「先輩―?帰りましょ」
「あ、うん」
支度を終えて苗字先輩を迎えに行った。
黙ったまま校門を出てしばらく歩く。
「そういえば、」
先に沈黙を破ったのは、俺。
「今日、なんでこないな時間まで残っとったんですか?」
「あぁ、委員会」
「風紀?」
「そ。来週の校門前服装検査の打ち合わせ」
「それ必要あるんすか?」
「校長の要望だからさぁー」
この校則なんてあって無いような学校で服装検査なんて、なんて面倒なことをしてくれたんやろうか。
「あんまり派手すぎてもダメでしょ。当日はピアス外しなね」
「謙也さんの頭は?」
「あのヒヨコはどうしようも無いっしょ」
確かに今更戻されたとしても、それはそれで気持ち悪い。
それはそうと、そろそろ何か仕掛けないと無駄な下校になりそうだ。
「まあそうっすけど、
先輩」
「何?」
「名前先輩って呼んでもいいですか?」
「・・・・・何急に、別にいいけど」
「おおきに」
そう答えた名前先輩は目をまんまるにして驚いていて、とても可愛かった。
そう、可愛かったんだ。
「名前先輩」
「んー?」
「好きです」
「・・・・・はい?」
でなければこんなこと、絶対口走らなかったのに。
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