何がそのうちにだ、ふざけんな。
怒り任せに名前を押し付ける。ベッドの上で困ったような顔で俺を見上げる名前にも腹が立つ。酒井と仲良くなりやがって、酒井にどこまで話してんだよ、どこまで気を許してんだよ。

「結兎くん、待って…」

弱々しく俺の胸板を押し返す手を乱暴に握ってシーツへ縫い付ける。唇を重ねるとくぐもった声を鼻から抜けさせ、その声に一層腹が立った。酒井には触らせてんのかよ、酒井とは寝たのかよ、酒井とはどこで何をしてるんだよ。俺の知らない名前が憎い。

「ふ、ぁ…っ」

裾から手を忍ばせて胸を揉むと、名前は唇を噛んで困ったように眉を下げた。先端を指の腹で撫でると切なそうに息を漏らす。微弱な愛撫で感じるこんな可愛い顔、誰にも見せたくないのに。

「あんた学習しないよね。俺の部屋に上がったら犯られると思わなかった?それとも期待してた?」

結兎を演じればにこにこ笑って部屋に上がることも前々から気になってた。誰にでもなら大問題だ。名前はふるふる首を振って、ちがう、と漏らす。

「ゆい、く、」
「こんなに濡らしといて、違うのかよ」

ショーツの上から指を滑らせるとぬるついて糸引いた。俺に見下ろされながらキスされるとすぐこうなる。口の中を舐め回すだけで濡らして俺を欲しがる。期待させんじゃねえよ。

「ほんと敏感だよな、あんた。もうここ勃ってる」
「ふ、あ…っ」
「ほら、分かる?」

爪を立ててクリトリスを引っ掻くと、びくっと腰を逃がして俺の腕を押しやろうとする。胸触っても抵抗しなかったくせに、ここは嫌なのかよ。ショーツがどんどん湿っていってシーツにとろとろ汁が溢れていった。カリカリ爪を動かすとその分身悶えて足を閉じようとする。

「名前さん、足邪魔。自分で持ってなよ」
「っ、結兎くん、こんなこと…」
「俺とスるの、いや?」

声色を和らげてねだるように眉を寄せると、名前がきゅっと唇を噛んだ。結兎に弱いのを知っていて結兎を演じる。名前は顔を真っ赤に染めながら自分の太腿を両手で抱え込み、俺に差し出すように股を開くから、ショーツをずらしてクリトリスを掌でなぞった。

「俺がいいって言うまで、手離すなよ」

そのまま掌に蜜を絡めて滑りを良くする。ぬるぬるした掌で往復させると、ぴく、と腰が跳ねるものの抵抗は一切しなくなった。結兎の言いなりになって足をしっかり持ちながら快感に耐える姿に、結斗の俺にはこんなに素直にならないだろうと想像して勝手に苛立つ。

「っ、ん、くぅ…」
「名前さんここ好きだよね、気持ちいいの?」
「ふぅ…っ、」
「なぁ? 気持ちいいかって聞いてんだけど」

足を開いてるだけでも恥ずかしいのか、いっぱいいっぱいの名前がいやいやと首を振るけど、答えるまでは止めるつもりはない。親指でぐりっと潰すように押すと、名前は一層身悶える。体を仰け反らして首筋を晒す姿が色っぽい。

「っあ、ぁあ…!きも、ちい、」
「そっか、気持ちいいんだ」
「ん、きもちい、からぁ、っ」

やだぁ…、と呟く名前が涙を溢す。何で泣くんだよ、泣くほど嫌なのかよ、ますます俺を酷い男にさせる気かよ。中指を膣に挿れるとどろどろに熟れたそこはすんなりと俺を受け入れた。奥まで進めて指を折り曲げると、名前がびくんと大袈裟に体を揺らして足を閉じようとする。

「手、離すな」

ぐっと太腿を押さえると、名前は半泣きのまままた足を抱えた。指を2本に増やし、ぐちゅぐちゅと中を掻き混ぜると内腿に爪を立てて快感に耐えている。白い肌がほんのり色付いて汗が滲み、シーツを濡らしながら俺を感じる名前。可愛い。すげえ可愛いのに、俺だけのものにならないのが悔しい。

「指もすぐ入るようになったけど、やっぱ酒井のも咥えてんの?」
「ち、が…っ、」
「じゃあ、何なんだよ。酒井にこういうことされてんじゃねえのかよっ」

名前の弱いところをぐりぐり押し上げると、悲鳴に近いような泣き声で喘ぎ狂った。自分で足を開きながら、やめてなんて言っちゃってさあ、本当に嫌なら何で抵抗しないんだよ。酒井にだってこうやってつけ込まれてんじゃねえの。

「あ…っ、あぁっ、あ、ゆいとっ、く、」
「それで嫌がってるつもり? 善がってんじゃん」
「はぁ、あ、ぁん!だ、めぇ…っ、ちが、」
「違わねーよ、それとも何? 強引にされる方が趣味?」

びくん、と膣が締まって指が動かしにくくなる。内腿を痙攣させていても尚俺の言い付けを守って自分の足から手を離していない。それがバカみたいに可愛くて、酷く悲しかった。

「イッてんじゃん」

指を引き抜くと、白くて粘ついた蜜が絡み付いてきた。名前はカァッと顔を赤くし、ふるふる首を横に振る。

「ちが、う…」
「違うって何が? イッたよね?」

また首を横に振る。確実にイッてんのに、嘘吐くなよ。こうやって、酒井と寝てることだって俺に嘘吐いてんのかもしんないし、もう訳わかんねえじゃん。

「あっそ」

ムカついて服を脱ぐと、名前が一瞬身構えた。今から突っ込まれるの、分かっててこのベッドから退かないんだよな。まずいと思ってるくせに、やめてほしいと思ってるくせに、俺から逃げないのは、何なんだよ。

「ゆ、い」
「やめないから、俺に掴まってな」

二の腕を掴むと、観念したのか自分から俺の首へ腕を回してきた。ゆっくり挿れてみると、中はぎゅうぎゅうに狭くて、指はすぐ入るようになったくせにしゃぶるのは上手いんだな、なんて思ってまた苛立つ。奥まで進めると、少しこりこりした固いものに先端が当たった。

「好いとこ、みっけ」

腰をぐっと突き出すと名前が俺の耳許で濡れた声を上げる。ここ、じっくりぐりぐりやるとたまに潮噴いたりしてかなり悦いの、知ってるけど今日はやんない。ゆっくり抜いて名前の髪を掻き上げてから、またゆっくり挿れていく。ゆっくり、ゆっくり、俺の形を教え込むように。

「はぁ…、う、あぁ…っ、あ、」
「、ちゃんと、息してる?」
「ゆいと、くん、っ、ゆい…っくん、」

焦れてんのか、案外悦いのか、名前は俺にしがみついて息を乱していく。泣きが混じった声がまた色っぽくて、もっと乱してやりたくなって、俺を感じさせたくて。

「あ、あ、あぁ、はぅ、ん、っ」
「あー…、すげ…、」
「ゆいとく、ん、あうっ、あ、ゆ、とくん…っ」
「ん、」

奥を突き上げる度に小刻みに声を漏らす名前。必死に俺の名前を呼んで、俺と肌を合わせて、快感に身を任せてくれている。可愛い、ずっとこうしていたい。

「ゆいとくん、は、なんでそんなに、おこってるの…っ?」
「は、ぁ…?」

名前の蜜が絡み付いて、だんだん馴染むように熱が混ざってきて、すっげえ心地好くなっているのに、この質問。一気に頭に血が上る。こんなに嫉妬してんのに、こんなにあんたを俺だけのものにしたいのに、ここまでしたって伝わらない? 俺のこと、男として見てらんない? なぁ、訳わかんねえよ、俺は、こんなにもあんたのことが。

「好きだからに、決まってんだろっ」

声を荒げると、俺の下でばかみたいに目をまんまるくさせてびっくりしてる名前と目が合った。

「え…? すき…?」
「えっ、す、すき!?」

名前が呟く言葉をそっくりそのまま返してしまう。俺、今こいつに好きって、言っちゃった!? 好き!?!?

「ゆいとくん…?」

固まる俺に、心配そうな声で名前を呼んでくる。長年我慢してきた単語をこんなところで、最悪な状況で、溢してしまった。合わせる顔がない。また何か喋ろうと口を開く名前に慌ててキスをして黙らせた。今何か言われたら、終わっちゃう、気がする。

「ん、んん…っ」

ぐ、ぐ、腰を大きく動かして何度もキスをした。唾液を混ぜるような、舌を吸い付くすような、そんなキス。嫉妬してレイプしといて、好きだなんて言えるわけがないのに、言ってしまった。何年も言えなかったたった一言を、こんな感情のまま。

「んんんっ、んぅっ、んんん…!」

びくっびくっ、びくん、
名前の背中が仰け反って、背中に爪を立てられた。気持ちよすぎる締め付けに俺も熱を吐き出す。吸い付くように射精を促すそこに暫く腰を押し付けて、舌を深く貪った。

「は、ぁ…っ、名前さん…」

舌を抜き取ると、乱れた呼吸のまま名前は目を瞑っていた。寝落ちしたのか、気絶したのか、分からない。ぐったりと体から力を抜いていて、俺はゆっくり中から自身を引き抜いて隣に寝そべった。心臓はばくばく煩いけど、名前の意識が飛んでてくれて、どこかホッとしてる。

「……言っちゃった…」

過去最強の賢者タイム。名前の頬には俺が散々泣かした痕が残っている。怒り任せにレイプだけでも勘弁してくれ俺、って感じなのに、告白までしやがって、2分前の自分をボコボコにぶん殴ってやりたい。あーあ、全部酒井のせいだからな。

「これからどうすんだよ…」

解決策が全く見当たらない。とりあえず風呂に入って考えよう、と、とにかくその場から逃げたい俺はベッドを抜け出して浴室へ向かった。

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高校生が命令口調なの、性癖です。名前様、お付き合いありがとうございました。
20171117
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