膝の裏へ手を入れられ、体が宙に浮いたので名前ちゃんは慌ててアキくんにしがみつきました。軽やかに抱き抱えられ、運ばれてしまいます。

「ア、アキくん!?何して、っ」
「ベッド行こう。だめ?」
「だ、だめというか…!わかった、待って、自分で移動を、」
「いいから」
「だってこれ、お姫様抱っこだし、わたし重いから…!」
「重くないよ」

アキくんは、ちゅ、と名前ちゃんの額へキスを落とします。名前ちゃんが驚いて言葉を失っているのを見ると、優しく微笑んで名前ちゃんを安心させようとしてくれるのです。

「名前は俺のお姫様なんだから、こうさせて。分かった?」
「は、はい…」

なんと王子様のような柔らかな微笑みでしょう。素直にこくんと頷いてしまった名前ちゃんはあっという間にアキくんにベッドまで運ばれてしまいました。ここまで来てしまえば名前ちゃんだって分かります、今からアキくんにこれ以上のことをされるのです。心臓が破けてしまいそうなほど、ドッ、ドッ、と激しく動いていました。

「アキ、くん」
「うん?」

名前ちゃんを優しくベッドに降ろすとそのまま覆い被さるアキくんを見上げ、名前ちゃんは顔が熱くなってどうしようもありませんでした。こんなに大人っぽくてかっこいい、自慢の彼氏が今目の前で名前ちゃんを見下ろしているのです。アキくんは名前ちゃんの頬や額、鼻先など、顔全体へ愛おしそうにキスを降らせました。これが大好きな名前ちゃんは少しずつリラックスしてアキくんの首へと腕を回します。

「名前、緊張してる?」
「うんすごく…」
「ふふ、俺も」

アキくんはぽんぽんと名前ちゃんの頭を撫でてから再びキスを落とすと、名前ちゃんの内腿をゆっくりなぞりました。先程までたくさん愛撫してもらっていたそこはぴくんと反応して熱を取り戻します。

「ん…、」

アキくんは名前ちゃんの足を少し開かせると、とろとろの蜜を溢れさせているそこへ顔を近付け、舌を伸ばしました。熱くて、糸を引いている、女の子の蜜。舌でなぞっても溢れてきます。

「ふ、ぁ…っアキくん」
「ん」
「あぁ、う」

入り口を往復するように何度もなぞると、名前ちゃんのクリトリスがびくびくと腫れ上がっていきました。より快感を得ようと存在を主張しているのでしょう、アキくんもそれに気付いて大変愛おしい気分にはなったのですが、ずっとそこだけでは先には進めませんので、今はお預けです。アキくんが舌を尖らせて中へつぷりと先端を埋めてみました。しょっぱいような、すっぱいような、女の子のえっちな味です。くちゅくちゅと舌を動かしてみると、後から後から蜜が垂れてきました。

「あ、ぁあ…っ、ん、アキく、」
「これ、気持ちいいの?」
「んんっ、ぅん…っ」

名前ちゃんはこくこく頷きます。アキくんはそれを見て安心し、舌を中に押し込んで力強く掻き回しました。ぐちゅ、ぐちゅ、少々下品な音ですが名前ちゃんは気持ち良さそうです。

「あ、アキくん…っ、あ、あぁ…」

こんなに色っぽい声を、こんなに蕩けた顔を、こんなに色付いた肌を、アキくんは見たことがありません。内腿に少しだけ力を入れて快感に耐える愛しい彼女を見つめていると早く挿入してしまいたくなります。アキくんは焦らないように自分の欲望を抑えつけ、とろとろとシーツを濡らしている蜜を掬い上げて指に絡めました。

「っ、ひ、ぅ!」

ずぷり、と中指を少し挿れると、未知の感覚に名前ちゃんはシーツを握ります。中を内側から押し拡げられ、熱く蕩けた内壁をゆっくりと擦られるのです。中に入れた指をぬぷぬぷ音を立てながら引き抜き、それをまた押し込みます。すっかり濡れているそこは何の抵抗もなくアキくんを受け入れますが、それが嬉しいアキくんは穏やかに微笑みながら名前ちゃんにキスを落としました。

「もう1本、頑張れそう?」
「は、ぁう…」

今度は蜜を塗りたくった薬指がゆっくりと挿入され、更に拡げられる膣内に名前ちゃんはふるふると腰を震わせます。アキくんの指は細長くて綺麗なのですが、咥え込んでみれば意外と太いのです。出し入れされる度にびくんと腰が浮き上がってしまうのも、情けない声が漏れてしまうのも、名前ちゃんは恥ずかしくて仕方ありませんでした。

「あ、あ、あぁ、う、あ」
「かわいいね、名前。たくさん汗かいてる。泣かないでいいんだよ」
「あぁ、あ……っ」

泣きたいわけでなくても涙は出てしまうもので、アキくんの指が内壁を擦り続けるとぽろぽろと溢れてしまうのです。特にお腹側にあるしこりのようなものを持ち上げられると喉がきゅっと締まるような快感が走り、一層涙は止まりません。

「あ、やぁ…っ、だ、めぇ…っ、」

名前ちゃんがじたじた身を捩って快感に身悶えると、アキくんは手を止めることもなくじっと見下ろします。

「何で?」

理由を言わせようだなんて、いつも優しいアキくんにも意地悪な面はあるようです。名前ちゃんの顔を見れば気持ち良くてどうしようもないということくらい分かるのに、アキくんはじっと名前ちゃんを見下ろすばかり。そんなアキくんに、名前ちゃんは奥歯をガチガチ鳴らしながら内腿を痙攣させました。

「ああぁっ、あ、ああん…っ!!」

びくんっ、びくんっ。
腰が大袈裟に跳ねて目の前がチカチカします。名前ちゃんは膣内でアキくんの指を上手におしゃぶりしながら絶頂を迎えてしまったようです。アキくんは名前ちゃんの可愛いイキ顔に興奮し、指は中を掻き回したままに顔を近付けてキスをしました。舌を絡ませてむしゃぶりつき、唾液を啜るような激しいキス。絶頂を迎えたばかりなのに上のお口も下のお口も、少々刺激が強すぎではないでしょうか。

「んんん!んん!ん〜…っんん!」

案の定、名前ちゃんは爪先をピンと伸ばしたままアキくんの下でじたばたと暴れました。気持ちよすぎて背中が反ってしまいます。膣からはトロトロと真っ白な本気汁を垂らしながら泣きじゃくり、アキくんは堪らず名前ちゃんの膣内から指を引き抜きました。ずぬ…、粘着質な水音が名前ちゃんがどれほど気持ちよくなってくれているのかを物語っています。

「名前、いい子だから、力を抜いてるんだよ」
「え、あ…、アキく…、」
「えっちなキスするときみたいに、息は止めないで」

アキくんはベッドサイドの引き出しからコンドームを取り出し、名前ちゃんに話し掛けながら丁寧にそれを被せていきました。あのアキくんがそんなものを準備していたということにも驚きを隠せませんが、太腿をぐっと開かされて、名前ちゃんは更にパニックです。

「あ…、ま、待ってアキくん、」
「こわい?」
「ううん、怖いんじゃないんだけど、あのね…、」

かぁぁ…と顔が赤くなる名前ちゃん。それを見たアキくんは膣口へ自身の熱を宛てがい、名前ちゃんの頬を軽くなぞります。

「ごめんね、待ってあげられない」
「えっ、なん、っ」

アキくんはいつだって名前ちゃんのペースに合わせてきました。だめだと言えば、待ってくれと言えば、必ず手を止めて名前ちゃんが落ち着くまで宥めてくれたものです。アキくんの優しさに甘えてきた名前ちゃんは今の状況に理解が追い付きません。ぐっと先端が膣口を通り抜け、アキくんの指2本よりも太いものが内壁を裂くように入ってくるのです。熱くて固い、アキくんの熱。アキくんに貫かれてしまえば名前ちゃんは背中を反らしてシーツを両手で乱すことしかできないのです。

「、っあ、やあぁっ、まっ、てぇ…っ!!」

初めては痛いものだと思っていた名前ちゃんは、奥まですんなりアキくんが入ってきたことにも驚きましたし、それがとんでもなく気持ちいいことにも驚きました。指で丁寧に擦ってもらったおかげですっかり隆起しているGスポットにも当たるのです。全身に力が入り脳髄まで走るびりびりとした快楽にシーツが破れそうなほどに握り締めてアキくん見上げると、アキくんは悪戯に笑っていました。

「さっきの答え、聞かせて」
「、へ、ぇ…っ?」

ぐ、と腰を押し付けられて名前ちゃんの涙はいよいよ止まりません。アキくんが熱を引き抜く度に離すまいときゅうきゅう吸い付くように膣内が蠢き、それを押し戻すと空気を孕んで厭らしい音を奏でるのです。ぐちゅ、ぐちゅ、ずぢゅ、ずぢゅ。名前ちゃんの腰がどんどん高く上がっていきます。

「何で待ってほしかったの? 名前、ほんとは待ってほしいなんて思ってなかったでしょ」
「あ、あぁ!あん!そんな、ことぉ…っ!」
「わかるよ。ずっと名前に合わせてきたんだから、本当に困ってるときの名前はすぐわかる」
「や、あぁあん…」

じゃあ、じゃあどうして理由は分かってくれないの。名前ちゃんは恥ずかしくてアキくんから目を逸らしてしまいました。手で顔を覆い、喘ぎに本音を混ぜて蚊の鳴くような声で漏らすのです。

「きもちよくて、おかしくなりそうだったからぁ…っ」

名前ちゃんの恥ずかしくてたまらないという顔を見て、アキくんは体を倒して名前ちゃんを強く抱き締めました。そしてそのまま腰の動きを速くしていくのです。

「おバカな名前。そんなこと聞いたらますますやめてあげられなくなるでしょ」
「あっあっあぁ!はぁん!もっと、ゆっくりぃ…っ!あん!」
「それも、本心じゃないんだよね」

ずっぢゅ!ずっぢゅ!ずっぢゅ!ずっぢゅ!
激しい音が室内に響いて名前ちゃんは堪らず内腿を引き攣らせました。大きく反って、絶頂です。びくん、びくん、痙攣が治まらないのにアキくんは腰の動きを緩めるだけで止めてはくれません。多少名前ちゃんの具合を窺うように頬を撫でますが、すぐに優しく微笑んで腰を振り出すのです。

「やぁああ…っ、やあっ…!ま、まって…っ!」
「もう、待てないんだよ、名前」
「ひ、ぃぃ…っ」

柔らかな声色と穏やかな表情、それに反する激しい腰遣いに名前ちゃんはくらくらしました。こんな強引なアキくん、知らない。必死に抵抗をしながらどうにかやめてもらおうとするものの、その強引なアキくんに善がり狂って喘いでいるのも確かです。やだ、やだ、と漏らしますが口だけで、実際名前ちゃんの体は素直にアキくんを求めていました。絶頂が来ても、また絶頂。終わらない痙攣と脳が溶けるような甘い愉悦に、名前ちゃんの視界が霞んできました。酸素が足りずに舌を突き出して尚も喘ぎます。

「ああぁあ…っ、ああぁっ、アキくっ、や、やだあぁ…っ、ま、まって、ぇ…っ」
「もっと気持ちよくなっていいからね。大丈夫だよ」
「やん…っ、だいじょぶじゃ、ないぃ…っっ」

名前ちゃんの片足を担いで上からぐっと体重を掛けるものですから、奥を叩かれるような暴力的な快感に名前ちゃんは腰を捩って暴れました。えっちって、こんなに、気持ちいいの。もう何が何だかわからない名前ちゃんはアキくんに必死にしがみつきます。

「、かわいい、名前」
「アキ、く、アキくん、っ、アキくん、」
「ここにいるよ。名前、大好きだよ」
「ア、キく、わたしも、わたしもおっ、」
「うん、俺のこと好きなんだよね。いい子」

アキくんの大きな手のひらが名前ちゃんの頭を撫でます。いつもの優しいアキくんで間違いないはずなのに、見上げれば汗を伝わせた男の子が腰を振りたくって快感を貪っているのです。あんなに穏やかなアキくんが、こんなに激しく愛をぶつけるなんて。名前ちゃんはアキくんに抱っこをせがみました。

「アキくん…っ、あんっ、ぎゅって、してて…っ、あ、」
「ふふ、かわいい…っ、いいよ…」

リクエスト通りにぎゅっと抱き寄せ、体を重ね合わせたまま腰だけを動かします。ぶぢゅうっ、ぶぢゅうっ、泡立つ蜜を更に激しく掻き回し、アキくんは腰の動きをどんどん速くしていきました。限界が近いようです。

「ああっ!あ…っ、あぁ、っ、アキくっ、あ!ああぁ…っ!」
「っ名前…、好きだよ、」
「んあっ…あっ…ああぁ…っ!!」

びゅうううう。
コンドーム越しに熱い欲望が吐き出され、それを感じた名前ちゃんも肩で息をしながらお腹に力を入れました。アキくんの射精でまたイッてしまったのです。ほんの数瞬の射精なのですがアキくんは本当に気持ち良さそうに腰を震わせ、名前ちゃんはそのアキくんと溶け合うように足を絡ませて絶頂の余韻に浸りました。心地好い倦怠感。アキくんがこつんとおでこを重ねてくるので、名前ちゃんは思わず笑ってしまいます。

「あはは、アキくんすごい汗」
「ん…、暑い」
「離れる?」
「だめ、まだ抱き締めさせて」

アキくんは甘えるように名前ちゃんの頬に自分の頬をくっつけてすりすりと頬擦りをしました。そんなこと、今までに一度だってなかったので名前ちゃんは目を見開きます。

「ア、アキくん?」
「何?」
「甘えんぼ…?」
「うん。だめ?」
「だめじゃ、ないけど…」
「今、名前が好きすぎて困ってるの」

意外な行動に意外な言葉、アキくんの言動に目を白黒させてしまう名前ちゃんは幸せのあまり口の緩みが隠せません。

「こ、困ってるの?」
「うん。どうしてやろうかと思って」
「どうしてやろうかと思って!?」

なんだか物騒な物言いに声を上げると、アキくんは可笑しそうに喉の奥で笑い、名前ちゃんに凭れ掛かってきました。今日の発見ですが、ベッドの上でのアキくんはちょっぴり意地悪を言うようです。名前ちゃんは顔を真っ赤にしながらアキくんの首に腕を回しました。

「あのね…、アキくんになら、どうされてもいいよ…」
「そう? じゃあ2回目する?」
「えっ!? それは、し、しない」
「どうされても?」
「いいよ…とは言ったけど…!」
「ふふ、かわいい。ゴムあっちの引き出しにあるよ」
「うー…」

アキくんの色気の含んだ誘惑にますます顔を赤くすると、今度こそ耐えきれずアキくんが吹き出します。またからかわれていたようです。意地悪なアキくんには慣れない名前ちゃんは羞恥で何も言い返せません。

「〜〜〜…っ、アキくん!」
「あはは、ごめん、名前が虐めたくなるような顔してるから」
「どんな顔…」

拗ねる名前ちゃんの唇に、ちゅ、とかわいらしくキスを贈ると、アキくんはいつものように名前ちゃんの頭を優しく撫でます。

「世界で一番かわいい顔」

ふ、と微笑むアキくんはやはり王子様のようで、名前ちゃんの心臓はぎゅうううっと締め付けられます。大好きな、大好きな、アキくん。その気持ちを抑えることができず、名前ちゃんは力いっぱいアキくんを抱き締めるのでした。

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リハビリにアキくんです。リハビリから始まりリハビリで終わりました。かなり長い期間になりましたがこれでアキくんは終わりです。ちょっぴり意地悪になったアキ王子を最後までお楽しみいただけていたら幸いです。
20180603
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