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それは紘樹以外の生徒も同じ事だったが、春輝は構わず紘樹に質問する。

「なぁ、その子もしかして、A組の窓側の席?」
「え、ぁあ、確かに。」

机に頬杖をつき少し考えてから、春輝にそう答える。春輝の目がいつになく鋭くなる。そしてもう一度質問を投げかける。

「な、その子、めっちゃ綺麗な子とちゃう?」
「・・・そう、だな。うん、綺麗。」
「やっぱりかー・・・」

そう言いながら、力が抜けたように席にもたれかかる春輝。そして、紘樹に手招きして、顔を近づけさせる。そして数十センチの所で声をあげる。

「アホ!耳貸せ言うてんねん!」
「言われてねぇよ!」
「いいから!はよ!」

春輝の理不尽さに納得行かないながらも、渋々耳を貸す紘樹。春輝は小声で紘樹に聞く。

「・・・お前が気に入ってんの、松下・・・夏希?」

紘樹と距離をあけ、目を合わせず下を向く春輝。その様子を見て、思わずおかしくなる紘樹は堪えきれず声を出して笑った。その反応に驚き顔を赤くしながら紘樹を見て言う。

「な、何がおかしいん?俺はめっちゃ真面目に・・・」
「いや、だって、おま・・・子供か!」
「・・・どこが!で?どうなん?」

春輝の質問を理解して、笑いが収まるのを待ち、紘樹は答える。

「・・・いやね、夏希ちゃんとそうなれたら、まぁ、嬉しいけど。俺が今気に入ってる子は、夏希ちゃんの友達。千亜希ちゃんだよ。」
「え、ってことは何や、あれ?俺・・・嘘やん、俺恥ずっ!忘れて!全部!何してんねん、俺ー・・・」

そういいながら机に伏せる春輝。その様子を肩を叩き慰めながら見てる紘樹。そして、何かに気付き今まで以上に肩を強く叩く。その行動に驚き、春輝は勢いよく顔をあげる。

「痛っ!何すんねん!!」
「お迎えが。」

紘樹が指差す方を見ると、夏希が扉に立っていた。春輝は帰りの支度をすぐに済ませ、教室から出る。夏希は春輝を不思議そうに見ると、紘樹の存在に気付き、笑顔で軽く会釈をした。そして紘樹は二人の背中を見送る。

「・・・やっぱ、美女には美男じゃないとだな。」

紘樹は小さくつぶやき、自分も教室から出て行き、昇降口で千亜希を見付け、二人で下校した。






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