恋人同士になって随分経つのですが、ふたりはまだまだしていないことがたくさんありました。今日の藍ちゃんは熱心に調べものをしているらしく、パソコンの画面をじっと見つめています。名前ちゃんは邪魔をしないように傍のソファで雑誌を読んでいたのですが…。

「名前、性行為って、どういうものなの?」
「…はい?」

藍ちゃんがとんでもないことを言い出すので名前ちゃんはボボッと顔を染めました。藍ちゃんの発言は常に突然であり、さらにそれは純粋な疑問から始まるものが大半ですから、名前ちゃんはどうしていいのか分からず常に振り回されるばかりです。真剣な顔で見つめられて、つい良からぬことを妄想して名前ちゃんの顔はさらに赤くなりました。

「名前?…ちょっと、体調でも悪いの?」
「べべべ別に!藍こそ急に何なの!未成年が変なこと調べるんじゃない!」
「名前だって未成年じゃない」

藍ちゃんはノートパソコンをたたむと、名前ちゃんの元へ歩いてきます。名前ちゃんは咄嗟に身構えました。

「な、な、なに!」
「何警戒してるの?隣座らせてよ」
「どうぞ…」

隣に身を沈めた藍ちゃんはふむむと考えるように手を顎に添えて足を組みます。名前ちゃんはそれを舐めるように見つめました。何を考えているかさっぱり分からないからです。そういうことをするのがこわいと感じているわけでも、嫌だと感じているわけでもないのですが、純粋にまだ早いと感じていました。名前ちゃんはごくりと喉を鳴らします。

「あ、藍は何で急にそんなこと訊くの?」
「別に、どんなものかなって思っただけだよ」
「急にそんなこと思わない子でしょ」
「っ…子供扱いしないでよ」
「誰に吹き込まれたの」
「……嶺二」

あーっ、やっぱり!
名前ちゃんは大袈裟にリアクションを取りながら膝を抱えました。あの変態エロ男何考えてるの!うちの藍を汚さないでよ!と訴えたいのは山々ですが、ちらりと横目で見れば藍ちゃんの頬はほんのり赤く染まっていました。滅多に見れないので名前ちゃんは固まります。

「僕、知らなかったんだ……そういうの」

ピュアそうな瞳をしていてやはりピュアでした。藍ちゃんは可愛らしく唇を尖らせると、今度は拗ねたように名前ちゃんをじろりと見つめます。

「何その顔」
「え?いやぁ…」
「僕だって分からないことくらいあるよ。…特にこんなにデータの取りにくいもの…」

藍ちゃんは恥ずかしそうにちろちろと視線を泳がせています。グッジョブ変態エロ男。名前ちゃんは心の中で全力でガッツポーズをしました。

「責めてないよ…!藍はまだ知らなくていいんだよ!」
「ちょっと…子供扱いしないでって言ったはずなんだけど」

藍ちゃんは名前ちゃんを見つめたまま、名前ちゃんの手を掴み自分の元へ強引に引っ張りました。未だに人間の力加減を分かっていない藍ちゃんは少々力が強く、名前ちゃんは思った以上に勢いがついて藍ちゃんの上に覆い被さるように乗ってしまいます。

「う、うわあっ」
「っとと…。ねえ、僕に教えてよ」
「えっ」
「性行為の仕方。分からないならデータを集めればいいんでしょ?嶺二にばかにされたくないし、君にも子供扱いされたくないんだ」
「子供扱いなんて、」

まだ反論の声を上げようとしている名前ちゃんに藍ちゃんはそっと口づけました。そのまま2度、3度と優しく唇を重ね、名前ちゃんの髪を掻き上げます。

「で?してくれるの?」

藍ちゃんの色気は未成年のそれとは思えず、名前ちゃんはうっとりと見つめました。長い睫毛、綺麗な瞳、通る鼻筋、セクシーな唇……全てに虜なのです。

「ねえ名前、」

藍ちゃんは自分の体を起こすと、そのまま名前ちゃんを下にして体勢を変えました。とさっと背中にソファの感触を感じながら名前ちゃんは藍ちゃんから目が離せません。

「今から君を感じさせて」

藍ちゃんは一瞬目を細めてからゆっくりと体を倒し、名前ちゃんの頬に手を添えました。

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フォロワーさんが藍ちゃんをお好きなようでしたので…。
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