※主人公視点

死ぬかと思った。気持ち良すぎて真っ白になった。あの世を見た感じ。
2回目の絶頂ってことで体力もない私はぐったりと身体の力を抜いた。それを追って翔ちゃんが身体の力を抜く。ゴム越しに感じる熱い熱がちょっと嬉しくて口元が緩んだ。

「う…翔ちゃん重いよ」
「あー、わり」

身体の力を抜いた翔ちゃんは私の上に乗っかるから潰れそうになる。翔ちゃん、意外とがっしりしてるなあ。横に退けた翔ちゃんの肌はじっとり汗ばんでて色っぽい。私こんなかっこいい人と初めてを遂げたんだ。
未だに肩で息をしている私とは違って、翔ちゃんはもうケロッとしている。でも疲れて目が眠そう。

「翔ちゃん、疲れた?」
「まあな。でもすげー気持ちいい。ライブの後みてえ」

翔ちゃんには四六時中歌のことしか頭にないのかって思ったらちょっと笑えた。翔ちゃんらしい例え。べとべとするからって言って翔ちゃんは苦笑いしながらゴムを外したけど、何となく気恥ずかしくて視線を逸らした。

「翔ちゃん、」
「ん?」
「私、すごく幸せ」
「ああ、俺も」

ニッと悪戯に笑ってくれる。優しい顔。あー、幸せだなあ。私翔ちゃんとずっと一緒にいたい。じわじわくる幸福感に胸が高鳴った。

「ん、名前!」

あんな恥ずかしい体験をしたっていうのにまだこんなことで照れるのか、翔ちゃんはちょっと恥ずかしそうな顔をして私に腕を伸ばしてきた。ぽんぽんと自分の二の腕を叩く翔ちゃんを見て翔ちゃんの意図を理解する。甘えるようにその二の腕に頭を乗せると、翔ちゃんは反対側の腕で私の身体を包んだ。

「へへ、腕枕」
「ったく、こんなことでご機嫌かよ、お姫様」
「嬉しいもーん」

翔ちゃんの胸に額を押し付ける。あーもう、幸せ。何をしてても幸せ。疲れてるんだけど、その疲労さえ幸せ。汗ばんだ身体で抱きしめ合う。

「翔ちゃんすごく眠そうだよ」
「お前も。疲れたもんな」
「うん…、死ぬかと思った」

ふふ、と小さく笑ったら翔ちゃんもつられて笑った。

「あんだけ喘げばな。喉痛くねーか?」
「ん、ちょっと痛いけど平気」
「そっか。寝てもいいぜ?」
「翔ちゃん寝たら寝る」
「先に寝ろよ」

ますます甘えるように抱き着くと、翔ちゃんもぎゅうううっと力を入れて抱き返してくれた。苦しいくらいのハグからひしひしと愛を感じる。ほんとに翔ちゃん、好きだなあ。

「翔ちゃん、あったかい」
「お前も」

うとうとしながら翔ちゃんの胸に鼻をくっつけた。汗がしっとり肌をくっつけて、それも心地好い。温かい体温にちょっとだけ目を閉じたら、すぅっと遠のく意識。やばい、寝ちゃいそう、翔ちゃん、好き。

すう、と寝息を立てる私に、翔ちゃんがまた微笑んでくれた、気がした。


(( 疲れてぐったり抱き合って ))
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