真っ赤な実に白いミルク。まさに甘さと酸っぱさの魅惑の味。そんないちごが私は大好きで。



『んん〜っ、おいし〜』



春のデザートは私の至福の時間。なのに



「おい、名前。何故にミルクなどをかける」



不機嫌そうな声色で話しかけてくるのは生徒会長、風間千景。一応、私の彼氏。と言うのも私は承諾した覚えがないからだ。私が寝ているうちに告白して、寝言で許可を取ったらしい。

初めの内は無視していたけれど、無視すればその方が面倒だと気付いた私は風間の言うよう通り生徒会室で昼食を食べるようになっていた。



「ミルクなど邪道だ。イチゴはなにもせずに食べるのが良いのだ」



ひょいと私のイチゴを一つ取って自らの口元へと運びこむ。沢山あるから一つくらいならいいやと思っていたら更に手が伸びてきた。



『駄目。私のだから』



ペシ、と手を払いのけて私は新しいイチゴへと手を向ける。ミルクをかけて自分の口へ。風間は忌々しそうに顔を顰めては手をイチゴへ伸ばそうとする。それをことごとく私は撃墜し、ぱくぱくとイチゴを食べて行った。




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