目を閉じて見た現実


ギャグ甘
月夜へ 14400Hit記念



「ねぇ、今浮気してるでしょ。」
「は?」


夜中の3時を回った頃、私はイタチを叩き起こして言った。しかし当のイタチは寝ぼけ眼で「全く訳が分からない」と言った風に首を傾げながら私の頭を優しく撫で、「早く寝ろ」と言う。そんな彼の態度にとうとう我慢ならなくなった私は、ベッドから飛び起きて彼の上に馬乗りになった。


「人の話をもっとちゃんと聞いて!!」
「…分かった分かった、話してみろ」
「…こないだ洗濯物洗うとき、イタチの服に口紅ついてた」
「なんでまたそんな古典的な」
「じゃぁあれは何だって言うのよ!」


物凄い剣幕で怒る私に対して、悪びれもせずいつも通りごくごく普通に接してくるイタチ。それが何故だか無性に腹立たしくて、私は夜中だと言うことも忘れて余計に声のボリュームを上げた。


「イタチ!」
「分かったから静かにしろ、他人に迷惑がかかるだろう?」
「…ごめんなさい…」
「それに…どうして突然こんな夜中に騒ぐんだ、朝だって良いだろう?」


そうしてイタチに諭されていくうちに、○○はだんだん本来の落ち着きを取り戻していったのだが、それでも未だ彼女はイタチが浮気をしたのだと言って一歩も引かなかった。しかしイタチもイタチで、そんなことは全く身に覚えがない。


「大体、○○はいつその服を見たんだ?」
「ついさっき。」
「え?」
「さっき…イタチが任務から帰って来て私に洗濯物を手渡したときに見つけたの。でも、あの時は忙しかったから、言いそびれちゃって。」
「…○○?」
「なに?」
「俺は…ここ2日ほど任務には行っていないのだが。」
「…あれ?」


突然の話の展開について行けず、○○は頭を抱えて唸り始める。確かに自分はイタチの服に赤い口紅がついていたのを見たのだ、幻でもなんでもなかった、あれは確かに―――…


「…夢…見たのかな、私。」
「…俺はもう何も言わん。」
「ごめんね…だってあまりにもリアルだったから、」
「もう良い、誤解が解けただけで俺は満足だ。」


そう言いながら、イタチは○○を布団の中に招き入れた。彼女はそれを見て嬉しそうに布団に潜り込む。


「よく考えたら、イタチは浮気なんてしないもんね。」
「○○がしない限りはな。」
「じゃぁ大丈夫ね。」


そう言うと、彼女は満足そうに目を閉じた。




(それは人騒がせな偽りだった)


2009.3/26
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