或る日の、
ロブ・ルッチの指が、スペッキオの顔にある乾いた傷痕をなぞる。
「──────お前は『鏡』だ。見る者の本質を反映する。すべての者に真摯で誠実、それゆえに空虚だ。どこにも、お前という実像はない」
しばらくの間、黙していたスペッキオは、口角をあげ微笑みらしいものを浮かべると。
「だったら君は────……池に映った、自らの姿に恋をしたんだね」
無遠慮で礼儀知らずなその指を、折ってやろうと思った。
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