愛は全てを超える



優香様へ 8000Hit記念
(兄妹設定)



頬杖をつきながら、○○はわざとらしく大きな溜め息をつく。それを見てイタチはくすりと笑った。


「どうした○○、らしくないな。」
「最近憂鬱なの、イタチには分かんないよ」
「ほぅ。言ってみろ」
「絶対に言わない!」


きっぱりとそう言い切った○○は勢い良く立ち上がり、自室へとずんずん進む。途中ですれ違ったサスケになど目もくれず、彼女は部屋に入って扉を強く閉めた。


「…イタチが私のお兄ちゃんだからいけないのよ、」


そう呟いてまた溜め息をつく。

『妹』と言う微妙なポジションに嫌気がさす。誰よりも彼の素顔を見れるのは良いことかもしれないけど、所詮はそれだけのこと。それ以上関係は大して深まらず、下手するとかえって変な溝を深めてしまうのだ。


「…イタチだって、いつかは誰かと付き合ったり…するんだろうなぁ…」


それで可愛い彼女を連れて歩くようになっちゃうのかな。
そんなことを考え始めたらキリがなく、○○は1人でどんどん悲しくなり、とうとう泣き出してしまった。しかし運悪く、そこに何も知らないイタチがやって来る。


「○○、夕飯のお使いに…○○…?」
「な、なに、夕飯のお使いね…分かった、行ってくるっ」
「ちょっと待て、」


イタチにぐっ、と腕を引かれて○○は部屋に引き戻された。そして当のイタチはいつになく真剣な表情で彼女の顔を覗き込む。


「やめてっ、…イタチの妹になんか産まれてこなきゃ良かった!」
「なんで急に泣くんだ、」
「…」
「…○○、俺は○○とどんな関係であっても、お前のことが好きだぞ。」
「…へ?」


○○はイタチの言葉に目を丸くする。彼の口から出た言葉が信じられず、彼女は唖然とした。それは一体どういう意味?


「…イタチ、」
「俺が気付かないとでも思ったか?暗部をなめるなよ」
「ばっ、…馬鹿!!」
「…可愛くないなぁ…」


○○はあまりの恥ずかしさにイタチを部屋から追い出し、1人布団に潜り込み、思考回路をこれでもかとフル回転させる。どうやらイタチの方が○○より1枚上手、自分の気持ちがバレてしまっていた以上はどうしようもないみたいだ。
部屋の外では未だにイタチがお使いに行こうとせがんでいる。
まぁ…今はこのままでもいっか。


○○は口の端をきゅっと吊り上げ、涙を拭いて部屋のドアを開けた。




(なんで分かったの?)
(俺のこと「お兄ちゃん」って呼ばないからな)


2009.2/19
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