わざわざ誰かに相談しなくてもいいことだが気になって仕方ないことなので相談することにした。

「と、いうわけで」
「だからってなーんでミーなんデスカー?」

暇そうだった、なんて口が裂けても言えず、1番生徒思いの先生だったから、なんて言っておいた。だった、というか今もそうなのだろうがもう早乙女学園を卒業していた彼女には分からない。

「それで、卒業生がわざわざミーを訪ねてくるってことはミーにしか解決できないことなんデスネー」
「あ…えと…、はいっ」

別にそういうわけではない、たまたま家が近所なのだ。それも黙っておくとして。用件を聞きたそうにサングラス越しにきっとこっちを見ているであろう学園長に、彼女は気まずそうに口を開いた。

「…最近、音也くんがわんこじゃないんです…」
「………」

チラッと学園長を見ると彼はひどく顔を顰めていた。




(( わんわんお ))




“最近わんこじゃない”というのはおかしい言い方だっただろうか。彼はいつも人間に構ってもらおうと周りをうろうろする犬のようで可愛かった。それはこの学校にいた頃もそうだったし卒業して同居を始めた頃もそうだった。しかし今彼は仕事で忙しいらしくそんな気力もないようだ。犬というよりも気まぐれな猫に近くなってきてしまった。それはすごく寂しいことだが本人は疲れているのだからそんなことも言えず。それを学園長に相談しに行ったはずだったのだが「そんなことでしたらこれデスネー」と何も事情を聞かずに小洒落た小鬢に入った薬を差し出してきた。さすがシャイニー、言わずとも分かってくれる、と彼女は感動しながら素直に貰ってきてしまった。
…しかし。

「これ、何の薬…?」

これでわんこになりますヨー、と学園長は言ったが、本当にそうだろうか。帰ってきてから不安になっても仕方ないが、とにかく彼の帰りを待った。

「えっと…、少しだけ飲み物に入れて混ぜるんだよね…」

彼のマグカップにココアを入れて薬を少し入れる。

「早くしないとそろそろ音也くんが帰ってくる時間…」

くるくるとスプーンで掻き混ぜながらそう呟いていると、ちょうどグッドタイミングでガチャリと玄関が開いた。

「ただいまー!」
「お、おかえり…っ」

いつもなら玄関まで迎えに行くが、今は薬を混ぜこむことが先決だ。素早くスプーンを回していると部屋のドアが開き、ひょこっと顔を出した彼の姿が見えた。

「ただいま、名前」
「おかえりなさい」

にこっと笑うとスプーンを置き彼に向かう。彼も両腕を広げて彼女を迎え入れた。

「何で迎えきてくれないんだよー、いないかと思った」
「ごめんごめん、今日ココア買ってきてさ。この時期寒いでしょ?音也くんに作っとこうとしたんだけど…」

チラッとココアの方へ視線をやると彼は彼女を離してぱあっと顔を明るくする。

「すごく嬉しいよ!ありがとう名前!」
「え?…へへ、いえいえ」

可愛らしい笑顔を見ると騙しているようで心が痛んだが彼はゆっくりココアを飲んでくれた。これで彼は今までのようになる、はず。
不安げに彼を見上げていた彼女だが飲み干した彼に何の変化も見られずに少し肩を落とした。

(何だ…まあ、そうだよね…)

しょんぼりと俯くと突然彼が「あ」と声を漏らす。

「ん?音也くん?」
「あ、れ…?なんか…?」

彼の頭らへんがむずむずと動いていて直後髪と同じ色の耳が生えてきた。ぽんっと音がしそうなくらい勢い良く生えたそれに視線は釘付けになる。

「音也、くん…?」
「…、あれ、俺、どうしたんだろ…なん、か」

だんだん彼の息が上がってきた。何もしていないのにこうなるのはきっとあの薬のせい。はあはあと息を吐きながら苦しそうに彼は口から舌を覗かせていた。

「おとやく…、」
「名前…?あの…ちょっと…」

とろんとした目でこちらを向き、抱きしめてくる。後ろに回った腕は素早く彼女のエプロンを外し、驚いて彼を見上げた彼女にキスを降らした。

「ん…っ、んゃ…?」

しかしいつも通りのキスではないことに気付く。キスと言うよりも唇を舐められているだけだ。犬に顔を近付けると舐められるように彼も彼女の唇や顎をぺろぺろと舐めていた。

「ん、ふ…おと、ん…ッ」

彼の名前を呼ぼうとした開いた口からは舌を捩込まれ、くちゅりと絡み付くその感覚。いつもとは少し違ってざらついた舌が彼女の口腔を犯す。

(う、そ…舌まで、わんちゃん…?)

薄く目を開くと至近距離に完全に欲情している彼の顔がぼやけて映った。そんな姿にぞくりと身体を震わせていると腰ががくんと砕け、彼はそれを追うように彼女を押し倒した。
長いキスが終わると余韻に浸って彼女はぼんやりと彼を見る。彼はそんな彼女にお構いなしに彼女の服を脱がせて身に何もつけていない状態にまでしてしまった。ひくりと腰が揺れた彼女を見て彼もまた興奮が煽られる。首筋に噛み付くようにキスをしてから舌を踊らせ下へと下った。

「ひ、ぅ…おと、あぅッん…っ」

ざりざりとした感触が胸の頂きに感じられる。いつもと違う強い刺激で乳頭を嬲られ、かと思いきや乳輪ごと口に含まれてぐちゅぐちゅと口内で解され。

「んい…っ、やぁッんんぅ!」

柔らかい唇に愛撫されながらざらついた舌で追い詰められてそれだけでも十分な快感なのに、彼女は更なる快感を求めるかのように腰を空振らせた。ちらりとそこに視線を向ければ筋からはとろとろと愛液が滴り、ひくひくと彼を誘うようにうねっている。

「…名前」
「おと…、ッひゃあ、んっ!おとっ、おとやく…あっ、あ〜…ッ!」

胸への愛撫を止めると突然ぐいっと脚を広げ、早速そこに頭を埋めた彼を見て彼女は戸惑う。その直後にざりっと筋に滴る愛液を舌で掬われ、こりこりと上の芽に擦り付けられた。

「だめぇ…、そこ…んっあっあぁ…っ!」
「ここすごい勃ってる…」
「ッひゃぁんっ、ら…めぇ…っ、ぃッぅん…っ」

声にならない声を上げながらびくんびくんと身体を反らすと彼は一層激しく攻め立てた。尖らせた舌でざりざりと芽を舐められ、削り取られるのではないかと思うくらい激しく早く動かれる。

「ひぃ…っ、お、とや…く、あァんっ!ら、めぇぇ…〜っ…」

びくうっと一瞬激しく身体が跳ね上がると彼女の身体からは次第に力が抜けていった。膣からはどろりと愛液が流れ出て妖艶な光を反射して彼を誘う。彼はそれにつられてナカへ尖らせた舌を埋め込んだ。

「んゃッ…は…っ!待っ、待っ…ぅああんッ、っ」

尖った舌でちろちろと小刻みに刺激されてその度びくんびくんと腰が揺れる。蜜を掻き回すようにぐちゅぐちゅと卑猥な音を響かせ舐め回されて。

「…おと、や、く…ッ、もぉ、欲しいよぉ…っ」

舌だけでは物足りなくなったらしい。腰を彼に擦り付けるように動かしてしまい、ぐちゅぐちゅ音を立てている秘部からは絶えず蜜が零れている。彼はチラッと彼女を見ると満足げに息を吐いた。舌からは蜜が滴り、絡んだそれを飲み込んでから舌なめずり。彼女はぞくり腰を震わせてこれからの快感に期待する。

「は…ッ、名前…?」
「うん…?」

欲情しきって余裕がないときの低く掠れた声。鼓膜から犯されるように腰に響いて酔いしれながら彼に視線を投げる。

「俺…、なんか、変でさ…っ、悪いけど、加減とか、できな…」
「ッふ、ぅ…!いいっ、いいよぉ…ッ、はや、くぅ…!」

焦れったく思って彼の肩に手を乗せる。それを合図に入口を慣らすように先端だけでくちゅくちゅと広げ、そのままぐぷりと自身を進めた。

「は、あん…っ!」

いつもより熱くかたいモノは彼の興奮を表している。奥をつつかれるときゅうきゅうと彼を締め付けながら切なげに蜜を漏らすそこは彼に煽られて快感を待っているようだった。

「は…、名前、すげえ感じてる…っ」
「や、違ぁ…ッ」
「いつもより、ナカすげえ、気持ちいい、から、っ」
「ッあぁっん…!」

ぐちゅ、と音を響かせてモノが引き抜かれ、ぎりぎりまで引き抜かれたかと思えば今度は奥を狙って腰を打ち付けられる。ちゅぱん、ちゅぱん、と部屋に水音が鳴りながら激しいピストンに身を捩るように腰を震わせた。

「ら、めぇ…っ!おとや、く、あぁっはぁッ…」
「く…、ど、しよ」
「んっ、んっ、はあ…っんん…〜〜ッ…!」
「気持ちいい…、名前のナカ、すごいよ…!」
「あッ、そこ、はああん…っ!」

好いところを先っぽでぐりぐりと抉られて腰を引きそうになりながらも彼に引き寄せられて押し付けられる。ごんごんと暴力的な快感にただ喘ぐことしかできずに彼の首にしがみついた。

「名前…、好い…?」
「あっ、や、んん…ッ」
「嫌?じゃあここは…?」
「ひゃあっあぁ…!もう、死んじゃ…っ」

いつもより長く強く続く快感に頭がおかしくなりながら絶頂がすぐそこまでキているのを感じ、自分からもゆるゆると腰を振って快感を貪る。刹那、びくんびくんと痙攣して本日2度目の絶頂。後を追うように彼も子宮口に先端を押し付け、びゅるる、と熱を吐き出した。

「ッんいぃいぃい…!あちゅ、あっんんー…っ!!」
「はぁ…、はぁ…、名前、最高だよ…」

とろんとする彼女の目を見て彼は優しく微笑んで頭を撫でる。肌を重ね湿った感覚に本当に1つになってしまったかのような幸せを感じた。


(学園長にちょっとだけ感謝したのは、内緒)


END
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や ら か し ま し た 。
音也くんってわんこですよね、もう公式でわんこだと思ってました私は!だからってこんな暴走を!本当にすみませんでした。名前様、お付き合いありがとうございました。
20111207
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