新任式


「では、これから新しくこの学校で勤務する先生方を紹介します。」

淡々とした校長の声に、寝ぼけていた目を開ける。今日からは新学年、新学期。だらだらとつまらない校長の話にうたた寝てしまっていたけれど、同時に今日は自分達の担任の先生が分かる日でもあるのだ。いよいよ私は目を開いて壇上に視線を向けた。隣では、同じクラスのサスケがお前また寝てたのかよ、なんて悪態をついてくるけど、今の私はそんなの相手にしている暇などなかった。ぞろぞろと壇上に上がる、見たことのない新しく赴任して来た先生達。ここはこの地域では結構トップクラスの進学校だから、ここに来る先生達も割と引き抜きが多い。でも…なんか、パッと見そこまで惹かれる人もいないかも。なんて失礼なことを思った矢先、一番端っこに立っている先生に目が釘付けになる。ちょっと遠くてはっきり見えないけど、あれは、男性?女性?や、服装的に男性だろう。黒いスーツを着たその先生はとても綺麗な顔立ちをしていて、明らかに頭が良さそうだ。校長が「うちはイタチ先生」と名を呼ぶと、彼が立ち上がった。思わず、私は瞬きもせずに見入る。低く澄み渡る声はやはり男性のもので、あぁなんて美しい男性なんだろう、でもなんかあの顔どこかで見たことあるような気がする。ん?あれ?確か、名前…

「う…うちは、って言った?今の先生」
「あー、俺の兄貴だからな」
「あっ、」

兄貴!?と叫びそうになった口をサスケに慌てて押さえられて、口ごもる。驚いたけど、確かに納得だ。どこかで見たことあると思ったら、サスケだ、サスケに似ているんだ、流石兄弟なだけあって顔が物凄く似ている。私はサスケの手を退かしながらもう1回2人の顔を交互に見た。うん、でもやっぱりお兄さんの方が綺麗で品もありそうだ。サスケには絶対言えないけどね。

私が壇上のイタチ先生(うちは先生と言うのはなんだかサスケを指しているようで嫌だから、仕方ないけど名前で呼ばせていただこう)を見つめているうちに、いつの間にか各学年の担任の発表の時間に移行していて、まず1年生から順に先生の名前が呼ばれていった。うちの学校は各学年5クラスで各クラスに担任の先生が1人、副担任が1人、各学年に学年主任の先生が1人配属される。だけど正直、特進クラスのためクラス替えがなかった3年生の私たちの担任なんて大体持ち上がりに決まってた。今年もどうせ適当なカカシ先生なんだ。

「3年2組担任、はたけカカシ先生」

がーん。やっぱり。悪い先生じゃないし、むしろ良い先生なんだけどイタチ先生を見てしまった今、担任がカカシ先生って物凄く喜べない。私のクラスのみんながきゃーきゃーと両手を上げて喜ぶ中、私はぶつくれた顔で両足を投げ出した。あーあ、高校生活最後の1年間くらい、なんかこう、ときめいた生活送りたかったなぁ、

「副担任、うちはイタチ先生」

はぁ、イタチ先生は副担任かぁ。ダメだよそんなの、イタチ先生が担任じゃなきゃやだよ、ん?え?今、なんて言った?3年2組の副担任は、誰だって!?すかさず壇上を見ると、名前を呼ばれたイタチ先生は一礼をして階段を降り、我らが担任、カカシ先生の隣に立った。ってことは、ってことは!目を爛々と輝かせてサスケを見ると、彼はなにやら目頭を押さえて俯いている。同じクラスの女子が発する黄色い声が私に告げる。間違いない、3年2組の副担任はイタチ先生だ!!


新任式

(…普通肉親を就けねぇだろ)
(私立万歳!!)



20130710


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thanx!! :)


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