付き合い始めてかなり経つのに2人はキスさえしたことがありませんでした。それどころか手を繋いだりハグしたりだってあまりありません。それもそのはず、そういったことは名前ちゃんからしかしないのです。あれだけ好き好き言っているのに高橋さんからは1度だってしたことがありません。名前ちゃんはそれを不満に思っていました。その不満を友達にぶつけると、友達はさらりと一言。

「あんたからちゅーすればあっちが勝手に襲ってくるよ」

男なんてそんなもん、と友達の言葉に名前ちゃんは驚きが隠せず目を見開きました。

(そっか…私には誘惑が足りなかったんだ…)

名前ちゃんはぐっと決心しました。






それがたった2時間前。帰ってきたら当たり前のように名前ちゃんの部屋にいた高橋さんに、名前ちゃんはいつも以上にどきどきしてしまいます。

「名前、おかえりー」
「あぁ、うん、ただいま」

名前ちゃんは高橋さんの顔が見れません。いつもなら勝手に部屋に入るなと怒鳴るのに名前ちゃんはそわそわしています。高橋さんだっておかしいと思いました。

「名前?どうしたの?どこ行ってたの?」
「…」
「名前?ねぇ、名前ー?」
「こ、こうたぁ」

いろいろ聞かれると面倒です。名前ちゃんは高橋さんの声を遮るように声を絞り出しますが、あんな話を聞いた後だからでしょうか、甘ったるい声になってしまっていますね。そんな声に高橋さんは硬直して大興奮。

「名前…?どうしたの、ほんとに…か、かわいいよ名前、かわいい…」
「うるさい」

名前ちゃんは高橋さんに近づき、ぎゅうっと抱き着きました。高橋さんは嬉しさで完全に思考が停止しています。

「あっああああのっ名前?あのっ」
「ね、こうたぁ」

名前ちゃんの声は熱っぽいです。ぎゅうっと抱き着いたまま顔だけ横に動かし、高橋さんのほっぺにちゅっとリップ音を響かせました。

「ねぇ、こうたぁ…したくない?」

耳元で聞こえる声に高橋さんは目を回します。大好きな大好きな名前ちゃんからのお誘いなのです。高橋さんはごくりと喉を鳴らします。

「し、したいの?名前、していいの?」
「そ、んなこと…訊かないでよぉ…」

名前ちゃんの声は消え入りそうなほど小さくて震えていました。

「ね、ちゃんと言って?したい?したいの?…はぁ、名前、かわいい…、したいんだね?したくて誘ってるんだよね?はぁ、名前、そうだよね?」
「っ…そうだよ、ばかぁ!」

名前ちゃんはやけくそです。恥ずかしくて真っ赤な顔のままじろっと睨むと、高橋さんはうっとりした表情で名前ちゃんの頬を撫でました。

「名前、かわいい…はぁ、おれ、しあわせだ…名前、下向かないで、顔上げて…」

高橋さんがそう言うと名前ちゃんはおずおずと顔を上げます。自分から誘ったくせに顔は真っ赤っかで今にも泣き出しそうです。高橋さんはふわりと優しく笑いました。

「名前、目ぇ閉じて」

催眠術にかかったように名前ちゃんは高橋さんの言うことをききます。すっと瞼を閉じると高橋さんは再度名前ちゃんの頬を撫でました。

「う、わぁ…すげ、睫毛長くて、かわいい…」
「ちょっと!」
「あ、ごめ、じゃあ、その、…いただきます」

ムードも何もない言葉ですが、名前ちゃんはどきどきしました。すると、ちゅっと一瞬、唇に柔らかいものが当たります。一瞬すぎて分からない、これだけ?と名前ちゃんは目を開けそうになりますが、再度ちゅうっと押し付けられた唇を感じ、慌ててぎゅうっと目を閉じました。ちゅっちゅっと角度を変えながら何度もキスされます。それから少し唇を開いて名前ちゃんの唇をはむっと挟みます。

「っ…」

気持ちいい。名前ちゃんはうっとりします。名前ちゃんの気持ち良さそうなのが伝わったようで、高橋さんは何度も何度も名前ちゃんの唇を食むように口づけ、名前ちゃんの頭を撫でました。ますますうっとりする名前ちゃん。高橋さんもだんだん気分が良くなっていきます。

「名前…、口開けて…?」

僅かに離された口から色っぽい高橋さんの声が聞こえます。口にかかる吐息がえっちで、名前ちゃんはどきどきしました。こうたすごくえっちな声…。名前ちゃんはそんなことで頭がいっぱいで何も考えずに口を開きます。すると、ぬるっとした熱いものが名前ちゃんの口の中に入っていきました。

「っ、ん」

それは名前ちゃんの舌先をちろちろ舐めてから、舌の裏側まで全部を舐めていきます。そこで名前ちゃんは、それが高橋さんの舌だと気づきました。舌と舌が擦れ合う独特な感触にくらくらします。はふはふ息を切らせながら高橋さんの舌も舐めようと名前ちゃんが舌を伸ばすと、高橋さんはその舌を優しく唇で包み、じゅるっと吸いました。

「んっふ…ん」

その瞬間、名前ちゃんは体から力が抜けていくのを感じます。どうやら吸われるのに弱いようです。名前ちゃんは弱々しく高橋さんの服を掴み、もっととねだります。高橋さんも名前ちゃんの唾液を飲みたいらしく、興奮気味に名前ちゃんの舌に吸い付きました。

「んっ…はぁ、ん、ん、」

名前ちゃんの声が唇と唇の隙間からこぼれています。その声を堪能するように高橋さんはうっとりと何度も何度も舌を絡めて吸い付くことを繰り返しました。が、あれれ、何だか高橋さんの様子がおかしいです。ちゅっと唇に吸い付いたのを最後に高橋さんはキスをやめてしまいました。そわそわしていて名前ちゃんから体を離したがっているようです。

「んあ…こうたぁ…」
「はぁっ…名前、すげぇかわいいよ…はぁっ…名前、名前…、は、やばい、すげ、かわい、」
「こうたぁ、ぎゅうしたい…」
「、はぁっ…ぎゅう…?ん、ちょっと、まって…はぁ…っ」

名前ちゃんは甘えん坊になったように高橋さんに手を伸ばしてだっこをねだりますが、高橋さんは体を引いていく一方。しかも、何故か前屈みです。

「名前、ごめ…すげ、かわいいよ…はぁっ、だいすき…だから、ちょっとまって、て」
「どこ行くのぉ…?」

名前ちゃんを置いていこうとしている高橋さんを疑問に思い、名前ちゃんはこてんと首を傾げました。高橋さんはますます興奮し、ついに自分の股間をぐっと押さえました。

「ちょっと、トイレっ」

高橋さんはそれだけ言うと走って行ってしまいました。名前ちゃんはぽかんとしてしまいます。そんなにトイレ行きたかったのかな、いい雰囲気だったのに。思い出すと名前ちゃんのあそこも少しだけじゅんっと濡れたようでした。

END
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キスだけでガン勃ちしてしまった高橋さんはまだえっちは早いと思い込んで1人でヌいているようですが、純粋な主は気づかないって感じです。分かりにくくてすみません。名前様、お付き合いありがとうございました。
20121028
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