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そういわれ、目を見開く、みゃーこと呼ばれる女子生徒、宇佐見都は、隣に座って携帯をいじる女子生徒に目を向け言う。
「千亜希、私が聞くのって珍しい?」
千亜希と呼ばれたブロンド色で短い髪の女子生徒、柳川千亜希は携帯を持ったまま少し首を傾け、都の方を向き、話しだす。
「そうだね、たぶん。いつもなら私が真っ先に聞くもん。」
「そうゆうことか、今日はなんで聞かなかったの?」
携帯を閉じ、体の向きを夏希と都の方に向け笑顔を向け嬉しそうに話す。
「あのね、チャキは今いい人に巡り会えたのです。」
「え、何?チャキ好きな人できたの?」
満面の笑顔で頷く千亜希に夏希と都は顔を合わせ、笑顔になる。その二人を見て、いきなり思い出したかの様に千亜希がいう。
「あ。でも、夏希も恋してるんでしょ?・・・C組の矢野くんに。」
夏希は不思議そうな顔をし、千亜希の顔をまじまじと見つめる。夏希が答える前に教室に授業担当の教師がやってきたのと同時に授業開始の鐘がなる。
「はい、席付けー!」
「ちょっとセンセー!今日早くない?」
タイミング悪く教室に来た教師に千亜希は席を立ち、避難の声をあげる。すると教師は千亜希の方を向き、出席簿を手に取ってボールペンを持ちいう。
「柳川は、今日は欠席で良いか?」
「や、すみません!何でもないです、先生。授業、お願いします。」
教師の一言に焦りを隠せず千亜希は大人しく席に着く。そして教科書とノートを開き準備を整えた。
授業時間60分、その間C組では真面目に授業に取り組む生徒、寝ている生徒、授業中にも関わらず全く関係のない事をするものなどがいる。SHRの終了の合図と同時に騒がしくなる教室。そんな中で春輝が機嫌のいい事に気付く者が一人。春輝に近付き声をかける。
「やのちん、今日なんか機嫌良くない?」
「え、そんなことない、けど?ひろやんこそ、機嫌良さそうやん。」
ポーカーフェイスを気取って返事をする春輝に、ひろやんと呼ばれる黒髪の男子生徒、伊達紘樹は笑顔を向けて答える。
「わかるー?わかっちゃうかー!いい子見つけたのよ、俺。」
「顔面崩壊しかけてんで。」
「うるせーな、このイケメンが!その子A組の子なんだけどー・・・」
その一言を聞くと春輝は素早い動きで席から立ち、紘樹を見下ろした。紘樹は驚きを隠せず、春輝をまじまじと見た。
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