勘違いは繰り返される


※下ネタ注意
なんでも許せる方向けで、『勘違いの2乗』の後日談的なお話ですが、前話を読んでなくても問題ないです。



「失礼しまーす!」

勢いよく生徒会室の扉を開けると、
何やら英智君と敬人がひそひそと何かを話していた。

「どうしたの?」

私が声をかけると、2人ともビクリと肩を一瞬震わせ、振り返って私の方を見る。
そのタイミングが全く一緒で流石は幼馴染み、なんて考えつつ可笑しくなって笑っていると、
英智君が床を指さした。

「ねえ、ななしちゃんはこれ何だと思う?」

「へ?」

思わず英智君の質問にキョトンとしてしまう。
正方形の小さな袋が落ちている。

「おい、英智。ななしにそんなことを聞くな」

「えー、でもななしちゃんは意外と知ってそうじゃないか」

正方形の袋を見つめたが、私には何か分からない。
頭の上にクエスチョンマークを浮かべると、

「僕が思うに『ゴム』だと思うんだよね」

と、英智君が言った。
ゴム…?
何となく察してしまい、顔が熱くなるのが分かる。
勿論、ヘアゴムではない方のゴムだ。

「英智…だと、すると誰のだと言うのだ?
昨日は無かったはずだ。
だとすると、今日生徒会室に来た者のうちの誰かだろう。
…となると、生徒会役員のうちの誰か、だとしたらどうするつもりだ?」

敬人が英智君に尋ねると、ニコリと笑った。

「そうだね、とりあえず…落し物として職員室にでも届けておこうかな」

うわ…なにそれ、公開処刑じゃん。

「それ、英智君が恥ずかしくないの?」

「ん?僕はあくまで、拾って届けただけの立場だからね。
それに『なにかよく分からないのですが、生徒会室に落ちていました』って言っておいたら問題ないよ」

何が問題ないのか私にはよく分からない。
生徒会役員のうちの誰かのだとしたら、明らかに生徒会の立場が危うくなる。

「えっ、いや…英智君、それはやめとこう?」

「ということは、ななしちゃんが預かってくれるのかな?」

どういうことなの。
私が勢いよく首を横に振ると、英智君は冗談だよ、と言って笑った。

「英智。ななしをからかうのも程々にしろ」

「ふふ、ななしちゃんのことになると敬人はいつも以上に角を生やすね。
確かにななしちゃんに預ける、なんてちょっとセクハラ発言だったかな。
ごめんね、ななしちゃん」

苦笑しながら謝られ、私はとりあえず気にしないで、と言っておいた。
まあ、正直セクハラ発言なのには違いないとは思うけど。

「とりあえず、これは敬人が預かってくれないかな」

「何故俺が…度し難い…」

眉間に皺を寄せた敬人を見た英智君は、

「もう、落とし主が居なかったら、敬人が使えばいいじゃないか。
もしかして…ななしちゃんとするとき、使わないのかな?」

と爆弾発言を落とした。
敬人の顔をみると、眼鏡がズレ、明らかに動揺していた。
しかも、耳まで真っ赤。

「いや、使わない訳ではない…!!
あ、いや…その、あれだ…だが、まだ俺達には早い…」

敬人君は焦ると持ち前の頭脳も一気に動かなくなってしまう。
ボロが出る辺り可愛い。
………いや、そうではない。

「ああもう!とりあえず、これは没収します…!!」

生徒会室で卑猥な会話をしているなんて知られたら恥ずかし過ぎる。
我に返った私はこの会話を断ち切ろうと、敬人も英智君も触れていなかったその袋を手に取った。

「………?」

ゴムを実際触ったことがない私だが、思わず違和感を感じた。
思ったよりも硬い…?
すると、コンコン、とドアをノックする音が響いた。
慌てて私はそれをポケットに入れた。
ドアの空いた方を見ると、氷鷹北斗君がそっと中の様子を伺うようにして入ってくる。

「…失礼します」

「おや、北斗じゃないか。
どうしたのかな?」

北斗君はどこか恥ずかしそうにしながら、英智君の前に立った。

「…何か、忘れ物をしていなかったですか…?」

「「え?」」

私と敬人は思わずキョトンとしてしまう。

「あああああの、北斗君…今日落としたものかな?」

私がおずおず聞くと、

「いや…本当はそんなものを落とすものではないと分かっているんです。
いつも、持ち歩いているわけではないんです…たまたまポケットに入っていただけで…」

としどろもどろに答えが返ってくる。
こんな真面目な彼が持っているとは。
いや、寧ろ『避妊』という意識があるのは真面目な証拠かもしれない。

「今度からは落とさないように気を付けてね」

私はそう言ってポケットから先程床から拾い上げたものを彼の掌に乗せる。
すると、床の上に落ちていた時とは違う面が見えた。

「「え?」」

またしても、私と敬人はキョトンとする。
床に落ちていた時は、袋は裏面だったらしい。
北斗君の掌の上に置かれたそれは表面になっていた。
表面に書かれていた文字を見て、私と敬人は恥ずかしさで顔から火が出るような思いだった。


勘違いは繰り返される

袋には『ポリデ〇ト』と書かれていた

すみません、実話です。
職場にこれが落ちてて私の同期ちゃんたちがキャッキャしてたら、
男性職員のポ〇デントだったことがありました。
いつか書こうと思ってやっと書けたお話でした。
おまけ話もありますので、どうぞ。

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あからこ

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