「はぁ…名前ちゃん今日も超キュートです〜」

うっとりとため息をつかれた。まるで恋する乙女みたいな。私どんなに頑張ってもあんなため息絶対出ない。

「あぁ、なっちゃん。おはよ」
「おはようございます。名前ちゃん、おはようのちゅーしてもいいですかぁ?」
「だめです」

ズパッと却下するとまるで捨てられた子犬みたいな目をされた。そんな目したって長身だから可愛くないんだからね。いやなっちゃんは素直に可愛いけどさ。なっちゃんはしょぼんと肩を落とした。私が悪いのこれ?

「じゃあ名前ちゃん、ぎゅーしましょう」
「いやです」

懲りずにずっぱり。だって朝からあんな痛いことされたら私の身がもたない。翔ちゃんにやりなよ翔ちゃんに。なっちゃんますますしょぼぼんと肩を落とした。…だめ、なんか罪悪感。私は悪くないはずなのにすっごい罪悪感。離れよう、そうしよう。私がちょっとなっちゃんから距離をとろうとじりじり後退したらなっちゃんはふるふる体を震わせていた。え、なに、どうしたのこの子。

「な、なっちゃん…?」
「…したいです…」
「え?」
「ちゅーしたいですぎゅーしたいです一緒にいたいです!」

グッと拳を握りながら叫ばれた。わあい、私愛されてるぅ。でもね、私だってしたいんだよ、だけど、なっちゃんの、痛いんだもん。とりあえず一緒にいてあげようと思って後退をやめた。なっちゃんの手をとって両手で包む。

「ごめんね、なっちゃん。拒んでるわけじゃないの。ただ理由が…」
「え、そうだったんですかぁ!?」

次の瞬間、ぎりぎりと音を立てて私はその大きな腕に締め付けられていた。苦しい。背骨が泣いてるよ。

「僕、全然気づきませんでした。名前ちゃんは照れ屋さんだったんですね。大丈夫、恥ずかしくないですよぉ」

一方的にべらべら喋られる。そうじゃなくて、ああもう、ちょっと離して!

「なっちゃん゙…っ、ぐ、るし…!」

やっと喉から絞り出した私の声も聞こえないのか、なっちゃんは私のことをこれでもかというほどに抱きしめたままほっぺたにちゅってキスをした。


(( チューしたいギューしたい一緒にいたい ))
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