「あんなヘタレなドM男でも人気があるって知ってんだろ」
「えっ」

リボーンの唐突な言葉に彼女は持っていたティーカップを落としそうになる。
午後3時。優雅にティータイムと洒落込んでいるところだったが、彼女の顔は強張っていた。

「お、脅さないでよリボーン…」
「脅してるわけじゃねえが事実だぞ。ちゃんとあいつのこと掴まえてあんのか?」
「え…っと」

彼女は既に泣きそうだ。大好きな彼を誰かに奪われてしまうだなんて考えただけで胸が苦しくなる。ティーカップを静かに置いてじっとリボーンを見つめると、にやりと意味深に笑われた。

「マンネリ化はよくねえな。ちょっと耳を貸せ」

彼女に耳打ちをしながらリボーンは笑いを堪える。こんなことをしなくても彼は彼女にベタ惚れだったからだ。




(( Sな彼とMな彼女 ))




午後11時。あれからリボーンに言われたことを実践しようとタイミングを窺っているが、真面目な彼は相変わらずデスクにいた。恋人が部屋へ遊びにきているというのに熱心なものだ。

「スク、もう11時だよ?」

少し離れたソファに座っていた彼女はクッションを抱きしめながら彼に声を掛ける。彼はやっと顔を上げた。

「ゔぉぉ…もうこんな時間かぁ」
「うん。もうお仕事しちゃだめ」

拗ねたような口調の彼女に思わず笑顔がこぼれる。デスクから離れ、ソファに座っている彼女を後ろからぎゅうと抱きしめた。

「お前にも構ってやらねえとなぁ」
「べ、別に…、」
「シャワー浴びてくるぜぇ」

頭にキスを落とし、彼はバスルームへ向かう。その後ろ姿を見て彼女は胸を高鳴らせた。彼の言う“構う”というのはセックスのことだからだ。彼女はクッションに顔を埋め、その胸の高鳴りを抑えようとしていた。

(ど、どうしようリボーン!!!!)

リボーンに言われたのはセックスのこと。いつも恥ずかしがって完全受け身の彼女に、たまには自分から攻めてみろとのことだった。何度やっても慣れない行為に彼女の羞恥は薄れない。それなのにフェラや騎乗位だなんて頭がくらくらした。だが彼に飽きられて他の女に奪われるのだけは許せず、彼女はきゅうっとクッションを抱いた。

(私が頑張らなきゃ…!)




彼が出てきたのは数分後。その頃には彼女の顔は完全に火照っていた。彼はズボンだけ穿いて上には何も身につけていない。ガシガシとやや乱暴に髪を拭きながらにやりとこちらに近づいてきた。

「なんて顔してやがんだぁ」
「あ、の……スク、」
「ん?」

彼女の許へ来ると、あっという間にひょいと抱き上げてベッドまで運んでしまう彼。お姫様抱っこというシチュエーションにどきっとしつつもこのまま彼のペースでいかれたらいつもと変わらないことに危機感を覚え、彼女は慌てて覆いかぶさってくる彼の胸を押した。

「ちょっと待って…あ、あの!」
「なんだぁ?」

きょとんとした顔をしながらも彼女の異変に気づき、彼は動きを止めた。彼女は押し倒された上半身を起こし、少し躊躇いながらも意を決して彼の頬にリップ音を立てながらキスをする。

「あの…ね…?」
「ゔぉ、ぉ…」

意表をつかれて彼は少し目をぱちくり。彼女は彼の耳元で恥ずかしそうに震える声で言った。

「今日は、私にさせて…?」

多少動揺したが、余裕のない彼女の顔を見てフッと笑顔がこぼれた。何を企んでいるか知らないがこんなに可愛い顔が拝めるのなか何でもいい、とベッドへ寝転がる。その上におずおずと乗ってくる彼女。この光景も新鮮だ。

「あの、ね……上手くできないかも、しれないけど……んっ」

彼女はゆっくり口づける。彼もそれを手助けするように口を開いて舌を絡めた。とろりとなぞる舌はいつもより熱く、彼はますます愛おしさが溢れる。

「頑張って気持ち良くする、から、っ」

ちゅぷ、と離れた唇から唾液が糸を引く。彼はむらむらと欲情しながらそれを眺めていた。

ぷち…ジー…

たどたどしい手つきで彼のズボンを脱がしていく。チャックを開けて下着と一緒にズボンをずらし、モノを取り出す。まだ勃ってもいなくて彼女はどきりとした。自分の奉仕で勃たせることができるのだろうか。初めてのことに彼女はどきどきしっぱなしだ。

「、ん…」

恐る恐るというほどゆっくり近づき、彼のモノに舌を這わす。ちろちろ先端を舐めて唾液を垂らすが、彼は無反応。彼女は少しだけ泣きそうになった。

「ん、っはふ…」

裏筋もぺろぺろ舌を滑らせるが彼のモノは勃ちもしない。持ち上げて懸命に舐めても無反応。何をしても無反応だ。彼女は遂に泣き出した。

「ふぇえ…っ、わかん、ない、っ」
「お、おい、名前…っ」
「きもちよくできなくてごめんなさぁい…」

ぐずぐず鼻を啜ると、彼は困ったように彼女の頭を撫でる。気持ちいいから大丈夫だと繰り返すが彼のモノは未だに無反応だ。

「あ、あのなぁ名前…?」
「っぐす、う、なに、」
「一生懸命舐めてくれるのも可愛いけどよぉ…、その、口ん中で舐められた方が気持ちいいぜぇ…?」

遠慮がちに発せられた彼の言葉。彼女はぼろぼろ涙をこぼす目で彼の顔を見上げる。

「これ、入れる、の?」
「入るだけでいいから無理すんなよぉ?」
「っうん…は、ふぅ…ん」

頭を撫でられて気持ち良くなった彼女は涙を止めた。素直に口を開き、彼のモノの先端をぱくっと咥える。口の中で亀頭をなぶるように舌を動かすと、少しだけ硬くなった。

「んっ…く、」

舌をちろちろ動かしながら唇をすぼめ、カリの周りをじゅぽじゅぽ舐める。彼のモノはだんだん勃ち上がるが完勃ちではない。彼女はちゅぷりと口からモノを引き抜き、とろんとした目で彼を見上げた。

「すく…きもちい…?」
「あぁ。…そろそろお前も触りてぇんじゃねえかぁ?」

本音を言えばもっと奥まで咥えてもらって快感を得たかったが、初めての彼女にそんなことはさせられないと思った彼はせめて彼女と気持ち良くなろうと彼女の秘部を足の甲で撫でた。下着越しだというのにぬめっていて、かなり濡れていることが分かる。欲情してくれていることに愛おしさを感じながら、ぴくっと反応してしまう彼女をフッと笑った。

「ん…っ、じゃあ、その、」

彼女は恥ずかしそうに下着を脱ぎ、遠慮がちに彼の上へ上ってくる。ぷっくりと勃ち上がった芽が彼のモノに合わさると、彼女は大袈裟にびくんと跳ねた。

「はっふう…!すくの、あつい、よぉ」
「お前のここ、こんなに硬くなってたんだなぁ」
「あ、う…ちがうぅ…っ」

腰をゆるゆる動かし、硬く勃つ芽を裏筋に滑らせる。重なり合うわずかな刺激に彼女はとろとろ蜜を垂らして喜ぶが、彼には刺激が弱すぎるようだ。

「は、あ、あぅ」
「名前…は…、ナカ、挿れてぇ…」
「あっ…分かっ…あ、ひ」

左右に腰を振ってこりこりと芽を押し潰すことに夢中になっていたが、彼の吐息交じりの言葉で我に返る。今日は自分が気持ち良くしてあげる番なのだ。彼女は彼の腹へ手をつき、のそのそ腰を上げた。モノが彼女の尻をなぞり、秘部まで滑っていく。軽くモノに手を添えて、彼女はゆっくりと先っぽをナカへ埋めた。

「はっん、」

いつもは一気に挿入されたりするが、今日は自分のペースだ。彼女はすっかり気持ち良くなってゆっくりゆっくりナカへ埋めていく。

「ぅあ、あ…、すくぅ…」
「っ、焦らしてんじゃねえ…」

ゆっくりするのは気持ち良いが、彼にとっては最大の焦らし。彼女はそれに気づいて慌てて全てを埋め込んだ。奥までくると彼の硬さが伝わってきて思わずきゅんとナカが締まる。そろそろ動かなければまた彼に焦らすなと怒られるだろうと予想しながらも彼女はナカに埋まる彼のモノの形を感じながら熱い息を吐いた。

「っは、あ…!おく、ん」
「名前…」
「あ、う、ごめ、っ」

うっとりと快感に浸る彼女を下からじろりと睨むと、彼女は慌てて腰を浮かせた。彼の腹に両手をつき、懸命に腰を動かす。初めての行為に慣れないのか、やはりその動きはぎこちない。

「は、あ…っあれ、」
「………」
「なん、で、んっ」

そこで彼女は違和感を感じる。いつものような快感がない。角度の問題なのか速度の問題なのか分からないが、イイトコロにぶつからない。ただ挿入をしているだけの状態にまた彼女は泣きそうになった。一方彼もやはり快感が得られずに苛々していた。散々焦らされたのにまだ焦らされるのなら自分も彼女を虐めてしまおう。そう考えた彼はにやりと意地悪く口元を歪める。

「ん、は…っ」
「名前ちゃんよぉ、一生懸命腰振ってるが気持ち良くねぇのかぁ?」
「や、う…!わかんな、はぁあ…」
「胸跳ねさせて、イイ眺めだなぁ」
「あ、あ、やだ、見ないでぇ…っ」
「腰がかくかくしてきたぜぇ…気持ち良くないんじゃなかったのかぁ?」

意地悪い発言をされ、彼女の身体はじわじわと快感を得ていった。相変わらずナカに快感はないのだが、見られていることや意地悪されることに快感を覚え、ナカをどんどん狭くする。だが彼の意地悪には慣れていない彼女。それもそのはず、いつもは大切に大切に抱かれているので優しい彼しか知らないのだ。初めての意地悪に恥ずかしさの余り彼女の涙は止まらない。顔を真っ赤にしてふるふると首を横に振るが彼はますますにやりとするだけだ。

「あそこがきゅんきゅんしてるぜぇ?やっぱり気持ちいいのかぁ?」
「や、あぁああ…ちがうのぉ…っ」
「何が違えんだぁ?ほら、気持ちいいんだろぉ」

がくん、と唐突の突き上げ。下から彼が腰を動かすと、面白いくらいにびくんと跳ね上がった彼女が泣きながら身体を倒して彼に抱き着いてきた。

「は、あ、あう、わかんない、のに、あっ、わたしだけきもち、いぁんっんっすく、」
「何回もヤッてんのにまだ分かんねえのかぁ?」
「あ、あう、ごめん、なさっ」
「いい加減自分の気持ちいいとこぐらい覚えろぉ」

本格的にぐずりだした彼女の腰を抱き寄せ、彼は下から突き上げた。いつも彼女がよがり狂うところをピンポイントに突いてやると、彼女はびくびくと腰を震わせる。

「あああは、きもちい、あっあっそこぉ、もっと、もっとすくぅ…っ」
「だろぉ?は…さっきより締まりがいいぜぇ…」
「あっあっやぅっいくぅ、すく、きもちい、きもちぃいくぅう…ああはぁ、んっ…んんぅっ!」

刹那、きゅうううと狭くなるナカ。彼のモノを食いちぎるくらいに締め付け、内壁がなぶるように蠢く。彼も不意打ちを食らって勢いはないが射精した。

「は、あん…すく…」
「チッ…」

もったいない、と彼は舌打ちした。どうせならもっとガンガンに突き上げて奥の方で勢いよく放ちたかったのだ。彼はめんどくさそうに身体を起こし、まだ熱の冷めないモノを彼女のナカから出すことなく体勢を変える。いつものような正常位だ。

「今日はお前がシてくれるって言うから嬉しかったけどよぉ、やっぱり攻められるのは慣れねえみてぇだぁ」
「え、あ、ごめん、なさい」
「だから…、」

彼は彼女の脚を肩に担ぎ、ぐいっと奥までモノを差し込んだ。その勢いで先程ナカに出した白濁が少し溢れたが気にしないで無遠慮なピストンを始める。

「次攻めるときはもっと上手くなってからだなぁ」
「あ、あっ、あ、やぁう、きもちいっあぁんっあ、すく、あ、ああぁあっ」
「恥ずかしがってるお前も可愛かったけどなぁ?」
「あ、あっひぃん!ああっ!すく、まって!まっ、あっ!あっ!」

ぱちゅぱちゅと液を飛び散らせながら彼はピストンを止めなかった。彼女は悲鳴に近い嬌声を上げ、びくびく太ももを痙攣させる。

「も、う…っ!すく、あ、あう、すくぅうう…っあ」
「っ、出すぜぇ…」


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