ダンスホール


「イェス!イェス!イェス!」

ダイスの歓喜の雄叫びが、天空劇場にこだまする――。恍惚の源である痛みを与えてくれるのはこの国の大臣、オーロだ。彼の両手には得意としている手裏剣の代わりに金棒が握られている。

「もっと!もっとくれよ!」

何度打たれようとも倒れないダイスに息継ぐ間もなく突進するオーロ。その動きはカーチェイスの如く。ハンデなどものともしない鋭く俊敏な車輪捌きで回転し、勢いをつけ、鉄の塊をダイスの体へ叩きつける。
ガアン、と何度目かの振動がビリビリと舞台を震わせて、オーロが金棒を手放した。

「はァ……っ、はァ……っ」
「もういいんですか、オーロ様」

タフネスガイのダイスよりも先にオーロが音をあげるのはいつものことだ。ニカッと気持ちよく笑うダイスに応える様に、汗を流すオーロがゆるりと視線をあげた。

「ダイスは……、癒し系だな……」
「へへ!ありがとうございます!」

タナカさんかバカラがいればツッコミが入るところだが、二人しかいないその場所では和やかな空気が流れるだけだった。
ダイスにはオーロの考えている事はわからない。時折頼まれて付き合うこの運動も溜まったストレスを発散する為のものだとわかっているが、何が彼の中でストレスを生み出しているのかについて深く考えた事はなかった。

だけどこれだけは言える。付き合った後に晴れやかに見えるオーロの顔が、ダイスはとっても好きなのだ。


  
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