「知ってる?これ」
「え?なに?」

お昼休み。トモちゃんが私に1枚の写真を差し出してきた。見るとなっちゃんのタキシード姿。な、なにこれ!素敵!かっこよすぎ!

「う、わあ、これっ」
「名前、落ち着きなよ。これあげるから」
「えっ、なにこれっ」
「こないだ林檎先生が面白がって着せてたのよ。マサやんも着せられてたかな。そのときあたしと春歌しかいなかったから撮っといてあげようと思って」

トモちゃんまじ天使。ありがとうありがとうそしてありがとう。もう私今なら何だってできそう。それにしても林檎ちゃん、何で私も呼んでくれなかったの?

「とりあえず、貰います。ありがとうトモちゃん」
「いいっていいって」

にこって笑顔。ああトモちゃん、笑顔が眩しい。私一生この人についてく。そう思っていたら急に上から声が降ってきた。

「なーにしてるの?」
「り、林檎ちゃん!」

びくって肩を上げた隙に持っていた写真を取られた。うわあ、返して返して!

「あら、これは…」
「か、返して!それはだめ!」
「ふふ、別に没収なんかしないわよ。名前ちゃんったら本当になっちゃんのことが大好きね」

林檎ちゃんがぱちんってウインク。可愛いなあ。私女の子やめたいくらい可愛い。

「そうだ。名前ちゃんもウエディングドレス着てみたら?」
「、え?」

ちょっと反応が遅れた。無事に手の中に返ってきた写真に安心していたら、え?何だって?私がウエディングドレス?林檎ちゃん、ちょっと日本語喋って。

「今結婚式のパンフレットを作るためにSクラスで撮影をしてるのよ。それに使ってるドレスとタキシードなんだけど、この前たまたま放課後残ってたなっちゃん達に着せてみたってわけ。いい機会だし名前ちゃんも着せてあげるわよ。きっとSクラスに負けないくらい可愛いんだから」

べらべら話を進めていく林檎ちゃん。え、ちょっと待って、私モデルにもならないし、っていうかアイドル希望じゃないのに。

「え、でも、え?」
「ふふ、大丈夫よ、名前ちゃんなら絶対可愛いわ。トモちゃんもそう思うでしょ?」
「もちろん!」

あわわわわわ。なんかもう、誰か助けて!



そんなわけで放課後。
半ば無理矢理着せられることになっちゃったけどまんざらでもない私がいる。だってウエディングドレスなんて女の子の夢だしね?誰だって着てみたいしね?
真っ白なドレスに身を包まれて、林檎ちゃんがささっとメイクしてくれた。やばい、誰これ。鏡に映った自分にうっとり。って言ってもすっぴんのトモちゃんの足元にも及ばないけど。

「うわあ名前、すごく綺麗!」
「うんうん、名前ちゃん可愛いわぁ。せっかくだから私が撮ってあげる!」

褒められて調子に乗る私。え、そう?撮ってくれる?ノリノリで林檎ちゃんの方を向いて、パシャリ。その音と同時に教室のドアが何故か勝手に開いて、私はフリーズした。

「名前ちゃん…今日親御さんにご挨拶に行きましょう」

なっちゃんが入ってきて、開口一番真顔でそう言い放った。


(( 親御さんに挨拶行こうか ))
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