「…なぁ、」     
「なに?」      

いつもの数倍、遠慮がちな声のトーン。
私は場の雰囲気でなんとなく彼が言おうとしていることが掴めたけれど、かと言って自分から話題を振ることもできずに黙っていた。
すると彼は頬を赤く染めながら私に優しいキスをする。
うん、大事にされていることは痛いほど分かるから、だから私もイタチなら良いかなって、思ってはいるよ。

「しても…いいか?」
「なにをするの?」
「セックス。」
「でも私、初めてで…」
「俺も初めてだ、幼なじみなのだから分かりきったことだろう?」

それもそうだね、そんな台詞をイタチに返しながらも私の意識は既に彼の股間に集中していた。
履いているズボンを押し破るんじゃないかと言うくらいの勢いで張り詰めるそこを思わず見つめていたら、彼は私の手を取ってそこに置いた。驚きと好奇心が入り混じる複雑な気持ちが、中途半端な羞恥心を消し去ってくれていた。

「どうしたら良いの?」
「触ってほしい、」
「…服を脱いで?」
「なら、お互い脱ごう」

ぎこちないやり取りをしながら私たちは衣服を脱ぎ、下着姿になる。
パンツの上から彼の男根を撫でると、それは時折びんっ、と跳ねて質量と硬度を増した。
しかしそれも次第に飽きてしまった好奇心旺盛な私はパンツの中が気になって仕方なく
なり、イタチに了承を得ることなくそれを引きずりおろす。
完全にこれはもはやいたずらごころのほうが大きいといっても過言ではないだろう。焦るイタチとは裏腹に、私は口角を上げて見せた。

「ちょっ…、待て、」 
「思ってたよりもおっきい…こんなになるんだね…知らなかった!」
「勝手に脱がせるな」
「…確か舐めると気持ち良いんだよね、」
「何を、うぁっ…!」

迷わずにイタチの男根を掴んで先端をぺろ、と舐めると、彼は小さな喘ぎ声を上げながら身震いをした。
それが面白くて、嬉しくて、私は夢中でそれを舐め、くわえ、しごく。
すると突然イタチが私を引き剥がした。これじゃあ面白くないと言わんばかりに抗議の眼差しを向けたけれど、彼も彼で引かない。

「何するの、」
「もう少しでイってしまいそうになったから、」
「だったらやらせてよ」
「…お前、さっきから調子に乗るな」
「なにが、ひゃあっ」

いきなりベッドに押し倒され、気付けば気持ち程度に身に着けていたはずの下着も取り払われていて、私はイタチを睨んだけれど「お返しだ」とあっさり鼻であしらわれ、そうこうしているうちに彼の唇が私のクリトリスを思い切り吸った。
瞬間、味わったことのない感覚がつま先から頭のてっぺんまで身体を突き抜ける。思わず腰がびくんと跳ねた。

「あぁっ!」
「やはり女はここが感じるんだな」
「や、めぇっ」
「透明な液が沢山出てきた…、感じてるんじゃないのか?」

イタチは私を嘲笑いつつ、秘部に舌を押し付けて激しい愛撫を続ける。
私は初めての快感に頭が真っ白で、ただただ甲高い声をあげて喘ぐことしかできなかった。
それから暫く経った後、彼は自分の男根を手にして私に言った、

「入れても…良いか?」
「…うん、良いよ」

お遊びはもう終わり。
ここでようやくお互い真剣に向き合い、深いキスを交わしながらベッドに身を沈める。
イタチが手にした男根を私の秘部に宛がい、ぐっ、と押し入れようとした瞬間、私の下半身に言いようのない鋭い激痛が走った。

「あっ…!」
「どうした、痛いか?」
「いた、い…」
「…やめるか?」
「やめないで大丈夫だから、…続けて、」

私を心配するイタチを無理矢理に宥めて挿入を再開させる。
ここまでやったのに、肝心の挿入ができないなんて、なんていうかその、非常に中途半端じゃないか。
必死の思いでとりあえずなんとか奥まで入れたけれど、この痛みじゃ律動にはまだ耐えられそうにはなく、イタチもイタチで狭い孔内に男根を圧迫されて痛いのか、お互いにもうどうしようもない状態になってしまっていた。
でも、初めてだから気の利いたセリフも何も浮かばない。どうしようと沈黙に焦り始めたところで、イタチが先に口を開いた。

「…今日は…とりあえずここまでにしておくか…?」
「でも、イタチが」
「俺は別に良い、それよりもヒメの身体が心配だ。相当痛むんだろう?」      
「じゃぁ…1回抜いて…?ごめんね、初めてってこんなに痛いんだって、知らなくて…」
「そうだな、…俺のテクニックがないだけなのかもしれんが…」

いそいそとパンツを履きながら、1人で落ち込み始めてしまったイタチの頬にキスを
落とし、私は「気にしないで、イタチのせいじゃないから」と微笑んだ。
すると彼は笑顔を取り戻して私の身体を抱き締める。うんうん、誰だって初めはきっとこんなもんよね。大事な大事な2人の共同作業、別に焦ることはない。
次回の性交の成功を願って、私たちはもう1度深いキスを交わした。     


処女×童貞

(ほとんどの人が通る道)



2009.4/29
暁 朱々
(20140903加筆)

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