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『私の可愛い義勇へ。

これが届いたという事は私は死に、無事に娘が鬼殺隊へ入ったという証。
お前に散々迷惑をかけたのに、住所はおろか手紙すら出さなかった私を許してほしい。

水柱になった事は風の噂で聞いたよ。今更だがおめでとう。そろそろ後ろ向きな性格は治った頃かい?
きっと義勇の事だから慕われる隊士の一人や二人出来たんだろうね。
ひよこのようで可愛いだろ?それはお前がみんなを導く柱として育った証拠だ。大切にしなさい。

そうすればきっと、言葉足らずなお前でも心が通じ会えるから。
成長した義勇を見たかった。さぞかっこよかっただろうね。でもこれからの義勇を周りに居る隊士や永恋が私の代わりに見てくれるだろうから、我慢する。

義勇、愛しているよ。お前が幸せになれるよう、祈っているから。

だから、どうか生きて。精一杯生きて、いつか生まれ変わったら義勇。その時は私を幸せにしてくれ。
永恋を頼むよ。

永津月陽』


あの人らしい、別れの手紙だった。
枯れたと思っていた涙が月陽の手紙の上に染みを作る。

どうやら俺よりも俺の気持ちを知っていたらしい。

そうだ、俺は師範としても女性としても月陽を好いていた。
強くなる事だけを考え、ただ一人で過ごしていた日々をあの人の手がこんなにも日常を変えてくれた。


「狡いな」


気持ちに気付いてくれていたなら、鬼殺隊を辞めた後も側に居てくれたら良かった。
それなのに相変わらず飄々とした態度で、最期まで俺を想い師範として一人で散ってしまった。


「次は、一人にさせない。もう二度と手放さないから覚悟をしておけ」


一人そう呟いて月陽からの手紙に誓いの口づけを落とした。




end.

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