「なぁ、名前」

翔くんは怒っていました。名前ちゃんがなかなか自分の言うことをきかないからです。音也くんと仲が良かったのは承知ですが、音也くんに名前ちゃんをとられるわけにはいかないのです。翔くんはとても心配でした。

「お前、何で音也と仲良くしてんの?やめろっつったじゃん」
「でも翔、音也はただの友達だよ?」
「そんなわけねーじゃん、見て分かんねーのかよ!あいつはお前のこと狙ってる。作曲家としてじゃなくて1人の女として」

名前ちゃんは眉を下げたまま翔くんをただ見つめていました。そんな名前ちゃんを見て、翔くんは怒りすぎたと気づきます。きょろ、と周りを見回して誰もいないことを確認し、近くの誰もいない教室へ名前ちゃんを引っ張っていき、鍵を閉めてから名前ちゃんにぎゅうっと抱き着きます。

「…わり、怒鳴っちまった。余裕ねぇんだ。かっこわりーよな…ごめん」
「翔…、」
「好きだ、名前」

耳元で囁かれる熱っぽい声に名前ちゃんはどきんと心臓を跳ねさせます。少し体を離して翔くんを見上げると、何だか弱気になっているのが分かるくらい不安げな顔をしていました。名前ちゃんは自分から翔くんにちゅっとキスをすると、また強く抱き着きます。

「私も好きだよ、翔」
「っ、」
「大好き。だから心配しないで。ね?」

優しく宥めるように言うと、翔くんは名前ちゃんの頭に手を回し、名前ちゃんの耳にキスをします。

「お前、ほんとに…」

どんだけ俺を惚れさす気だよ、と言いながら何度も名前ちゃんの頭を撫でました。翔くんはまた熱っぽい声で言います。

「なぁ、名前、俺の方が絶対お前のこと大好きだから」
「うん」
「だから、音也になんか惚れんじゃねーぞ」
「…うん」

名前ちゃんは翔くんの背中にしがみつくようにしながら、頷きました。翔くんは予鈴のチャイムが鳴るまでずっと好きだと言い続けてくれました。


(( 俺の方が絶対、 ))
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