部屋に行くまでエレベーターの中で何度心臓が出そうになったことか。エレベーターガールがいたからっていうのもあるかもしれないけど、いつもはもう少し近くに立つのに意識しまくっちゃって微妙な距離感。だってこれから抱かれるって分かってるのに、平然としてられないでしょ。チラッと翔ちゃんを見てみたらこちらの視線に気づいたらしくて一瞬目が合ったけどすぐにパッと逸らされた。翔ちゃん、そんなんで抱けるの!?
浮遊感が無くなったと思ったらもうお部屋の階に着いていた。エレベーターガールがドアを押さえ、笑顔を向けてくる。何か言ってた気がするけど全然耳に入ってこなくてそそくさとエレベーターを降りた。翔ちゃんも続く。降りると部屋まで翔ちゃんは無言、いつもよりちょっと歩くのが早い気がする。わたしも黙ってついてって、翔ちゃんがカードキーで開けてくれたからわたしから先に部屋に入った。緊張してたけど、入った瞬間まず部屋の広さにびびる。

「わああ…!」

思わず窓辺に駆け寄った。おっきい窓から覗く一面の夜景。すごい綺麗だし、ロマンチック。

「翔ちゃん、すごいっ!」
「おぉ、確かにすげえな…」

キラキラしてる夜景が宝石箱みたいで思わずため息が漏れる。翔ちゃんもわたしの隣にやってきて目をキラキラさせながら夜景を眺めていた。

「すごいね翔ちゃん…!わたしこんな高いところ泊まるの初めてだよ。見て、車があんなに小さい!」
「ば、ばか、下を意識させんじゃねえよ」
「えっああ、ごめんごめん」
「…おい、何にやにやしてんだよ」
「ふふふふ」

そうだそうだ、翔ちゃんはあんまり下が見れないんだった。かわいい。にまにまし続けたら機嫌を損ねたように翔ちゃんが唇を尖らせて窓から離れていった。拗ねてる拗ねてる。

「翔ちゃんって何で可愛いって言われるの嫌なの?」
「やっぱり可愛いって思ってたのかよ」
「ありゃ、バレたか」
「可愛いって言われて喜ぶ男なんかいねえだろ」

そうかなあ、今はいろんな子がいるから可愛い中性的な男の子はたくさんいるし、可愛いを目指してる男の子だっているのになあ。翔ちゃんは男気全開なタイプだからあんまり理解できなそう。拗ねてる翔ちゃんの袖を掴んで「ごめんね」って小さく言ったら翔ちゃんはムッとした表情のまま振り返ってわたしの頭をくしゃくしゃ撫でた。

「可愛いっていうのはお前のことを言うんだよ」
「え?」
「いちいちドキドキさせんな…」

今のやり取りのどこにドキドキ要素があったのか分からない。翔ちゃんのときめきポイントは難しいから可愛いの共有はあんまりできなそう、かな。とりあえず荷物を置こうと思って部屋の窓側にあるソファに鞄と翔ちゃんから貰ったプレゼントを置いた。コートのポケットからスマホを取り出して、それはソファ前にあるガラステーブルに置く。

「コート掛けるよ」
「あぁ、ありがとう」

翔ちゃんがクローゼットからハンガーを出してくれて、コートを渡すとそれに掛けてくれる。自分もポケットからiPhoneだけ取り出してコートを掛けて、一緒にクローゼットに入れてくれた。

「今日はたくさん動いたな」
「うん、わたしちょっと腕痛いよ」
「マジで?たった2ゲームなのに?」
「翔ちゃん痛くないの?」
「俺そんなに貧弱に見えるのか…」
「ちょっと、それわたしのこと貧弱だって言ってるの?」
「お前はただの運動不足だって」

翔ちゃんもガラステーブルにiPhoneを置く。

「疲れた?」
「ちょっとね。でもすっごく楽しかった!」
「そっか、良かった」
「翔ちゃんは?」
「俺もすっげえ幸せだった。やっぱ1日一緒にいられるの嬉しいよな」
「うん」

翔ちゃんはわたしの頭に手を置くと、さて、と部屋を出ていこうとする。どこ行くんだろうと思いつつも追わずに視線だけやる。

「じゃあ先風呂入れよ。お湯溜めるか?」
「あぁ、うん。ちょっと浸かりたいかも」
「分かった」

あぁ、バスルームね。翔ちゃんは一瞬消えたけどすぐ戻ってきた。ソファに戻ってくるとお湯が溜まるのを待つ。お互い向かい合って座ると少し照れ臭い。

「…」
「…」

お風呂なんて言われたら途端に意識しちゃって翔ちゃんの顔が見れなくなる。膝の上に手を置いて指先を悪戯するけど、落ち着かない。翔ちゃんをチラッと見ると、翔ちゃんは自分の黒く染まった毛先を摘まんで遊んでいた。

「そ、そうだ、翔ちゃんが黒髪だったの、ちょっと新鮮だった」
「普段あれだけ目立つ髪色してたらな。暗いと何となく落ち着かねえよ」
「そうなの?似合ってるのに」
「えっ、お前黒髪のが好き?」
「翔ちゃんにはやっぱり金髪が似合うけどね、黒髪もかっこよかったよ」
「そ、そっか」

あ、にやっとした。翔ちゃんは口許の緩みを隠すように手の甲を口許に添える。この表情可愛くて何回見てもときめいちゃう。

「じゃあ、たまには黒髪もあり?」
「あり、大あり!」
「そっか…、じゃあたまにするかも」
「やったあ!」
「こっちならお前と堂々デートできるしな。自分が見慣れねえからちょっとそわそわするけど、お前が黒でもいいならいいや」

似合ってるのもあるけど、ファンの子が知らない翔ちゃんを見れてる気がして、それも嬉しいんだよね。それで堂々と外に出てデートもできるなんて最高。

「そろそろ風呂入れるんじゃねえの?」
「あ、あぁ…じゃあ先に借りるね」
「おう」

何となく気恥ずかしくて、パッと立ち上がってバスルームに向かう。バスルームもすごく広い。洗面台の下にバスタオルとバスローブが置いてあった。バスマットを敷いてから服を脱ぎ、バスルームに入った。お湯がいい感じに溜まってる。

「さむ…」

まだ暖まってないバスルームに身震いし、シャワーを捻る。さっと体を流してバスタブに浸かるけど、さっきから心臓の音が煩い。わたしお風呂の後、いよいよ抱かれるの? 全然想像つかない。体綺麗にしとかなきゃ…。

早く出なきゃと思いつつもちょっと時間かかっちゃったかも。あせあせしながらバスローブを羽織って出る。バスローブも何気に初めてだからドキドキするなあ。

「し、翔ちゃん、出たよ…!」
「えあ、お、おう」

部屋に戻るとiPhoneをいじってた翔ちゃんが勢いよく顔を上げる。ぺた、ぺた、とスリッパを引きずると、翔ちゃんはわたしが近づく前にバッと立ち上がる。

「じ、じゃあ、俺も入ってくる!」
「ど、どうぞ!」

ああ、見てて可哀想なくらい緊張してる。翔ちゃんは軍隊のような歩き方で、でもぎこちない動きでバスルームに向かっていった。わたしも緊張してるけど、翔ちゃんの方がずっと緊張してるように見える。

「はあ…」

小さく息を吐いてベッドに腰掛けた。これはダブルベッド?キングベッド?とにかく大きいベッドでふわふわふかふか。ツインじゃないから、ほんとにするんだなあって実感する。

「ここで抱かれるんだ…」

何度か妄想したことだって、ある。でも妄想と現実は違う。心臓がおかしくなっちゃったみたいにさっきからバクバク鳴りっぱなしだし、緊張して落ち着かない。翔ちゃんどんな顔するのかな、どうやってするのかな。ああ、早く出てきてくれないと変な妄想が暴走しちゃうよ!
そうしてゴロンゴロンしてるうちにシャワーの音が止んだ。バスルームのドアが開く音がしてドキッとする。体を起こすと翔ちゃんがバスローブを羽織って部屋に戻ってきた。あ、金髪。

「翔ちゃん…だ…」
「ん?あぁ、髪もカラコンも取ってきた。やっぱこっちの方が落ち着く」
「翔ちゃん…」

翔ちゃんがベッドサイドに腰掛ける。わたしの頬を手で撫でて、ちょっと笑って見せてくれた。

「つーかお前、起きてたんだな」
「えっ」
「疲れて寝ちゃってるかと思った」
「だ、だって…」

するって、言ったじゃん。なんて言えないけど、カァッと顔が熱くなって下を向くと、翔ちゃんは頬に添えてた手を顎に持ってきて顔を持ち上げて視線を合わせる。うわ、うわ、待って、思ってたよりやばいかも。

「なぁ、…いい?」

うわあ、だめ、ほんとにかっこいい。翔ちゃんの視線が色っぽくて、思わずバスローブをぎゅっと握った。心臓破けて死ぬかもしれない。わたしが死んだら骨を富士山に撒いてほしい。

「うん…」

小さく返事をすると、翔ちゃんはゆっくり顔を近付けてきた。ぎゅうっと目を瞑ると翔ちゃんが小さく笑う気配がする。それから、ちゅ、と小さくリップ音。続けて、ちゅ、ちゅう、と唇が重なった。柔らかくて気持ちいい。それを角度をつけて食むように挟まれるとそれだけで気持ちよくて肩が震えた。翔ちゃんは掴んでいた顎を引いてわたしに口を開けさせて、舌を入れてくる。わ、わ、まだ数回しかしたことない、ディープキス。

「ん…っ!」

舌で舌を嬲られ、熱を与えられる。ぬる、としたこの独特の感触、柔らかさ、慣れなくて心臓が痛い。舌を求めるように動いて絡められ、体の力が徐々に抜けていった。翔ちゃんはぐっとわたしの体に力を入れて、背中に手を添えながらゆっくり体を倒してくれる。うわあ、ほんとに、翔ちゃんに押し倒されちゃった。

「っふ…」

翔ちゃんの舌が熱い。ねぶねぶと唾液を掻き混ぜるように絡めてしゃぶられ、口の間から息が漏れる。翔ちゃんはわたしの頬を両手で包んで角度を変えて何度も何度も舌で犯してきた。舌が、ぴりぴりする。

「は、ぁう、しょ、ちゃ」
「ん?」
「まって…」
「どうした?」

翔ちゃんの胸板を押すと、翔ちゃんは唇を離してわたしの言葉を待ってくれる。

「な、なんか、このちゅう、えっちだよ…っ」

顔を覗き込まれると恥ずかしい。小さくそう言って顔を逸らすと、翔ちゃんはまたぐいっと顎を掴んでわたしのおでこと自分のおでこを重ねた。

「ばーか、当たり前だろ」
「あ、っ」
「これからもっとえろいことすんだから…」

翔ちゃんの手が体をなぞる。びくっと過剰に反応して恥ずかしい。翔ちゃんはわたしの首筋に顔を埋めて、ちゅう、と小さなリップ音をさせながらキスを降らせる。その間にも翔ちゃんはわたしの体のラインを確かめるように手でなぞっていた。

「しょう、ちゃ、」
「ん?」

翔ちゃんはわたしのバスローブを解いて小首を傾げる。うわ、なんか、どうしよう翔ちゃんの顔が見れない。

「翔ちゃ…おねがい…」
「どうした?」
「電気、けして…」

見られて恥ずかしいから体を軽く手で隠しながら告げると、翔ちゃんはガバッとわたしから離れた。勢いにびびる。そしてベッドサイドのテーブルに付いてるスイッチで電気を消すと、わたしの上に戻ってきた。

「これでいい?」
「ん…ありがと」
「お前ほんと可愛すぎ…」

翔ちゃんはわたしのバスローブを脱がせ、自分のバスローブも解いた。暗くてうっすらしか分からないけど翔ちゃんの体がすごく引き締まっててキュンってする。翔ちゃん毎日欠かさず体作りしてるもんね。翔ちゃんはわたしの脇腹をそっと撫でてラインをなぞると、そのまま胸へ手を滑らせてきた。翔ちゃんの大きな手がわたしの胸を包む。

「あ、う、わたし胸ちっちゃい、よ」
「そうか?」
「そ、そう、だから…っ、あ、」

恥ずかしくてどうでもいいことを言ってしまう。翔ちゃんの手がやわやわと動いて胸を優しく揉んだ。全体の感触を確かめるように手が動き、でもたまに指が乳首に当たる。もどかしいような気持ちいいような感覚にさらに恥ずかしくなってきちゃう。

「だか、らぁ…っ、つまんない、かも」
「そんなことねーよ」

翔ちゃんの顔がわたしの胸元に埋まっていく。ちゅ、と音を立てて肌にキスをされ、肩を上げそうになるのを必死に堪えた。その体勢のまま翔ちゃんは上目がちにこちらに視線を遣る。

「すっげえ可愛い…」

目が合った瞬間、心臓がバクッと跳ね上がった。こんなにドキドキしてたら肌に触れてる翔ちゃんにはとっくに気づかれてるかもしれない、恥ずかしいなあ。翔ちゃんは相変わらず胸を揉みながら、もう反対はキスを降らせている。ちゅ、ちゅ、リップ音が響く度にえっちな気持ちになっていって腰が熱くなった。翔ちゃんは乳首にもキスをする。

「っ、ん…」

思わず声が漏れそうになって慌てて口を手で押さえた。翔ちゃんは舌を出してそこをちろちろ愛撫し始め、乳首を転がされると余計声が出そうになる。

「ふ、ぅん…っ」
「なぁ、声聞かせてくんねぇの?」
「えっ」

翔ちゃんは揉んでいた手を止めて指で乳首を弾く。びくっとするともう片方は舌で嬲られ、逃げ場がない。また声を押し殺して肩を揺らすと、翔ちゃんはわたしの口から手を剥がしてそっと唇にキスを落とした。

「恥ずかしい?」
「う、うん」
「俺も。でも今夜はちゃんとお前を感じたい」
「翔ちゃん…」
「声我慢しないで聞かせて」

な、と頭を撫でられると頷く以外に何もできない。恥ずかしい、でも、翔ちゃんがそう言うなら。頷いたのを見て翔ちゃんは優しく微笑み、またわたしの胸へキスをした。乳首を口に含んで中で舌を絡ませる。体の芯へ少しずつじんわり熱が与えられて気持ちいい。綺麗な黒に染まっている爪先でもう片方をカリカリ触られてびくんっと大袈裟に腰が揺れた。

「んっ、ぅ」

声我慢しないでって言われてもそう素直になれなくて、手では塞がないにしても唇はキュッと閉じてつい我慢しちゃう。情けない声を出して翔ちゃんに感じてるのがはしたなく思えて恥ずかしい。シーツを握ってびくびく体を跳ねさせて、何もできない。

「名前、大丈夫か?」
「う、うん…っ」

翔ちゃんはわたしを気遣ってくれるけどわたしにはそんな余裕はない。体を見られてそこにキスされ、更には舐められている。翔ちゃんとこんなえっちなことをする日がきた実感が持てないまま行為が進んでいって、翔ちゃんのことが上手く見れない。翔ちゃんはわたしの太ももに手を滑らせる。

「足開けるか?」

翔ちゃんはまだわたしに恥ずかしい思いをさせるつもりだった。そもそも肌を重ねるってそういうことなんだけど、でも、本当に恥ずかしい。泣きたくなりながらそろそろと足を開くと翔ちゃんはちょっとだけ声を出して笑った。

「そんなんじゃ触れねぇだろ、そんなに恥ずかしいのか?」
「うう…、だって、見られるのなんて初めてだし…っ」
「俺も初めてだよ」
「で、でも…っ」

翔ちゃんが急にわたしの手を掴む。それを翔ちゃんの胸に押し付けられると、ドクッドクッと手のひらを伝って力強い心音を感じた。テンポがすっごい速い。

「翔ちゃん…」
「分かった?俺だって緊張してるしめちゃめちゃ恥ずかしいけど、お前とだからシたいんだよ」
「わ、わたしも…翔ちゃんとシたい…」
「うん、ありがとな」

さっきよりもう少し足を開くと翔ちゃんはそこへ手を滑らせた。くちゅ、なんて湿った音が聞こえて自分が濡れていると自覚する。翔ちゃんの手はわたしの足の間を行ったり来たり往復して、愛液を手のひらに擦り付けてるみたい。

「わり、もう少し開くぞ」

翔ちゃんはわたしの足をぐいっと開かせてそこへ顔を近付ける。うわ、うわ、翔ちゃんの舌が。

「っあ、あん…」

ぬるり。柔らかくて熱い舌がクリトリスを刺激する。気持ちよくて脳に直接響くような感覚。初めはゆっくり、次第に小刻みになっていく愛撫に思わず翔ちゃんの頭を押してしまう。

「やあっ、だ、めぇ…」
「だめ、なのか?」
「あ、う」

翔ちゃんが困ったように顔を上げる。口許が濡れてて、それがすごい厭らしい。

「痛かった?」
「あ、いや、そうじゃなくて…」
「ん?」
「気持ちよすぎて、声が出ちゃうから…」

言うと翔ちゃんが一瞬フリーズしてからわたしの足を掴む。

「可愛いこと言うとほんとにやめてやれなくなるからな、バカ…」
「だ、だって、っあ、あぁ、う」

舌が動いて電気が走ったみたいにびりびりする。ただ舌先でほんの少し擦られるだけなのにシーツを握って腰が上がっちゃって情けない。翔ちゃんはわたしの太ももを掴みながら舌を動かして水音を立てた。シーツにぱたぱたと愛液が落ちる。

「あぁっ、あ、翔ちゃ、ん、あ」
「ん…」
「あん…っ、ああう、あっ」

クリトリスが溶けちゃうんじゃないかってくらい丹念に舐められ、唾液で滑るそれを更にスムーズに刺激された。熱い。ぬるぬるとさらに唾液を塗り付けられてわたしの愛液も止まらない。とろとろ流れっぱなしのそれをたまに舌で掬って喉を鳴らしてるけど、その吸い付く音が下品でえっちい。もうだめ、気持ちよすぎる。

「ふあ、っあ、しょ、ちゃん」
「っ、はあ…っ」

翔ちゃんは一旦顔を離して自分の指を口に含んだ。そこに唾液を絡ませてしっかり濡らしてからわたしの膣口に触れる。

「あ、や、まって…っ」
「こわい?」
「そうじゃ、なくて、」
「ん…」

わたしを見下ろす翔ちゃんの顔が、見たことないくらい男らしくて心臓が警報を鳴らしてる。伏せ目がちにわたしを見下ろして興奮を隠そうともしてない。紅潮した頬や少し濡れた目、全部、全部かっこいい。

「翔ちゃん、これ以上きもちよく、しないでぇ…」
「っ…だからお前は、何でそうやって俺を煽るんだよ…!」
「はあっ、あっ!?」
「俺だって優しくしようって思ってんのに…っ」

翔ちゃんはわたしの中に中指を差し挿れる。ゆっくり入ってくる固いものに戸惑って翔ちゃんを見上げるけど翔ちゃんはわたしの再び胸を揉みながら中を擦った。ぬちゅ、ぬちゅ、部屋に響いて恥ずかしい。中すごい、気持ちよすぎ。

「あんっ、あ、やぁあ…っ、あっ、」
「かわい…ん、名前」

勝手に声が出ちゃうからどうにか堪えようとしても無意味だった。体を捩ったり喉を反らしたりしても快感は逃げないし、腰を引くと翔ちゃんに掴まる。

「あう、あ、やぁ…っあっ、あ…!」
「はー…、可愛い、なぁ名前、可愛い、大好き…」
「ん、あぁう、しょちゃ、わたしも、あんっ、すきぃっ」
「っ…頼むからそれ以上喋んないで…可愛すぎて自制できねえ…」

翔ちゃんはさらに指を増やして中を抉った。入り口が少しだけひりひりしたけど中はかなり濡れてるから痛みはない。というか、そんなもの感じ取らせてくれないほど無遠慮な快感の暴力を食らっている。酸素を求めて開けた口からは唾液と共に嬌声が止まらない。

「はぁ、んっんあ、あぁっ」

翔ちゃんはわたしの太ももにキスをすると、ゆっくり指を引き抜いていく。わたしより長い指が抜けて、あれが入ってたのかと思うと膣が疼いた。翔ちゃんはベッドサイドに手を伸ばしてコンドームを取ると、口で噛んでピッと引っ張った。それを自分のモノに被せていく。

「初めてだから痛いかもしんねえけど、頑張れるか?」
「うん…大丈夫…」
「無理だったらすぐ言えよ」

翔ちゃんはわたしの太ももを掴んでゆっくりモノを入れてきた。先が少し入っただけですごい異物感。思わず深く息を吐いて体に力を入れてしまう。翔ちゃんはそれに気づいたのかわたしの頭を優しく撫でてくれた。

「大丈夫か?」
「っ…ん、思ってたより、痛くない…」
「良かった。少しずつするから…」

言葉通りゆっくり挿入してくれる。痛みは覚悟してたからなのかそこまで酷くなくて、ただ押し上げられるような感覚に呼吸が苦しかった。翔ちゃんはわたしの手に自分の手を重ねて指を絡めてくれる。翔ちゃんの温もりが何となくいつもよりずっと愛おしい。

「ん…全部、入った」
「はっ、はぁっ、翔ちゃっ、ん」
「痛くない?」
「大丈夫だけ、ど、動くのちょっと待って…」
「お、おう」

ひとつになってるんだなあって自覚すると嬉しくて翔ちゃんにしがみついた。肌が触れ合って気持ちいい。

「翔ちゃん、好きだよ」
「俺も。お前のこと本当に大好きだ。大好きすぎて困るくらい」
「ふふ、困るの?」
「困るだろ、お前のことしか考えられなくなるんだから…」

翔ちゃんはわたしの頬にちゅっとキスをする。嬉しくてわたしも翔ちゃんにキスを返した。幸せ。そろそろひりひりする痛みも引いてきたから翔ちゃんの耳に唇を寄せる。

「翔ちゃん、優しくシてくれる…?」
「おう。俺のこと掴んでていいからな」

翔ちゃんは自分の首へ腕を回させると、ゆっくり腰を引いてまた押し戻した。内壁が翔ちゃんので擦れて熱を分け合ってるのが分かる。

「ん…っ、翔ちゃ、っ」
「はぁっ…可愛い…好きだ…っ」

ぐっぢゅ、と中から空気を孕んで掻き混ぜられる音が漏れる。ゆっくりゆっくりわたしを気遣うように動いてくれてるのが分かってすごく嬉しいけど、翔ちゃんは気持ちいいのかなあ。翔ちゃんの首に回した手に少しだけ力を入れてぎゅうっと抱き付く。

「翔ちゃんっ、ん、あぁっ、」
「ん…?」
「き、きもちぃ…?」
「きもちい、よ、」
「そっか…っ、もっと動いても、いいよ…?」
「っ、だからお前は…!」

もう知らねえからな、と翔ちゃん。わたしの体をしっかり掴んで少しずつピストン速度を上げていった。その度に中から厭らしい水音が漏れてわたしの口も開きっぱなし。自分で自分じゃないと思っちゃうくらいはしたない声しか出てこなくて嫌なのに翔ちゃんはさっきから何度も可愛い可愛いって呟く。

「あう、あ、ひゃう…っ」
「可愛い声…っ、はあ、名前好き…」
「は、ゃあ…っ、あ、あぁっ」

可愛いって、好きって言われる度に嬉しくてさらに気持ちよくなる。翔ちゃんからの愛情がすごい伝わってくるよ。わたしも大好き、すごく大好きだよ。伝わるかなあ。

「しょ、ちゃん、あっ、すきいっ、すき…っ」
「うん俺も…っ、はぁ、名前すっげえきもち、は…っ、」
「はぁっんっ、ん…っ、翔ちゃ、わたしもう…っ」
「ん、いいよ…」

翔ちゃんが頭を撫でてくれる。いつもみたいに優しい手つきじゃなくてちょっと乱暴だけど興奮が伝わるような手つきで翔ちゃんの背中にしがみついた。気持ちよすぎて頭が真っ白になって、びく、びく、と勝手に体が跳ねる。ああ、翔ちゃん、大好き。

「〜〜…っ、あっ、ぅ」

声を押さえたら翔ちゃんがわたしのことを力一杯抱き締めてきて、翔ちゃんもびくびく腰を震わせてわたしの中で熱を放っていた。コンドーム越しだけど、すごい熱い。翔ちゃんは暫くそうして抱き締めてくれてたけど、汗で張り付いたわたしの髪を簡単に整えてくれてからゆっくりモノを引き抜いた。抜けるときすら、ずぬ…、と粘度の高そうな水音を響かせる。中からとろとろ愛液が溢れる感覚がしてたら翔ちゃんはティッシュでそれを拭いてくれた。自分もコンドームを取って軽く拭く。

「ふ、あ…、これ意外と体力使うな」

バフッ、と隣に寝転んできた翔ちゃんは何ともムードのないピロートークを始めた。こういうところが翔ちゃんらしくて好きなんだけどね。

「翔ちゃん、気持ち良かった?」
「すげえ気持ち良かった…、お前は?」
「えっ、う、うん、良かったよ…」
「何恥ずかしがってんだよ、ちゃんとこっち見ろって」
「や、ち、ちょっと待って…!」
「なぁんだよ」

翔ちゃんが可笑しそうに笑う。とりあえず布団に包まって翔ちゃんの方を向くと、翔ちゃんはにやにや笑いながらわたしを抱き寄せて腕枕をしてくれた。

「何今更恥ずかしがってんだよ」
「だ、だって…、」
「さっき全部見ちまったぞ」
「ええっ、電気消したのに…」
「あー、可愛い!お前ほんと何でそんな可愛いんだよ!」
「か、可愛くないよっ」
「世界一可愛いよ」

翔ちゃんがわたしの頬を手のひらで包む。心地好くてそれに擦り寄ると、翔ちゃんは嬉しそうに小さく笑って頬を撫でてくれた。

「たくさん愛させてくれてありがとうな」
「うん…翔ちゃんからたくさん愛情感じたよ」
「愛情込めたからな!」
「ふふ、わたしも、愛してくれてありがとうね」
「ん、俺も愛してもらったし」

翔ちゃんはさらにわたしを抱き寄せる。あったかい。わたしは布団を翔ちゃんにも掛けて一緒に布団に包まって肌をくっつける。

「翔ちゃん、大好き」
「俺も。愛してるぜ、相棒」

汗ばんで湿った肌が触れ合うとひとつになってるみたいに心地好い。体温を分け合って暫くふたりでそうしていた。

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もう少し余裕ない感じにする予定だったんですけど翔ちゃんがかっこよくリードするものになってしまいました。名前様、お付き合いありがとうございました。
20161231
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