ふわふわのレースに大きなリボン。可愛いハート。甘いケーキ。もふもふのぬいぐるみ。パステルカラーのワンピース。可愛いものはたくさんある。お部屋も、お洋服も、全部全部可愛くしていたい。可愛いに溺れたい。それなのに、わたしの周りには可愛くないものがひとつだけある。

「あー…、かわいい…」

目の前の音也くんがにやりと笑う。わたしの口を抉じ開けて、舌を見つめては熱っぽい視線を寄越した。あぁ、可愛くない、この欲望。

「名前の口はちっちゃくて可愛いなあ」
「ちっちゃくなんか、」
「ねえ、舐めて…?」

だめ?と切なそうに眉を寄せられるのに弱い。本能に忠実に生きている音也くんのお誘いはいつもストレートだ。緊張でごくりと喉を鳴らしてから、音也くんのパンツのチャックを口で下げていく。可愛くないこんなことを進んでするのは、こうした方が音也くんが興奮してくれるから。まだ完全に勃ちきっていない音也くんのモノをぱくりと口に咥える。

「ん、む…っ」

大好きな音也くん。ここはお世辞にも可愛いとは思えないのに、愛しいと思っちゃうのは、わたしがえっちだからなんだろうか。ちろちろ不器用に舌を動かすと、音也くんのモノはむくむく膨らんでいってわたしの頬を満たしていく。大きな口を開けてしゃぶっている姿なんか可愛くない。可愛くない自分は嫌なのに、音也くんはわたしの髪を掻き上げて自分のモノを咥えるわたしの顔をいつもじっと見下ろすのだ。熱い視線に、体が疼く。

「やらしい顔して、かわいい」
「ん、んん…っ」

かわいく、ない。口いっぱいに音也くんを頬張って、口を窄めてモノを啜る、こんなわたしなんか。

「名前も気持ちよくなってきたの…?」
「っ、ぅん…っ、」

舐めているだけなのに体が熱い。音也くんの視線で溶かされて、それだけで犯されているみたい。恥ずかしくて眉を下げても音也くんは静かにわたしを見下ろした。頭を撫でて、気持ち良さそうに眉を寄せて、口端だけを軽く上げる。えっちでかっこよくて、可愛くない音也くん。どうしてこんなにも好きなんだろうか。

「ぷ、ぁ…っ、おと、く、」
「もう欲しくなっちゃったの?今日は舐めてもらいたかっただけなのに」
「だっ、てぇ…っ」
「…可愛い顔。嘘だよ、俺もシたかった。名前は本当にえっちで可愛いね」

音也くんがわたしの腰を掴んで抱き上げる。膝の上に座らされると下着の上から指を宛てられた。にちゃ、と布が音を立てる。

「小さい舌で一生懸命舐めてるの、すごく可愛い。名前は全部可愛い」
「おとやくん、っ、おと、」
「うん、すぐあげるよ」

はじめは音也くんから誘ってきたのに、いつもこうなっちゃう。音也くんが欲しくて体が勝手に音也くんに甘えちゃう。音也くんはそれを宥めるように頭を撫でてくれて、欲しいものを与えてくれる。可愛い、と囁いて熱を突き立てる。わたしなんか、可愛くないのに。

「っあん、あ、ぁあ、おと…っ、く、」
「あは、もうイッちゃうの?挿れただけだよ?」
「だってぇ…っ、あ、ああぁあ…っ、」
「だって?音也くんにそう教わったから?」
「ん、んんぅ…っ」

からかうように笑う音也くんは腰を止めない。ぐちゅ、ぐちゅ、腰を押し付けて熱を刻む。わたしが可愛くないのは音也くんのせいだ。音也くんだって可愛くない。それなのにこんなに満たされるのは、何でなんだろう。

「名前、もっと顔見せて」
「やぁ…っ」
「だめ、見せてくれなきゃ俺イけないから」

ぐいっと強引に顎を掴まれる。気持ちいい、もっと、かっこいい、恥ずかしい、もうだめ。いろんな感情でぐちゃぐちゃになって涙が出てくる。好き。好き。音也くんの首に腕を回してしがみつく。好き。音也くん。

「おれも、すきだよ…っ」

何も言ってないのに音也くんが急にわたしの耳にそう吹き込んでキスをした。びくんっと大袈裟に腰が跳ねる。やっぱり可愛くない、ずるい、大好きだ。力一杯音也くんを抱き締めると、音也くんの熱い欲望を奥に叩き付けられた。

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