一目惚れ新転生


※微甘裏
瑞稀様へ 16300Hit記念



物凄く冷たい世界、こんなところに自ら足を踏み入れるべきではなかったと後悔するが時既に遅し、私は井の中の蛙、今まで何も知らなかったことを心の底から自嘲した。興味本位で行動した結果がこれ、明らかに無計画が招いた過ち。だけど私はそこからどうにかして光を見つけ出そうともがいていた。


「じゃ、全員一致で性欲処理だな、うん。」


その言葉が更に追い討ちをかける。私はそんな役割を果たしに来た訳じゃない、ちゃんと忍として、そのコートを纏いに来た。けれどそんな私の願いは一瞬で散り、今は拘束されたままとある部屋に繋がれている。なんて哀れなんだろう、こんなことなら初めから、


「…お前は…?」
「…」
「なんでこんなところに…?」


突然扉が開いたかと思った瞬間、黒髪の美少年が現れて私の傍まで近付いてきた。この人はさっきの話し合いには参加していなかった、もしかしたら話せば分かってくれるかもしれない。そう思った私は、彼に話しかける。


「あの、縄をほどいてもらえませんか?」
「…お前は何者だ、」
「○○と言います、ここに入りに来たら…拘束されて、性欲処理だ、って言われて…」
「あぁ…だからこの部屋に入れと言ったんだな…」
「え?」
「いや、なんでもない。」
「だから、ほどいてください!」


私が幾ら言っても、彼はそれを躊躇うだけで、縄をほどいてはくれなかった。それどころか、部屋を出ていこうとする。私が慌てて呼び止めると、彼は自分の名前を私に教えてくれた、しかし結局部屋を出ていってしまう。私はいよいよ力をなくし、深く項垂れる。やっぱりこの組織の性欲処理として生きていくしかないのか、あの金髪の子と赤髪の子と、顔に黒いのがたくさん刺さっている人と、オールバックの人はまだ綺麗な顔立ちをしていたけれど、顔が青かったあの人の相手をするのはちょっと嫌だなぁ…と言うか、1人だけ綺麗な女の人がいたけれど、まさかあの人も性欲処理にされているのかな、…多分違うな、私は使い物にならないから性欲処理に回されたんだ。そんな考えを張り巡らしていると、早速銀髪の忍が入ってきて私に触れた。


「お、居た居た、早速相手してもらっちゃおうかな、」
「っ!」
「俺は飛段だ、思い切り可愛がってやるから、ちゃんと鳴けよ?」
「、やっ」
「そうそう、そんな風になァ!」


両手足を拘束されている私に大した抵抗など出来るわけもなく、ただただ一方的に進められていく前戯。彼の指が秘部に埋め込まれバラバラに動き始めると、私の身体は異様に反応を示した。この行為の先が怖くて、嫌で仕方がなくて、私はついさっき現れた彼の名を叫ぶ。


「や、やっ…イタチ…、イタチぃっ」
「…は?イタチ?お前、イタチの女なのか?」
「…」
「わ、悪かったって、そうならそうと早く言えよ、」


飛段と名乗った男は、私の口から発せられた彼の名に恐れをなし、すぐに身支度を整えて部屋から出ていった。理由はよく分からないが、とりあえず危機から脱出できた私は大きな安堵の溜め息をつく。すると、先程の美少年-イタチ-が再び現れた。


「…大丈夫だったか?」
「…飛段、って言う人に、」
「何かされたのか!?」
「指、入れられた、だけですけど…」
「…怖かっただろう…」


そう言って、彼は私を抱き締めた。それが無性に嬉しくて、暖かくて、私は1つの決心をする。


「イタチ…さん…」
「なんだ、」
「私を抱いてください。」
「は?」
「どうせ性欲処理にされるなら、1番はイタチさんが良いんです。」
「何を言って」
「冗談なんかじゃないんです、本気…なんです。」


突然、私の額に落とされた暖かい唇。驚きのあまり彼の目を見つめると彼はどうやら照れているようで、頬をほんのり赤く染めていた。それがなんだかおかしくて、私はくすりと笑った。


「…お前が俺の女になるなら、その拘束を解いてやろう。」
「え?」
「俺も火の国の出だ、お前のことは見たことがある。さっき『あれは俺の女だから性欲処理にはするな』と話をつけてきた、だから」
「なんでそんなこと、イタチさんが」
「俺は良いんだ、何も気にすることはない、…お前が嫌ならそれでも良い、逃がしてやる。」


そして彼は私の拘束を解いて小さく微笑んだ。私は咄嗟に彼の腕を引き、その唇に唇を深く重ね合わせる。ちゅ、と言うリップ音がいやに部屋に響いた。


「…○○、」
「あ、ありがとう、私で良ければ…よろしくお願いします…」
「そうか、…それは良かった。」


そう言って笑った彼の顔は、今までに見た何よりも美しかった。


そして今日から私は生まれ変わる。


一目惚れ新転生

(あなたのお陰で私の世界はこんなにも素晴らしい)


2009.4/1
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thank you!! :)



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