願うなら、もっと早く



落ちゃんへ 12400Hit記念



私は元気良く朝から廊下をひた走る。なんでか、って聞かれると非常に答えにくいのだけれど、要するにつまり、早くしないと遅刻してしまうと言うこと。遅刻するだなんて、今年3年生の私からしたら凄く最低。内申点に赤がつかないように今まで必死に勉強してきたのに、素行で赤がつくなんて有り得ない。しかもチャイムが鳴るまであと僅か1分を切ってしまっている、


キーンコーンカーンコーン…


嗚呼、なんて絶望的な鎮魂曲なの。規則的な鐘の音が私の脳の組織を破壊していく(気がする)。教室まであと数十メートルだって言うのに、ふざけるな、こんなんだったら学校なんて休んでやる。それだったら遅刻にはならない。…まぁ…欠席も少し痛いけど、もう学校に行く気もなくなったし、今日は良いや。諦めも肝心だってよく言うしね!(違う)私は笑顔を取り戻し、元気良く後ろを振り返った。


「こんなところで何してるんだ?○○。」
「…うちは先生…」


終わった。

私の進路終わった。不景気なこの時代、将来は収入が安定した職に就きたいと思ってこれまで頑張って来たのに。どうやら今日の私はとことんついていないようだ。しかも見つかった相手が私の意中の人、うちは先生だなんて。好きな人にこんな失態を見せるなんて恥ずかしくて仕方ない。今すぐどっかの深い穴に入りたい。でも誰もいない部屋(生徒指導室)にうちは先生と2人きりってのも凄く興奮してしまう。あ、ネクタイ緩める姿萌え〜


「…で…今日はどうした。」
「あ、あの…普通に遅れてしまって…」
「…お前が遅刻するなんて珍しいな、何かあったのか?」
「いえ、特に何も。」
「勉強ばかりしてるから息が詰まったんじゃないのか?もう少し肩の力を抜け。」
「はい…」
「もしかして…恋煩いか?」
「かはっ」


うちは先生からの予想もしなかった突然の質問に、先ほど手渡された温かいココアを思わず吹き出しそうになる。しかし彼からしたら今の私の反応はとても興味深いもので、ぐっ、と顔を近付けニヤリと笑った。


「居るんだろ」
「なっ、何がですか」
「好きな奴に決まってる」
「居ませんよ!」
「いや、今のリアクションは絶対におかしい。」


思いの外ぐいぐい圧(お)してくるうちは先生を眼前に据え、私は「ついでに今本当のことを言ってしまおうか」などと、ココアをスプーンでくりくりとかき混ぜながらそんなことをぼんやりと考えていた。


「えーと、じゃぁ逆にうちは先生って、どんな女の子が好きなんですか?」
「俺か?…俺は…まず言うことを聞く女じゃなきゃダメだ、要するに亭主関白。」


そう言うと彼は自らのネクタイを片手でほどき、そのネクタイを使って私の腕を素早く後ろで結び、突然深く口付ける。私は驚きのあまり抵抗さえできず、ただその行為に身を任せていた。しかしそうこうしている内に彼の手は良からぬところを触り出す。


「んっ、うちはせんせ、」
「今その呼び方はナンセンスだ、名前で呼べ。」
「…イタ、チ、」
「なんだ、」
「なに…するの」
「何って、ナニに決まってるだろう、お前も期待してるんじゃないのか?」
「そんなことないっ…」


強がってはいるものの、次の瞬間鳴り響く水音に私は酷く赤面する。嘘、嫌だ、私ってこんなに淫乱ではしたない身体をしているの?我ながら信じられない、このままじゃ本当に―――…


「なんてな。」
「…ふぇ?」
「いじめて悪かった。びっくりしただろ、もうしない。」
「…責任、とって」
「は?」
「責任とって!」


やだやだやだ、心と身体がバラバラに動く。物凄く恥ずかしくて仕方ないのに、それでも満足したがって疼いている身体。しかし彼は私の頭をぽんぽんと軽く撫で、想像を絶する台詞をいとも簡単に吐いた。


「そんなに心配しなくても、○○は俺がちゃんと養ってやるから安心しろ。」
「へ?」
「…だから…何が起きても文句は言うな。」
「あ…う、うん!」


そう言うことか、と1人で満足そうに笑う私、そしてまた重なる唇。結局私は今から種付けされるらしく、何故か生徒指導室に置いてあるベッド(仮眠用らしい)へと組み敷かれる。なんだ、本当は最初から両思いだったのね。そう言ったら、イタチは赤い顔で小さく頷いた。あーあ、今朝の遅刻が物凄く馬鹿馬鹿しいことに思えてくる。私はなんであんなちっぽけなことで悩んでたんだろう。…もう終わったことだし、まぁいっか。ほどけかけていたネクタイを外して彼の背に腕を回し、両足を投げ出す。


本当に大事なのは、これからでしょう?




(おい、勝手にネクタイを外すな)
(えっ、だって)
(そうか、お前はネクタイで目隠しされたいんだな。)
(断じてそう言うことではなく…!)


2009.3/14
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