「うう〜〜嶺ちゃぁん」

がちゃり。名前ちゃんは嶺二さんの部屋に入ってくるなりびえええと泣いていました。嶺二さんはぱちくりと瞬きをひとつ。また何かあったんだと察します。

「どーしたの名前ちゃん」
「うっ…うう〜っ…」
「よしよし、ほーら、おにーさんのお膝へおいで!」

嶺二さんはとてとて近づいてきた名前ちゃんの腰を持ってひょいっと抱き上げると、自分の膝の上へ向かい合わせるように座らせました。そのまましっかりほーるど。よしよしと頭をなでなでしています。

「うっ…ぐす…」
「さ、ゆっくり話してごらん」
「うん…っぐす、今日ね、また部長に叱られちゃってぇ、」
「うん」
「はじめたばっかなのに、わかんないのにぃ、っぐ、こないだ教えたからっていってきてぇ、」
「うん」
「1回じゃ、おぼえらんないのにぃっ、そ、な、怒鳴らなくでもっ、ふぇ…っ」
「うんうん、そうだったんだね〜」

嶺二さんは名前ちゃんを力強くぎゅーっと抱き締めました。それから落ち着かせるように背中をさすさすとんとん。名前ちゃんはぐすぐす言いながらも嶺二さんにしがみついています。しばらくゆっくりと背中をさすりながら抱き締めていた嶺二さんですが、急に耳元で真剣な声を出しました。

「確かに始めたばっかりだし、分からないことばっかだよねえ。初めてのことが多すぎて、それだけでも緊張してるのに人に気を遣って仕事するなんて、疲れちゃうね。名前ちゃんは必死に仕事覚えてようとしてるし、わざと忘れたわけじゃないのに、ちょっと一方的でびっくりしちゃったね」
「ん、うん…っ」
「でもさ、部長もきっとたっくさんお仕事があるんだよ。忙しいから効率性を重視しちゃってるんだろうね。皆最初は慣れないだろうに、部長はきっとそのことも忘れちゃうくらい忙しかったから、何で1回で覚えないんだ!ってカッとなっちゃったんだねえ」
「…う、」
「だから名前ちゃんはその部長の忙しいのを理解してあげて、今回は許してあげようよ!始めは慣れなくて仕方ないけど、なるべく部長の力になれるように、聞いたことは必ずメモしてごらん。1回で覚えられないならそのメモを見て自分で考えてみよう。そしたら部長も名前ちゃんのこと褒めてくれると思う。名前ちゃんは偉い子だし頑張り屋さんだからきっとできるよね?」

嶺二さんは相変わらず抱き締めながら背中をさすってくれていましたが、名前ちゃんはもう既に泣き止んでいました。嶺二さんにしがみつきながら、嶺二さんの首もとに顔を埋めます。

「…できる」
「うん、偉い!さすが名前ちゃんだね。そういうとこだぁいすき!」

ぼそっと呟いただけなのに嶺二さんはしっかり拾ってくれました。

「今日は疲れたでしょ。もうこのまま寝る?」
「で、でも、自分のお家、」
「いいから、今日は僕と寝よう?眠れるまでこうしててあげたい」

嶺二さんは背中をさすっていた手を止めて、急に名前ちゃんをお姫様抱っこします。名前ちゃんはびっくり仰天。え、ちょっと、待って。じたじたする名前ちゃんを全て無視してそのまま寝室まで連行し、名前ちゃんをベッドの上に降ろしました。嶺二さんは自分のシャツのボタンを外しています。

「もう…!嶺ちゃん強引だよ」
「あはは、メンゴメンゴ〜」

シャツが脱げた嶺二さんはベルトも外し、完全に眠る体勢です。ほーらおいでと腕を広げたので名前ちゃんはおずおずとその腕に頭を乗せて腕枕をしてもらいました。ぴとっとくっつくと嶺二さんはとてもあたたかく、思わず顔を擦り付けます。

「なぁに、甘えてるの?」
「ち、ちがうもん!」
「ふふ、かわいいねぇ名前ちゃんは」

それから嶺二さんは名前ちゃんのおでこにちゅっとキスを落としました。優しく髪も撫でます。

「おやすみ、名前ちゃん、愛してるよ」
「っ、お、おやすみなさい!」
「照れちゃってかわいいんだから〜!」

嶺二さんは名前ちゃんをぎゅうううと抱き締めながら、名前ちゃんと一緒に目を閉じました。

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嶺二さんは慰めの達人だと思います。新社会人さんたち、がんばれ!
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