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「「月陽」」


チャイムが鳴った後区切りのいい所まで作成をして、さてご飯と立ち上がった私の後ろに二人がいた。
あんたらいつの間に背後に立ってたんだと言うのは失礼なので言わない。
どっちにしろ私が終わるまできちんと待っていた事だけは評価したいと思う。


「何でしょう」

「「飯を食わないか」」

「貴方達実は仲いいんじゃないですか?」


キレイぴったりハモる二人にちょっとドン引きしながらそう言えば伊黒先生の顔が顰められた。
どんまい冨岡先生。いや、彼も表情に出ていないだけなのかな。

どちらにせよ昼時くらいはゆっくり食べたいので私はお誘いを断る事にした。


「いえ、私は」

「お前の好きなプリンを買ってきた」

「食べたいと言ってた新作ケーキを買ってきた」

「………う」


ずい、とプリンとケーキを差し出されて言葉が詰まった。
前に何となく、と言っても心の底から食べたかった物を二人は覚えていたようでわざわざ入手困難というのに買ってきてくれたというのだから仕方ない。

プリンもケーキも保存の効かない食べ物だから、どちらか断ればどちらか食べられないという事だ。
そんな勿体無い事私には出来ない。

出来ない、だから…


「三人で食べましょう」

「は?こいつとか」

「伊黒もか」

「お二人には私の手作り弁当をお渡しします。それでどうですか!」


食後にプリンとケーキが待っているのであれば、お弁当はそんなに食べなくていい。
流石にお腹いっぱいになってしまうし。

私の手作り弁当と言う言葉にピタリと睨み合いをやめた二人は一斉に頷いてくれた。
いや、だからあんたらやっぱり仲良いだろ。


私達は中庭に移動して、木陰のベンチに三人で座った。
勿論私が真ん中。本当は端が好きだけど本気の殴り合いを始めようとした二人に私が提案した。

何なのこの人たち子どもか。


「たいした物じゃないですが、どうぞ」

「ほう、これが手作り。なかなか凝っているじゃないか」

「美味い」


私のお弁当をきちんと2つに分けて渡すとそれぞれ違う反応が返ってきた。
料理は好きな方だから帰るとつい凝ったものを作ってしまってお弁当行きになることが多い。

頬に食べかすを付けながら一心不乱に食べる冨岡先生に一口ずつ味わって食べて感想を言ってくれる伊黒先生。
どちらも別々な反応だけど、こんなに喜んで食べてくれるのは私としても嬉しい。


「お口にあったなら良かったです」

「合うも何も毎日食べたいくらいだ」 

「(コクリ)」

「ふふ、ありがとうございます」


意味不明な会話もセクハラもなく大人しく食べてくれている二人に思わず笑ってしまうと、動きを止めて見つめられた。
な、何だ。駄目だったか。


「天使か」

「女神か」

「あんたら頭大丈夫ですか?」


またアホになり始めた二人に思わず突っ込みながら貰ったケーキとプリンを美味しく頂いた。
たまに頭のおかしい発言をする二人だけど、別に嫌いな訳ではない自分が居る。
それに私だって大人だから、二人の気持ちだって分かってるつもりだ。

だからいつかきちんと自分の決心がついたら答えるつもり。
我儘かもしれないけど、今はこのままでいさせて欲しい。


「それにしても美味しい!どっちも美味しい!お二人ともありがとうございます」

「あぁ」

「お前の為ならたいしたことじゃない」


とりあえず胃も心も幸せな時間を今は大切にしようと思った。



おわり。

逆ハーだと言い張る()

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