最近アキくんには困ったことがあります。ふたりきりになると、名前ちゃんが決まってアキくんにぴったり寄り添い、甘えんぼしてくるのです。前まではここまで積極的でなかった名前ちゃんですから、アキくんと体を重ねたあの日から、少しずつ大胆になっていったのでしょう。彼氏としては大変喜ばしいことなのですが、正直アキくんはどのくらいの頻度で名前ちゃんを求めていいのか分からなかったのです。名前ちゃんがその気で誘ってくるのであれば、いつだって応えたいのですが。

「なぁに、名前。また甘えんぼ?」
「ん…、だってアキくんが好きなんだもん…」

すりすり。アキくんの肩に顔を埋める名前ちゃんが大変可愛らしく、アキくんは名前ちゃんの後頭部を抱き寄せて顔を近づけました。視線が絡み合うと、名前ちゃんは自然と瞼を閉じ、おずおずと唇を差し出すように上を向きます。

「…、」

唇に当たる感触はマシュマロのようでした。愛おしい彼女の、甘い甘い唇。アキくんはうっすら目を開けて名前ちゃんの顔を盗み見ると、名前ちゃんはすっかり眉を下げてアキくんを受け入れていました。なんて可愛いのでしょう。アキくんがぬるりと唇を舐めれば、一瞬驚いたように肩を上げ、それから僅かに口を開くのです。堪らずそこへ舌を入れると、名前ちゃんの手がアキくんの胸板にそっと置かれました。

「ん…っ」

舌を擦り合わせると漏れる、名前ちゃんの吐息。もっと深く、もっと、もっと味わいたくなります。その吐息すら自分で独り占めしてしまうように、アキくんは角度をつけて名前ちゃんの口の中を貪りました。れろれろと動く舌に名前ちゃんも気持ち良さそう。

「ん、ん…っ、は、ぅ」

息に混ぜながら小さく声も漏れ、アキくんはますます名前ちゃんを求めました。かわいいかわいい俺の名前。舌先で遊び、根本まで絡め、舐め啜り、味わいます。もともとキスが好きなふたりでしたが、あの頃とのキスとは訳が違います。もっと情熱的に、もっと性的に愛撫し合うのです。名前ちゃんは頭がふわふわしてきますが、アキくんはキスで愛を語るように優しく丁寧に唾液を絡ませるだけなので、ちょっぴりもどかしいようです。名前ちゃんはおずおずとアキくんの手を握りました。

「、ん…? 繋ぎたいの?」

唇を離すと、どろっと口端から唾液が伝います。名前ちゃんはそれに構わずアキくんに首を横に振りました。いつもの甘えんぼかと思っていたアキくんは、きょとんとしてしまいます。

「あ、あのね、アキくん…、」

名前ちゃんはアキくんの右手を、なんと自分の胸へ誘導しました。びっくりして瞬きを繰り返すアキくん。名前ちゃんは恥ずかしくて泣きそうになりながら、自分の胸を押し付けるのです。

「だ、だってアキくんに触ってほしいんだもん…っ、アキくんはシたくない…? わたし最近アキくんを見てると、シたくなるの…」

アキくんはハッとします。アキくんは男の子ですから、性欲が溜まれば自分で処理をするのですが、名前ちゃんはどうでしょう。オナニーという習慣がもしないのだとしたら、あの日からもて余す熱で焦れていたのかもしれません。

「名前はおばかだね、もっと早く言えば良かったのに。俺に触ってほしいならいくらでも触ってあげるよ」

優しくて穏やかな、甘い声。名前ちゃんはくらくらしそうでした。胸に押し当てられた掌がそれを揉むように優しく動きます。

「もう我慢しないでね、名前。…その代わり、俺も我慢しないよ」

アキくんはその場に名前ちゃんを押し倒すと、ぎらぎらとした目で名前ちゃんを見下ろし、服の中へ手を忍ばせるのでした。

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短いですが、後日談。アキくんも自慰とかするんですね、自分で書いててびっくりしました…。
20190214
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