んく、んく、と声を押し殺しながら真白くんの愛撫に耐える。真白くんの中指がゆっくり膣内に入っていって、ゆっくり引き抜かれることを、もう何分間も繰り返されていた。たった指一本にシーツは驚くほど濡れていて、わたしはなるべく腰を動かさないように必死に我慢をする。

「声、何で出さないの?」

真白くんの指がわたしの髪に優しく触れた。相変わらず右手ではゆっくり出し入れしているのに、わたしに寄り添うように抱き締めながら、左手で頭を撫でていてくれるのだ。恥ずかしいから、と答えたくても口を開けばはしたない声が漏れてしまうので、わたしはふるふると首を横に振って見せる。真白くんは優しく頭を撫で続けた。

「声の出し方を忘れちゃったの? それとも、僕とはお話ししたくない?」
「っ、」
「ちょっと寂しい、かな」

困ったような笑顔を向けられて心が痛む。否定をしようと思わず口を開けると、予想的中、わたしの意思と反して出てきたのははしたない喘ぎだけだった。

「あ、ぅ…っ、あ、ましっ、ましろくん…っ」
「ふふ、なぁに」
「ああぁあ…っ、」

一度自分の声を聞いてしまえば、びくんと腰が浮いてしまうのも我慢ができなかった。真白くんの手で声色を変えられてしまっている自分を自覚してしまうと、一気に制御が効かなくなる。

「あ、やあ…っ、ましろく、ましろくんっ、はぁん…っ」
「どうしたの?」

押し込んで、抜いて、押し込んで。たった中指一本に、わたしは何度も腰を持ち上げて快感に身悶えた。真白くんが欲しくて、もどかしくて、それでも理性が邪魔をして強請ることもできない。その一本に必死に吸い付いて快感を得ようとする身体を、真白くんはどう思っているのだろうか。

「ましろ、くんん…っ」

必死に名前を呼んでも真白くんは涼しい顔でわたしを眺めていた。どうしたの、ここにいるよ、と優しく囁いて頭を撫でてくれる。もどかしい。真白くんの熱が早く欲しいのに、中指だけじゃ満足できないのに。

「あ、ぁ…っ、真白く、もうやだっ、ここもう、やだあぁ…っ」
「何で? こんなにきつくして、僕の指を好さそうに咥えてるじゃない。嘘は好きじゃないなあ」
「ん、んうぅ…っ、だってぇ、そこもう、ああん、ぅ…っ」
「きゅうううってお腹に力を入れてごらん。上手に媚びたら、もっと好くなるかも」

優しい声色なのに、指示をするときの真白くんの目は愉しそうに細められている。わたしの身体をもっと厭らしく、淫らに作り替えて楽しもうとする悪い顔だ。これ以上はできないのに、早く真白くんの熱を突き立てて楽にしてほしいのに、真白くんはそれを許さない。ふるふると首を横に振るわたしに圧力を掛けるように優しくにっこりと笑いながら見下ろしてくる。

「あ、あぁ、っ、はあぁ……っ」

真白くんが言った通り、お腹にきゅうううっと力を入れた。中をすりすりと擦る中指をくっきりと意識し、締め付けると、1本じゃとても足りないと思っていた刺激が途端に増幅してくるのだ。わたしの性感を知り尽くした真白くんの指が、わたしの大好きな場所を、ぐ、ぐ、と押し上げる。弱点だけを目掛けて、器用な指先で何度も何度も。

「ああっ、やあっ、だめぇ!あっ!ましろくん…っ!」

びくんっ。派手に腰が振れて下品に脚を開いてしまう。勝手に痙攣を続ける下半身を見て真白くんは満足そうに微笑み、わたしの頭を優しく撫でた。

「上手にできたね。だんだん癖がついてきたんじゃない?」
「あうぅ…っ、はぁっ、あう…、」
「次はもう少し大きく脚を開いてシてみようね」

今の果て方だって下品で不恰好なのに、更に開脚をさせたがるなんて。整わない息が苦しいまま真白くんを見上げると、真白くんがわたしの膣口に熱を宛がった。絶頂を迎えたばかりだというのにもう男を欲してぱくぱくと開閉を繰り返すそこに、先っぽだけを埋め込んでいく。ぐぷぷ、と押し出されるようにわたしの蜜が溢れるのが恥ずかしい。

「はあっ、あぁ…、まし、く……っ」
「まだシないから大丈夫だよ」

真白くんは浅いところで腰を動かす。亀頭だけをゆっくりとぬるぬる擦り付け、中の粘膜に自分を馴染ませるように。焦らしに焦らしを重ねられ、今はできないと思っていたのにもう欲しくて仕方ない。奥まで貫いて、欲望のままに貪られたい。それでも真白くんは浅いところまでしか挿れてくれない。

「ま、真白くん…、なんでぇ…?」
「なにが?」
「わかってる、くせに…」

眉を下げ、涙を溢す。真白くんが欲しくてだらだら蜜を垂らしたままのはしたない口に熱を宛てているくせに、それでも知らん顔なんて酷すぎる。こんなに濡れているのに、こんなに脈打っているのに、ねえ真白くん、ここ切ないんだよ。自分から腰を押し付けようとすると、真白くんがわたしの腰を押し返してそれを制した。

「こら、勝手に動かないの」
「うう…、だってぇ…」
「女の子がえっちなことをしたがるのは、恥ずかしいんじゃなかったの?」

それはだいぶ前に真白くんに言ったわたしの言葉だった。あのときはそうだった。女の子から強請るのははしたない、男の子からのリードを待つべきだ、と。でも今はもう違う。真白くんにこんな身体にされてしまったのだから、わたしから熱を求めたくなってしまうのだ。

「恥ずかしくてもいいからぁ…っ、ねぇ、ましろくん…っ」
「じゃあ名前は恥ずかしい女の子なんだね。えっちなことがだぁいすきで、僕のおちんちんで乱されることしか考えられない子なんだ。奥を捏ねられて気持ちよくなりたくてどうしようもないんでしょ」
「そ、そう…っ、されたい、からぁ…!」

言葉にされると期待で膣内が締まる。真白くんのおちんちんで気持ちよくなりたい、奥まで一気に、もうやめてって泣きじゃくるまで突かれたい。甘えるように、真白くん、真白くん、と繰り返し名前を呼ぶと、真白くんはわたしの中へもう少しだけ熱を埋めてきた。

「かわいい名前。僕が欲しくて狂いそうなおまえを見ているだけで支配欲が満たされるよ。何にも知らなかった女の子が僕のおちんちんでこんなに変わっちゃうんだもんね。えっちな女の子になっちゃったね」
「えっちなわたしだと、だめ…っ? 真白くん、もうおちんちんくれないの…っ?」
「ううん、あげるよ。でも僕をその気にしてくれないと、どうかなあ。涙でぐしゃぐしゃになった名前の顔が、1番興奮するんだよ」

これ以上なく焦れているのに、まだ狂わせようとする真白くんにぞっとした。あんなに優しいと思っていたのに、身体を重ねる毎に変わっていく。わたしを淫らに変えていくように、真白くんはどんどん意地悪に変わってしまう。半分くらいまで埋まった熱に早く中を掻き混ぜられたくて腰をカクカク動かしそうだ。

「ましろく…っ、やだよお、いじわるしないでぇ…っ」
「僕に虐められて泣くおまえがかわいいからいけないんだよ。もっとえっちな子になっていいから大人しく僕に虐められてね」

くんっ、と真白くんが腰を押し付ける。指で散々転がされた中で隆起した弱点を少し押されただけで、不意打ちだったわたしは喘ぎを上げながら呆気なく絶頂を迎えた。まだ全部入っていない真白くんの熱をきゅうきゅう締め付けて甘えて、精子を乞う。真白くんはくすりと鼻で笑うと、わたしの腰を掴んでゆっくりゆっくり奥まで熱を押し込んだ。

「ここが奥なのかな? 今日は随分狭いんだね。たくさん虐めすぎて子宮が我慢できなくなっちゃったのかも」
「ああっ、あぅ、ましろくん! やだぁっ!」
「ほら、どんどん狭くなってくる。奥はまだ触ってなかったのにね。こんなに狭くなって僕を感じたいんだね」

あんなに欲しかった膣奥は子宮が下がって完全に真白くんに媚びている。大好きな真白くんの種子が欲しいのだと、女の本能が求めているのかもしれない。何より快楽が欲しくて弱点を自ら突かれやすいように晒しているようで恥ずかしい。

「ねえ、名前、僕に初めて抱かれたのはいつだっけ? こんなにはしたなくなるまで、まだそんなに経ってないと思うんだけど」
「あっ、あぁあ、ぅんっ、だってえぇ…っ、ましろくんっ、ましろくんがあっ、」
「僕のせいじゃないよ。僕は名前が気持ちよくなれるように手助けをしてるだけ、えっちなのはおまえの方じゃない」
「そんなぁ…っ、あう、ああぁ…!」

焦らされておかしくなりそうだった場所に、今度は過度な快感を与えられ、逃れようと腰を捩る。勿論逃してもらえるはずもなく、真白くんはわたしの腰を掴んだまま気泡を立てるように激しく腰を動かした。ぐぢゅっ、ぐぢゅっ、わたしの膣内から聴こえてくる下品な音がわたしたちの交わりを表すようで耐えられない。顔に似合わないような、反り返る逞しい熱に気持ちいいところだけを繰り返しゆさゆさ揺さぶられて唾液も涙も汗も垂れ流し、全身を濡らして真白くんに追い詰められた。膣がぐっと狭くなり、内腿に力が入っていく。

「名前、言って」
「ああぁっ、あはぁっ、い、いくう…っ!ましろくんっ、いっちゃうよおぉ…っ!」
「ふふ、うん、いいよ」

羞恥を煽る言葉を言わされ、思い切り気持ちよくなる。触られてもいないクリトリスが勃起し、脚はぱっかり開いたまま、爪先までぴんと伸ばして真白くんにしがみついた。喉が、胸が、膣が締まる。びくんっ、びくんっ、びくんっ。絶頂の波が大きすぎて受け止められない。

「はあぁああ……っ!!!」

シーツに雌汁を撒き散らしながら激しい絶頂に背中を反らし、真白くんにがに股を晒して暴力的な快感に泣き喚いた。何度も身体が上下に動く。そんな淫らなわたしを見ても尚、真白くんは優しく微笑んでわたしにキスを落とした。

「かわいい…、本当にえっちな子だね」


END
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一人称や口調が柔らかいのにサドなの、好きです。名前様、お付き合いありがとうございました。
20190127
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