いていると、突然肩を叩かれ一人の男子が話しかけてきた。

「なんか困ってる?どうしたの?」

夏希は唖然としながらも、男子の問いに答え、保健室の場所を聞きすぐに保健室に向かう。
その姿を男子は見送ると、何かに気がつき小声でつぶやいた。

「・・・あ、やばいかも。」

そんなことを言われているとも知らずに、夏希は1階に降り一番奥の保健室の前に立つと、ノックをし恐る恐るドアを開ける。

「失礼しまーす。・・・あれ?」

保健室内を見渡したが、手当てをしてる生徒はおろか、教師すら見当たらない。呆然としていると、いきなり声をかけられた。

「何の用?」
「・・・え?」

辺りを見回しても誰も見当たらない。しかし、空耳でもない。夏希の頭に色々な疑問が浮かび始めた頃にベッドのカーテンが開いた。その音に驚きながらベッドの方に目を向けると、目を釘付けにされるほど顔立ちの整った男子が眠そうに夏希を見た。しばらく沈黙が続き、男子生徒が口を開く。

「・・・あんたも俺の話聴いてここに来たの?松下さん。」
「え?何で名前・・・?」

夏希は見知らぬ生徒に名前を知られていたことに言葉を失う。黙っていると、男子生徒が夏希方に近付いて来る。反射的に夏希は後ろに下がるが、男子生徒に壁まで追いやられた。
壁まで追いやられ、どうすることも出来ずただ、男子生徒の顔を見つめていると、男子生徒がまた口を開く。




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