儚い幻は掴めない



ミー様へ 26200Hit記念



「イタチ、」


1人縁側に座って外を眺めているイタチに声をかける。すると彼はふわりと微笑んで手招きをした。私はそれに小さく頷き、彼の右隣に腰を下ろす。こんなに穏やかな日はどれぐらいぶりだろう。思わず顔がほころんだ。


「何か用があったのか?」
「ううん、…ただ、傍に居たかっただけ。」
「…可愛い奴だ、」


彼の右手が私の背を通って右肩にかかり、引き寄せられた身体。顔を上げれば唇が触れ合って、私は驚いてバランスを崩し、彼の胸にもたれかかる。
なんでだろう、彼の顔はいつも見ているはずなのに、今日は特別胸がどきどきする。いつもと同じキスをしただけなのに、身体がとろけるように熱く火照った。


「…○○?」
「私…今、物凄く幸せだよ。」
「急にどうした、」
「イタチは?…イタチは…幸せ?」
「…あぁ、幸せだ。」
「…良かった…」


彼の言葉は多分、嘘だと、思う。私が勝手に予測していることだから、それこそ本当に彼がそう思っているのかどうかは分からないけれど、でも、彼の真の幸せはきっとサスケが握っているのだろうなと私は思う。時折見せる切なそうな顔、憂いを帯びた溜め息、哀しそうな眼差し、その全ては私に対するものではないのだと、私は知っている。でも、直接彼に聞くことなど出来ない。下手なことをして今のこの幸せが壊れてしまうのが酷く怖いから。
そんな私も結局自己中心的なのだと言われるのかもしれない。


「…本当に幸せ?」
「…幸せのかたちは人それぞれだと俺に教えてくれたのはお前だ。○○が俺の傍に居てくれるなら、俺は幸せなんだ。」


嗚呼、この人はなんて優しいのだろう。深く重なった唇が震えていた、それはきっと私の言わんとすることが解ったから。愚かなことをしてしまった、だけどそれもあなたを愛するが故、


「ごめんなさい、私、」
「謝らなくて良い、謝らなくてはならないのは俺の方だ。」


そしてまたゆっくりと重なる唇。どこまでも果てしなく優しい彼の隣に、あとどれぐらい居られるのだろうと考えてみたが、その答えは出なかった。




(それが永遠だからだと願うことしか叶わなくて、)


2009.5/28
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thank you!! :)



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