「どこか痛いところはありますか?」

むねが、痛いです先生。
どきどきと心拍数を上げながら名前ちゃんは薫くんを見上げました。心配そうに顔を覗き込んでくれるぱっちりしたおめめと目が合い、肩を揺らします。

「あ、はい…頭が痛いです」
「頭ですね」
「あと喉も、昨日から痛くて」
「じゃあ喉を見せてください」
「はい」

薫くんはアイスの棒のようなもの取り出すと、名前ちゃんに口を開くように促しました。大好きな人に改まって口の中を覗かれるのは何とも言えない気持ちで名前ちゃんは複雑です。躊躇っている名前ちゃんに気づいて、診察ですから、なんて伝えてくる薫くんを見てしまえば仕方ありません、名前ちゃんは覚悟を決めて口を開きました。

「は、く」

なんと煽情的なことでしょう。何度も舐められた口腔を曝し、薫くんに従う状況に名前ちゃんは興奮していました。薫ちゃん、今日は、口の中見るだけなのかな。診療中だということも忘れて名前ちゃんは薫くんを見上げるばかりです。薫くんはそんな蕩けた視線に目を合わせることなく喉の奥を診ていきます。

「あー、ちょっと赤くなってますね。まだそんなに腫れてないですけどごはんは普通に食べられますか?」
「は、ひ、」
「…苗字さん?」

興奮しきっていた名前ちゃんは薫くんに名字を呼ばれてハッとしました。ここは病院、今は診察中なのだと現実に引き戻されます。口腔に刺激を求めていけない妄想をしていたなんて口が裂けても言えません。

「は、はい!すみません!」
「…いえ、それではお薬を出しておくのでそれで様子を見てくださいね」
「はい」
「じゃあ苗字さん、お大事に」

にっこりと笑う薫くんは地域では有名な人気のお医者さんそのものです。優しくて穏やかな雰囲気が滲み出ていて、名前ちゃんはきゅうんと胸を鳴らしました。やっぱり薫ちゃんはかっこいいなあ、自慢の彼氏だなあと、名前ちゃんは満足そうに診察室を後にしました。




(( 喉の診察 ))




ガチャ、とドアが開く音が聞こえて名前ちゃんはソファから腰を浮かしました。昼、夜とお薬を飲んでだいぶ体調は回復している名前ちゃんですが、それを見せつけるようにぱたぱたと玄関へ走っていきます。

「薫ちゃん、おかえりなさい!」
「ただいま。そんなに走って大丈夫?」
「うん、もうすっかり元気!」
「良かった」

ふわっと笑顔になる薫くんには気品があり、まるで王子様のようで名前ちゃんはドキッとしました。付き合いだしてから随分経つのに未だ慣れず、笑顔ひとつでこんなにときめかされてしまうのです。薫くんをうっとり見上げている名前ちゃんに気づいてか、薫くんは突っ立ったままの名前ちゃんの肩を抱き、部屋に入ることを促します。

「でも、僕の病院に来るなら事前に言っといてくれたら良かったのに。名前のカルテが回ってきたときびっくりしたよ」
「えへへ、ごめんね」
「僕をびっくりさせたかったんでしょ?大成功だね」

薫くんには何でもバレてしまいます。白衣を着ている薫くんを見たかったのもありますが、一番の理由はびっくりさせたかったからで、名前ちゃんは大成功という言葉ににんまりしてしまいました。急に来たことを叱るでもなくこうして喜んでくれる薫くんは名前ちゃんにとって最高の彼氏です。

「へへ、薫ちゃん、好き」
「どうしたの急に」
「今そう思っただけっ」

照れ隠しをするようにソファに飛び込んでクッションに顔を押し付ける名前ちゃんを見て、薫くんはふふっと笑みを溢しました。追うようにソファに腰掛けて名前ちゃんの髪を優しく撫でます。ふわふわの髪の毛が心地好く、薫くんもきゅうっと胸を鳴らすのです。

「名前」

薫くんが声を落とすと、名前ちゃんはクッションを顔から外して薫くんを見上げました。穏やかな表情に安心して体を起こし、薫くんは名前ちゃんの頬に手を添えます。近い顔にどきどきしてしまうのが聞こえそうな距離です。

「今日僕に欲情してたでしょ」
「へ、」
「口の中見られて興奮したの?」

薫くんはにやっと目を細めました。先程の王子様のような穏やかな笑顔はどこかに消え、悪戯っ子のような顔です。名前ちゃんがぶわわと顔を赤く染めたのを確認してから薫くんは名前ちゃんの口の中に親指を捩じ込みました。

「か、かほふひゃん」
「ん?」
「なにひゅるの」
「喉を見るんだよ」

薫くんはくいっと上を向かせると喉の奥を覗き込むように顔を近づけます。粘膜に触れる薫くんの指に名前ちゃんは落ち着きません。

「うん、まだちょっと赤いけど大丈夫そうだね。もう痛くない?」
「らいひょうふ」
「そっか」

薫くんは親指を抜いてくれません。それどころかその指で頬の内側をゆっくりなぞりました。ぬめる壁を擦られる感覚に名前ちゃんは焦れったくなります。

「かほふひゃん…」
「どうしたの?」
「やらぁ…」

口が閉じられない名前ちゃんは淵から唾液を溢し、恥ずかしそうに薫くんに訴えますが薫くんは微笑み返すだけで指を抜く気はないようです。

「嫌なの?昼間はもっと欲しそうに見えたけど」
「かほふひゃ、」
「何が欲しかった?」

ふふ、と笑う薫くん。楽しそうですが名前ちゃんはなかなか楽しめる状況でもなく、追い詰められて視線を揺らしました。本当は全部薫くんにバレているのです、分かっているのですが、名前ちゃんだってさらりと言ってしまえるタイプではありません。

「や、やら、かほふひゃ」
「僕に嘘つくの?」
「あ、う…」

薫くんは名前ちゃんにぐぐっと顔を近付けると、鼻の頭にちゅっと可愛らしくリップ音を立てました。それからゆっくり親指を抜いていきます。唾液にまみれた親指はふやけてとろとろしていました。

「言ってごらん」
「あ、や…っ、薫ちゃ、べろなめ、て」
「舐めて…ね」

いいよ、と笑うと薫くんは名前ちゃんの唇に唇を重ねます。名前ちゃんは待ちきれないというように口を開き、薫くんの舌先を舐めました。先端をちろちろ小刻みに舐めて、はう、と息を漏らします。大好きな刺激に体を震わせると、薫くんが角度を付けてさらに深く舌を入れてきました。舌の根本まで溶けそうになるまで熱を絡め合い、唾液を混ぜるように動かして擦ります。それから内側の粘膜を堪能するように愛撫していく薫くん。名前ちゃんはこれが大好きで腰から力が抜けていくのが分かりました。

「んっふ、ふぅ…っ、」
「…」
「んぁ、は、ふ」

上顎を舐められると気持ちよすぎて舌を引っ込めてしまいます。だらしなく口だけを開けてはくはく息を漏らす名前ちゃんは涙を溜めながら薫くんのシャツを握りました。薫くんは名前ちゃんの口から舌を引き抜きます。

「っふ、う…っかおるちゃ」
「どう?満足した?」

唾液を舐め取るように唇を舐める薫くんは何とも艶かしく、ぱんつが湿っていくのが分かりました。名前ちゃんはふるふると首を横に振りました。

「も、もっと、おくが、」
「奥?」
「おく、こすって」
「ふふ、…使っていいよ」

薫くんが笑うと名前ちゃんはすぐにソファから降りて薫くんの前で跪きます。カチャカチャとベルトを外す手が早急で、薫くんは愛おしさに口許を緩めました。まだ勃っていない薫くんのモノを躊躇いなく口の中に入れて舌の上で転がします。

「ん…、む」

小さな口で一生懸命頬張る名前ちゃんを見ていると薫くんのモノはどんどん大きくなっていきました。もっと、もっとおっきくしないと奥に届かない…。名前ちゃんは必死に舌を遣って裏筋を嬲ります。ひくっ、と薫くんの腰が反応して、薫くんは気持ち良さそうに息を漏らしました。ちらっと見上げるといつも綺麗な顔の薫くんが眉を歪めています。煽られるようにむしゃぶりつくと薫くんが名前ちゃんの頭を撫でました。

「ん、そろそろ大丈夫だけど、どうする?したい?」
「して、してください…っ」
「ふふ、何で敬語なの?」
「してほし、の、かおるちゃん」
「自分でもできるようにならなきゃだめだよ」

薫くんは優しく頭を撫でていた手を名前ちゃんの頭裏に移動させます。次の瞬間、ずんっと喉を突かれました。猛烈な吐き気が胃を震わせます。

「んぶ…っ、ぐ」

下品な声を出しながら名前ちゃんはぼろぼろ涙を流しました。気持ち悪さで押し出されるように唾液が溢れますが、薫くんは腰を止めてくれません。ぐっぐっとリズムよく押し込んで逃げないように頭はがっちりホールド、名前ちゃんは薫くんの膝に手を置きながらひたすら喉の奥を擦られます。

「ふ…っ、名前可愛い」
「ん、おっぇ、んぐ、」
「苦しい?気持ちいい?」
「ん、んんんっ、おぐっ、う」

涙と鼻水で顔がどんどん濡れていく名前ちゃんはされるがままに口を開いたまま喉を締め付けました。嘔吐しようと痙攣している喉を突かれて口腔を擦られます。ずっとこの刺激を待っていた名前ちゃんは興奮でぱんつをびちゃびちゃにしていました。薫くんの息が上がっていきます。

「飲む?それとも中で出されたい?」
「んおっ、ごぇ、お」
「分かった、出すよ…っ」

やっぱり薫くんには何でもバレてしまうようです。何も伝えられていないのに奥を抉るように壁を叩くと、どくっ、どくんっ、と脈打つように精子をぶちまけました。ねばついた濃い精子が喉に引っ掛かり、生臭い臭いが鼻に広がります。薫くんはソファに背を預けるように体重をかけ、大きく息を吐きました。飲み込むのに少し苦しい名前ちゃんは2、3度咳き込みましたが溢さずに飲んだようです。まだ喉に違和感はありますが、涙で揺らつく視界で薫くんを必死に見上げました。

「はあ、っく…、かお、るちゃ、」
「ん…おいで」

薫くんは名前ちゃんの手を引っ張って起こしますが、名前ちゃんは腰が抜けているように足ががくがくでした。薫くんは再び口端を歪ませます。

「僕ので擦られるのが本当に好きだね」
「ん、は…っ、す、すき」

名前ちゃんの腰をひょいっと抱くと、自分の膝の上に座らせました。王子様のような顔を悪戯に歪ませて何か企んでいる顔です。

「病人がこんな顔しててどうするの?本当は早く寝て体を休ませないといけないのに」
「や、ぁ…っ、かおるちゃ、」
「悪化しても知らないからね」

こくこく頷く名前ちゃんは薫くんの首に腕を回してキスをねだります。薫くんは名前ちゃんのスカートの中に手を這わせながら求められるままに深いキスをしていきました。


END
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Twitterアンケートよりイラマチオ薫くん、今回は内科医師です。中途半端に終わってすみません。名前様、お付き合いありがとうございました。
20160609
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