間違い探し

2

はっ、という短い息遣いを感じる。
一瞬ため息をつかれてしまったかとも思ったけれど違うみたいだ。

「俺も、したい……。」

夏目がそう言うと首筋を撫でられる。


今までの行為と一緒だと思っていたので、胸に舌を這わせられて驚く。
ふくらみの無い胸にはほとんど興味を示さなかった筈で。

というかこうやって向かい合っていること自体今までそれほどなかったのかもしれない。

熱い視線が俺の体を確認する様に見ている。

こんな風に今まで見られたことは、無い。
恥ずかしい。体がじわじわ熱い。

たたまれていた布団を敷いてそこに押し倒されてそれから服を丁寧に脱がされる。
大切に扱われているのが俺にも分かる。

乱暴に扱われて、いいように喘がされていた時とは違う。
全然違うからこそ、どうしていいのか分からない。

怖いというのとは違うけれど、せりあがる快楽にどうしたらいいのか分からない。

自慰の時も胸を触ったことはなかった。
だから、自分でもなんでむずかゆい様なピリピリとする感覚がするのかよく分からない。

甘ったるい、媚びる様な声が出てしまう。

癖の様に声を抑えようとする。
もう夏目は蔑んだめで俺を見下ろさないと分かっているのに、声を抑えようと唇を無意識に噛んでしまう。

そっと、夏目に唇を舐められる。

「隣の部屋、まだ帰ってきてないから、声出しても平気。」

欲情でかすれた声で夏目が言う。
たぶんきっと、夏目も気が付いている。俺が声を出さないように努めるのが癖になってしまっていることに。

だけど、お互いにそのことには触れない。

セックスは別に怖くないけれど、前の夏目との関係について考えるのは少し怖い。
夏目も多分一緒だ。

夏目の言葉で、なのか、キスを強請りたかったのか自分でもよく分からないけれど噛んでしまっていた唇を緩める。
夏目の舌が、俺をそっと撫でる。

それから、再び両側の乳首をくにくにとつままれて、今度こそ嬌声を上げてしまった。

夏目はとろりと甘い笑顔を浮かべてそれから俺の乳首に顔を近づけた。

「ちょっ、ひぁっ――」

待ってくださいという声は喘ぎ声になってしまった。
風呂にも入っていないし、そんなところ舐めなくてもいい。

慌てて、彼の頭を引っぺがそうと手を添えた瞬間、舌先で乳首をねぶられる。

手に力が入りそうになって、こらえる。
ちくちくがビリビリして、これは気持ちいいってことなのだと強く感じてしまう。

声が抑えられない。

ぞくぞくとした快楽が下肢に向かって広がって、中心からジワリと先走りがもれる感覚がする。

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