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--柳side--

「仁王と付き合っているから、立海生が嫌い…?」
「うん」


笑って頷いた真崎に、俺の理解はついていかなかった。


「…雅とは、利害関係が一致したから一緒にいる。たったそれだけのことだけど、それが何より大事だから離れないんだよね」
「…暴力を、奮われてもか…?」
「そうだよ」


自嘲するような笑みを見せながら肯定した真崎の声は、部室の中に響き渡った。


ガチャ…


「透、帰るぜよ」
「話は終わったの?」
「おん」


突然戻ってきた仁王に内心驚いていた俺とは違い、真崎はすんなりと受け入れ会話を始めた。


「っていうか部活は?」
「もう終わる時間じゃき。着替えるから外で待っときんしゃい」
「うん、わかった」


俺を一度も振り返ることもなく言われたままに部室を後にした真崎を呆然と眺めていると、不意に声がかかった。


「聞きたかったことは聞けたんか?」
「…想定外の話ならいくつかな」


そう答えた俺の言葉に、ククッと笑うと仁王はジャージを脱ぎながら言葉を繋いだ。


「あいつらが来たからの。何を聞いたかはある程度わかっとるよ」
「…そうか」
「安心しんしゃい。幸村に怪我させるようなことはせんよ。部活の仲間、じゃからのう」


妙にわざとらしい仲間という言葉に眉をしかめていると、着替え終わった仁王がこちらを振り返った。


「軽蔑でもなんでもしんしゃい。幸村とくっつかせたいなら勝手にすればいい。…俺が透を手放すことはない、それだけデータに叩きこんどきんしゃい」


それだけ言い放って出て行った仁王を、ため息をついて見送った。




――――――――

「「「あ…」」」
「ん?…ああ、戻ってきたんだ」


雅に言われて部室を出ると、幸村君と他のテニス部の人達が戻ってきたところだった。


「雅着替えてるんだよね。それが終わったら帰るから、入るならどうぞ」
「ああ…」
「ごめんね、部活邪魔して」


結局再開できなかったし、関係ない部員には迷惑な話だったよね。
そう思いながら謝ると、幸村君が思いっきり頭を横に振っているのが目に入った。


「幸村君?」
「は、はいっ」
「大丈夫だった?怪我とかしてない?」
「だ、大丈夫、です!」


幸村君の言葉に安心して思わず笑みが零れた。
直後に後ろで扉が開き、だるそうに雅が出てきた。


「帰るぜよ」
「うん。…じゃあ、失礼しました」


私の腕を引いて歩きだした雅を追う。
今日のことで、雅の機嫌が良くなっていればいいんだけど。