くちゅ、と厭らしい水音が鼓膜に直接届き、名前ちゃんは肩を跳ねさせました。嶺二さんの舌が自分の耳の中を這うのはこれで2度目ですがやはり苦手です。力の入らない腕で嶺二さんの胸板をやんわり押しますが、止めてくれる気配はありません。ねっとりした刺激にぞわぞわ身体を跳ねさせ、名前ちゃんはきゅっと唇を噛みます。

「っふ……ぅ」

吐息と共に情けない声が混じってしまうことが恥ずかしいのか、名前ちゃんは口と一緒に目もかたく閉じていました。嶺二さんは唇の端だけ上げて薄く笑い、名前ちゃんの耳から首筋へ舌を移動させます。ちろちろ舌先で舐められても背筋がぞわぞわしますが、唇を尖らせてちゅうっと吸われると痛みが少し走り、びくんと体が跳ねました。首筋がこんなに敏感だなんて知らなかったので名前ちゃんは少し不安気です。

「れ、いちゃ」
「んー?」
「それ、なあに、」

嶺二さんは鎖骨に吸い付きながら名前ちゃんの服を器用に脱がせていましたが、名前ちゃんの不安気な声に気づき顔を上げます。名前ちゃんの顔は緊張で真っ赤でした。

「キスマークだよ。こうやって印をつけてるんだ」
「しるし?」
「そう、印だよ」

僕のものっていうね、と嶺二さんはにやりと笑います。こんなにイキイキしている嶺二さんを今までに見たことがあったでしょうか。嶺二さんは名前ちゃんの服をするすると脱がせ、ブラのホックもすんなり外します。ふるんと名前ちゃんの可愛らしい胸が表れました。

「っ恥ずかしい…」
「だーめ、ちゃんと見せて」

身を捩ろうとする名前ちゃんの手を優しく握ると、嶺二さんは再び身を屈め、今度は胸にキスを落とします。何度も何度も先端に優しくキスを繰り返すと、名前ちゃんの体がふるふる震えながら力が抜けていくのが分かります。嶺二さんは舌を出し、キス同様優しく舐めました。

「はっ…ん」

たっぷりと唾液の乗った舌に丹念に嬲られ、名前ちゃんの息にだんだん熱が籠っていきます。舌先を尖らせて小刻みに刺激を与えられたかと思えば舌を平たくして乳輪ごと刺激され、名前ちゃんは嶺二さんの腕を掴みながら体を何度も跳ねさせました。

「あ、ん、んん、ん」
「ふふ、気持ちいい?」

嶺二さんがさらに追い込みのように乳首を軽く噛みます。するとびくんと大袈裟に名前ちゃんの体が跳ねて腰まで引いてしまいました。嶺二さんは悪い大人の顔をしています。

「あれー?名前ちゃんって意外と優しくされるより激しい方に燃えるタイプ?」
「ちが…っひゃん!」
「声出てるよ」

前歯で優しく引っ掛かれるとぞわぞわ体が反応し、体の中心がどんどん熱くなってきます。この前体を触られたときも感じましたが、自分が自分でなくなるような少し怖い感覚です。

「れい、れあんっ!あぁ…っ」
「腰、動いてるね。そっちもしてあげようか」
「やぁっ…まだ、ん!」
「まだここ弄られてたいの?」
「ちがうっ、んひっあぁああ…っ」

少し強めに噛まれると頭がぼんやりしてきて嶺二さんにしがみつく他ありません。嶺二さんは名前ちゃんの脚をそっと開かせると露になった体を舐め回すように見つめました。

「えっちだね…」
「や、みちゃだめ、だめ…っ」
「何で?恥ずかしい?」

嶺二さんは右手をそこへ滑らせます。まだ乳首を弄っただけなのに嶺二さんの手にはぬるぬるなおつゆがたっぷり付いてしまいました。嶺二さんはそれを名前ちゃんに見せるように厭らしく光る手をひらひら振ります。

「恥ずかしいのも気持ちいいんだね。すごいよ」
「っ、やあ…」
「ここもう、すぐ入っちゃうかもね」

嶺二さんはおつゆの付いた指で名前ちゃんの入り口に円を描くようにくるくる動かします。もう嶺二さんを欲しているのかひくつくそこはまるで嶺二さんを誘っているようです。

「入っちゃうね、僕の指」
「ん、あ、あ…」
「僕の指、好き?」

嶺二さんはゆっくり名前ちゃんの中へ指を沈めていきます。中はとても熱くうねっていて気持ちがいいです。嶺二さんは内壁の感触を楽しむように指を動かしました。

「や、ぁあ!うごかし、っん」
「ねえ、好き?」

嶺二さんは中でうねうね動かしていた指を止めて膀胱側へ向け、そこをくいっと前に指を倒すように刺激しました。

「っひぁあん!」
「ねえってばー」
「あっ!あっ、あぁああ……っまっや、やだっやあんぁ…!ん!」
「えーやだ?」
「あん!あ!あ!あ、あぁ、あ!」

そこは女の子の弱いスポットであり、名前ちゃんにとっては未知の快感です。嶺二さんは悪戯に指を動かし、肩で息をしている名前ちゃんの耳元に唇を寄せます。

「嫌だっていう風には見えないけどなあ?」

そのまま耳をべろり。名前ちゃんは目の前がちかちかしました。

「あ!やぁあまって、まっ、やん!だめ!あ!あぁ〜〜…っあ!あ…!」

びくびくん。名前ちゃんの背中が大きく反りました。固く目を閉じた名前ちゃんは中にいる嶺二さんの指を締め付け、イッてしまったようです。嶺二さんは満足そうに笑うと、名前ちゃんの中から指を抜きます。

「初めてなのに気持ち良さそうだったね!名前ちゃん可愛い!」
「、ふ、ぅ」
「でも少し疲れちゃったかな?」

嶺二さんは左手で名前ちゃんの頭を優しくなでなでしました。名前ちゃんはいまいち焦点の合わない目で嶺二さんを見上げます。乱れた息も紅潮した肌もやけに色っぽいです。

「れいちゃ…、いれて…」
「…、え?」

潤んだ瞳で言われるものですから、嶺二さんも思わずどきっとします。名前ちゃんの顔はもう既にとろとろになっていました。僕にそんなえっちな顔見せるなんて煽るのが上手いなあ、とぼんやりと思います。嶺二さんは名前ちゃんに優しくキスしました。

「可愛いけどまだ慣らさないと、名前ちゃんが気持ちよくなれないからね」
「ん…、いい、もういれてほしいの…」
「あは、困ったな…」

ごく、嶺二さんの喉が鳴ります。とてもとても嬉しいおねだりです。ほんとは初めてだし痛い思いさせたくないんだけどと思う自分もいるのですが、やはり誘惑には弱いのです。

「分かった、ちょっと待ってて…」

嶺二さんはズボンを下ろすと自分のモノにゴムを付けました。大きく反り立ったそれは少し窮屈そうにも見えますが、名前ちゃんは何も言わずにじっと待っています。

「ほんとに、いいの?」

嶺二さんは名前ちゃんの上に被さりながら聞きますが名前ちゃんはこくこくと何度も頷くだけでただじっと嶺二さんを待っていました。そんな可愛い名前ちゃんにねだられたら今すぐでも突っ込みたいのが彼氏というものです。

「痛かったら言ってね」

入り口に嶺二さんが当たり、ゆっくり、ゆっくりと入ってきます。名前ちゃんは深く息を吐きました。

「…っ、い、たぁ」

まだ入り口からほんの少し入っただけなのに、名前ちゃんは嶺二さんの肩を強く握ります。ぎりぎりと爪を立てられ、嶺二さんもびっくりです。名前ちゃんの目尻にじわぁと涙が広がっているのが見えました。

「名前ちゃ、やっぱり、」
「いや!このまま!」

名前ちゃんは嶺二さんの腰へ脚を回すと、自分に引き寄せるように抱き締めました。すると自然に奥へ入ります。嶺二さんの肩に立てられた爪にも力が籠ります。

「ん、ぐ…っ、」
「名前ちゃん、どうして…」
「ぬいちゃ、やだあ」
「…、」

名前ちゃんはぐいぐい嶺二さんを引き寄せるのですが、嶺二さんは心が痛みました。大好きな名前ちゃんに痛い思いをさせて、泣かせて、無理をさせているのです。本当は今すぐ抜いてあげたいのですが、名前ちゃんはどうしたのでしょう。嶺二さんは困ったように名前ちゃんの頭を撫でてあげます。

「名前ちゃん、僕は名前ちゃんを気持ちよくさせてあげたいんだよ。ゆっくりしよう?ね?」
「や、やだぁ…っ、れいちゃんは、わたしじゃきもちよく、なれない?」
「そういうわけじゃ…」
「わたしがこどもだから、やり方わからないから、いや…?」

嶺二さんはハッとします。いつも名前ちゃんを大切に扱い、そしてそれ故に甘やかしてきてしまったことを少し後悔しました。名前ちゃんは子供扱いされているとずっと誤解をしていたのです。それを気にしていた名前ちゃんは尚も嶺二さんにしがみつきました。

「れいちゃ、おねが…っい」
「うん。わかったよ」

嶺二さんは少しだけ体を起こし、名前ちゃんの中へ自身を入れていきました。嶺二さんが体を起こしたことによって見えるようになった名前ちゃんのクリトリスを右手で擦ります。

「んぃっ、あん!?」
「こうしたら、楽かな」

しゅ、しゅ、と丹念に手を往復させて嬲るように刺激します。今までのどの刺激よりも1番脳に直接くるような刺激に名前ちゃんもびくびく腰を動かして逃げようとしました。

「あ、あん!れ、ちゃ、それっあぁ…っだめぇ…っ!」
「ここいいでしょ」
「は、ん!んー!あ、あんん…っ!」

逃げる腰を掴まえるように嶺二さんは左手で名前ちゃんの腰を固定しました。嶺二さんのモノは名前ちゃんの中で美味しそうにおしゃぶりされています。

「はぁ…っ、さ、入ったよ…」
「ふ、ぁっ」
「名前ちゃんは中、きもちい…」

嶺二さんは名前ちゃんのおでこに自分のおでこをくっつけると、キスをするでもなく、優しく微笑みました。

「名前ちゃん、僕しあわせ…」
「しあわせ…?」
「うん。大好きだよ、名前ちゃん」

おでこを離して名前ちゃんの頭を撫でると、名前ちゃんも目に涙を溜めながらふわりと笑います。

「わたしも、しあわせ」
「うん。ひとつになれたね」
「うん、好き」
「大好き」
「ふふ、わたしも」

えっちをするとこんなに幸せで、好きになってもらえるんだなあ、なんて名前ちゃんは気分が良くなりました。予習をしてきたとはいえ元々は無知な名前ちゃん、ここでえっちが終わったと勘違いしてしまいます。名前ちゃんは嶺二さんに抱き付きました。

「れいちゃん、ずっと大好きだよ」
「うん、僕もだよ」
「これからもよろしくね」
「うん、…えっと、そろそろいいかな」
「え?」

いちゃいちゃモード全開の名前ちゃんを前に、嶺二さんは大変気まずそうに苦笑いをしました。きつきつの名前ちゃんの中で生殺しを受けている嶺二さんはもう我慢ができません。名前ちゃんがよく分かっていないことをいいことに、嶺二さんは体を少し起こし、名前ちゃんの腰を掴みました。


(( 不安故の強引な行為 ))
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