アイスとバスタオルと理性


ギャグ甘
みさき様へ 24800Hit記念



「はーっさっぱりした!」


笑顔を浮かべ、バスタオルを1枚巻いただけの格好で脱衣場から出てきたお風呂上がりスタイルな私は、いつも楽しみにしているアイスを食べようと冷凍庫の扉に手を伸ばす。勢いよく開けると中からは冷気が流れ出て火照った身体を冷やした。さて、アイスが入っているのは2段目の棚のはずなのだけど、ない。冷凍庫の中を隈無く探したのだけど、やはりない。私は怒りに身を任せ、恋人であるイタチが居るはずの寝室の扉を開けた。しかし、お風呂に入る前までには確かに居たはずの彼は居らず、遂に何かが切れた私は部屋を飛び出して彼の捜索に向かう(バスタオル1枚で)。


「あっ、ちょっと!鬼鮫!!」
「?なんですか○○さっ、…え!?」
「イタチ知らない?イタチ!」
「ちょっ、何考えてるんですかその格好!」
「良いから早くして!イタチはどこなのよ!!」
「知りませんよ!」
「あっそ、言っとくけどねぇ、隠してても良いことないわよ!」


ったく、鬼鮫は相変わらず使えない奴ね。後ろから「イタチさんには、○○さんのその姿を見たこと言わないでくださいねー」とかなんとか叫んでる声が聞こえたけれど、そんなの知らない。後で月読でも天照でもされれば良いわ。


「○○…何してんだ?お前。」
「見て分からない?イタチを探してるのよ!!」
「いや、全く分からないんだな…うん…」
「イタチ知らない?」
「…それよりも先に着替えろよ」
「そんなことしてる暇はないの!」
「どんだけだよ!!」


みんなが集まる広間でぎゃーぎゃー言っているうちに騒ぎはどんどん大きくなり、遂に「○○のアイスを食べたのは誰だ」と言う議題が立ち上がる始末。すると角都がとんでもないことを言い放った。


「俺はこないだ○○がアイス片手に廊下を歩いてるのを見た」
「あっ、それオイラも見た!」
「…え?…あれ?」
「自分で食ったの忘れてるだけじゃねぇの?」
「そ、そうなの?」

「お前ら…こんなところに集まって何をしてるんだ?」


アイス問題が無事に片付きそうになっていたその時、突然イタチが現れたために一瞬で空気が変わった。○○が振り返った瞬間、彼は鬼のような形相で彼等を睨む。


「貴様ら…○○に一体何をしている…?」
「え…いや、あの」
「…○○が…アイスがないって言うから」
「言い訳は無用、」


逃げようとしたが時既に遅し、瞬時に写輪眼を開眼させた彼は術を発動させて彼等を幻術に陥れる。そして直ぐ様○○の腕を引き、急いで部屋に戻った。


「馬鹿野郎、お前は一体何を考えているんだ!!」
「ごめんなさい…」
「…もう良い、とりあえず早く着替えろ。」
「イタチは何しに行ってたの?」
「○○がいつも風呂上がりに食べていたアイスが切れていたからな、団子を買いに行くついでに買ってきたんだ。」
「…イタチ…!大好き!!」


ビニール袋に入れられたアイスの箱を見た瞬間、○○は笑顔でイタチに抱き付く。しかし格好はやはりバスタオル1枚、イタチの理性は脆くも崩れ去り、彼は○○を寝室に連れ込みベッドに押し倒した。


「お前、自分の格好が男にどれだけの影響を与えるのか分かっていないようだな。」
「へ?」
「その格好で彷徨いているとどうなるか…お前の身体に叩き込んでやろう、」
「なっ、なに、」



どうやら、代償は大きいようです。




(もう二度としないと誓え。)
(もう二度としません…!)


2009.5/18
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